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一週間後と一カ月後
それから一週間後。月影は警視庁に渋谷署署長の鈴木を呼び出した。
「爆弾事件の捜査ではお世話になりました」
「はい。それで本当の用事は何でしょうか。ただお礼を言うために呼び出した訳ではないですよね」
「渋谷署に勤務する大野達郎警部補を警視庁捜査一課に異動しようと思う」
鈴木は驚いた。
「なぜですか」
「彼は今回の爆弾事件で我々の捜査能力と同等の能力を発揮した。上層部はそれを評価した。あとは本人が決めることです」
それから一カ月後。大野達郎は警視庁に異動した。大野は大きな段ボールを抱え捜査一課三係のドアの前に立つ。隣には千間刑事部長の姿がある。千間は大野の背中を押す。
「大丈夫だろう」
千間の言葉を聞き大野は深呼吸した。大野は緊張した表情を浮かべる。二人は捜査一課三係に入る。大野は段ボールを床に置いた。その後千間が大野の紹介をする。
「渋谷署から異動になった。大野達郎警部補だ」
大野は緊張している中で自己紹介をする。
「大野達郎です。よろしきお願いします」




