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名刺を交換した理由
木原と神津は車に乗り込んだ。木原は運転した。。
「この名刺を鑑識に回しましょう」
神津はタバコを吸いながら答えた。
「ああ。この指紋が脅迫状の指紋と一致したら物的証拠になる」
神津はしばらく沈黙して言った。
「もしも朝倉が犯人だとしたら、なぜ名刺を交換したのかが気になる」
「名刺交換は普通でしょう」
「そうだが、俺が犯人だったら名刺交換なんてしない。名刺には自分の指紋が必ず付着する。犯人の心理は逮捕されたくないから警察に証拠を与えないというものだ。それに今回の事件はマスコミを巻き込んだ劇場型犯罪だから犯人は巧妙に証拠を隠すはず。今後の犯行に刑事の連絡先が必要だったから交換したと思う。自分だけ貰うのも不自然なので交換したというのも考えられる。もしも俺が犯人だったらこの場合、潔癖症を装って、手袋をした状態で名刺を交換するが」
そんな会話をすると二人は警視庁に到着した。




