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モブNo.178∶「疲れたからね。しばらく休むよ」

 祝勝会が終了し、依頼終了証明書ももらい、帰路の途中にトラブルもなく、何とか惑星イッツに帰ってきた。

 駐艇場に船を留め、点検をし、燃料を満タンにしたあと、傭兵ギルドの受付で、ローンズのおっちゃんと会話をする頃には、疲労のピークに達していたようで、椅子に座ったらぐにゃりとうなだれてしまった。

「おう。帰ったな」

 おっちゃんはいつもの様子で迎えてくれた。

「疲れたからね。しばらく休むよ」

「お前のしばらくはせいぜい4〜5日だろ」

「休みが長いと不安になるんだよ」

「借金生活の弊害だな」

 ローンズのおっちゃんは、僕が借金をしていた事情も知っているので、僕のワーカーホリック気味の考えもある程度は理解してくれている。

「でも今回は本当にゆっくりしてくるよ」

「まあ、ゆっくり休んでこい。報酬が入ったら連絡してやるからな」

 今回は本当に疲れたので、長めに休む事にした。

 とはいえ予定もないしどうしようかと思っていると、

「あ、ウーゾスさん。お帰りになったんですね!」

「あ、どうも……」

 ローンズのおっちゃんと同じ受付係のアルフォンス・ゼイストール氏が声をかけてきた。

 相変わらずの美人ぶりに感心していると、

「ウーゾスさん。しばらくお休みするならギルド主催で傭兵どうしの『親睦会』があるんで…「いかないよ」即答ですか?!」

 悪魔の誘いをしてきたので速攻で断った。

 だれが好き好んで嫌味を言われまくる場所にいくものか!

「絶対絡まれるからね。行かないのが賢い選択です」

「そういう人達は少なくなっているんですけどね」

「ゼロにはなってないでしょ」

 ゼイストール氏は残念そうな顔をするが、そんな表情にほだされるようなことはない。

 

 そうして傭兵ギルドを後にした僕は、久しぶりのアニメンバーに向かった。

 色々な出版社の新刊発売日が、戦闘への参加日と重なっていたので、結構な新刊やらデータソフトやらがでていた。

 それらを買うべく店内を見回していると、惑星イッツでのコミックマルシェの開催日が書かれていた。

 開催日は約7日後、開幕期間は2日間だった。

 そういえば最近そのあたりをチェックしてなかったなあ。

 でもこれで休む理由ができた。

 僕は会計を済ませると、すぐにゴンザレスとクルス氏に連絡を取った。

「今回は参加しようと思ってね。どう?」

 実は高校卒業後は、毎回は参加出来ていなかった。

 借金の事があって依頼を優先したり、勤務地の事情で帰還が遅れたりしたためだ。

それがしは公休日以外は有給を使って毎回参加していますからな。当然参加で』

『俺も初日が定休日だから、翌日臨時休業にして

久しぶりに参加するわ』

 2人とも定期の休みが取れる職業なだけに、予定が立てやすいのは羨ましい限りだ。

「有給のある公務員がうらやましいよ」

 こちらは仕事を休めば休むだけ所持金が減るからね。

 しかし2人からはジトッとした視線で睨まれてしまった。

『そのそれがしらの年収を2〜3回の仕事で軽く超えてくるほうがうらやましいですな』

『お前たしか、親父さんの借金返した状態でも預貯金は億いってるんじゃなかったか? しかもその借金も7割が返還されたんだろ?」

 ゴンザレスがにやにやしなから人の懐事情を暴露してきた。

 なんで知ってるんだよ? と聞くのは愚問だというのはなんとなくわかる。

「その代わり命がけなんだぞ?」

『もちろん承知の上でござるよ』

『だから高給なんだろ?』

 一応反撃をしてみるが、効き目は薄そうだ。

『ともかく当日は余裕が欲しいですから、近くのホテルに前乗りしますか。予約はそれがしが』

 列の先頭に並ぶにはなるべく早い方がいいが、徹夜並びは許されていないので、早く並ぶなら近いほうがいい。

『じゃあ俺車だすわ』

 会場への自家用車での来訪はマナー的に良くないが、帰る時だけ近くに車をつけて荷物を運べるのがありがたい。

「じゃあお願いするよ」

 どちらも自分からかってでてくれたので、宿代と燃料費は僕がだした方がいいかもしれない。

 ともかくその日は、そのまま入浴施設スパに行き、家に帰ったら漫画を読みながら就寝した。

 

 

 それからイベント前日までの5日間、学生時代のようなオタク生活にどっぷりと浸かった。

 とはいえ、部屋の掃除・ゴミ出し・洗濯を始め、船をビル・ドルグのおやっさんのところにメンテナンスに預けに行ったり、両親に電話をしたり、ローンズのおっちゃんから報酬が入った連絡が来たのでそれを取りに行ったりと、それなりにやることもあった。


 

 そしてイベント前日の朝。

 僕は着替えやタオルなんかはナップザックにいれ、空の旅行用トランクを用意して、待ち合わせの駅前に向かった。

 待ち合わせの10分前に到着したところ、既に2人とも到着していた。

 どうやら2人ともかなり楽しみだったらしい。

「じゃあ車をもってくるから」

 そういってゴンザレスがもってきたのは、ライトバンタイプのエア・カーだった。

 これなら3人分の荷物もラクに運べるというわけだ。

 車体に『パットソン調剤薬局』のロゴがあるのはちょっとなんだけども。

 

 そうして、会場である『星立文化ホール』に一番近いシティーホテルまで楽しいドライブと相成った。

 幸い、煽り運転や通行人からの襲撃を受けることなく到着した。

 会場である『星立文化ホール』に一番近いシティーホテルである『ピジョンホテル』は、初代のオーナが平和を願ってその名前をつけた。

 マスコットは鳩=ピジョン、ロビーには鳩小屋があったりする。

 『星立文化ホール』は毎年コミックマルシェの会場になっているため、この『ピジョンホテル』も有名だったりする。

 なので、よくシングルを横並びで3部屋も取れたものだと感心してしまう。

 クルス氏曰く、『市役所職員ならではのルートがあるでござるよ』とのことだが、とりあえず違法でないことを祈るばかりだ。

 昔は2人部屋に3人で泊まったこともあったが、いまはゴンザレスが見かけ的に同室はアウトだから、それぞれ個室はありがたい。

 そうしてそれぞれ部屋に荷物を置くと、一階のロビーに集まり、明日の購入ルートプランを練ることになる。 

 そうしてプランを練っていると、男女問わず、同類が続々とチェックインしてくるのがよく見えた。

 そんなの様子を見ていると、明日の本番が益々楽しみになってくる。

 

今回は平和回でちょっと短め……


今年の夏にはコミカライズが出るそうです


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― 新着の感想 ―
「見かけ的に...」でも結局1部屋に集まっちゃって、明け方まで語りあいながら寝落ちして、3部屋取る意味がない気がしますわ~(^-^)ノ いいなぁ、仲間たちとのこーゆー時間は貴重だ♪
ゼイストール氏はモブに優しいなあ・・・・・・。まあ、モブはそういう席は苦手でしょうね。僕も苦手です。
至極真っ当な、普通のオタク回。 貯金は高額でも、装備等の「必需品」が超高額だし持っておかないと死ぬしなぁ…
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