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接触
それから一カ月経った。私は東都大学の学園祭に行き、息子の所属していたバンドの演奏を聞いた。そして裏口からメンバーが出てきたタイミングで声をかけた。「五十嵐さんですか。私はサウンドプロジューサーの朝倉です。先ほどの演奏は素晴らしかった。実は近いうちにオーディションがあるので、参加してもらえませんか。私が推薦しますから。」私は名刺とポスターを渡した。五十嵐はしぶしぶ答えた。
「中林教授を説得してもらえるなら参加します」
「分かりました。説得したら練習を見学してからアドバイスをしますよ」
そう言って私は復讐の対象に接触した。まず教授を説得して参加を許可した。そして練習の合間に見取り図や人間関係を探り続けて四か月が経った。その頃に復讐するべき人物が分かってきたので、愛澤と朝日奈に電話した。
回想して思った。
「この復讐劇を知っている者。復讐をするようにうながした朝日奈さん。凶器を準備した愛澤君。情報収集をした前山田君。この中にただの復讐劇から劇場型犯罪に編集した犯人Xがいる」




