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カラージャンケンゲーム 前編

 午後九時の新宿はまだ明るい。だが路地裏は既に暗い。暴力団のような人たちが恐喝をしているところをスルーして、私たちは愛澤の経営するカジノデットオアアライブにきていた。私たちはと言ったが朝日奈はいない。メールによると仕事が入ったそうだ。私と前山田は店内に入店した。ドアを開けると一斉に暴力団のような人たちが視線をドアに向けた。進もうとしたらリーゼントの男が声をかけた。

「始めてみる顔だな」

 私は冷静に話した。

「愛澤春樹に会いに来た」

「愛澤さんに会いに来ただと。愛澤さんにはこのゴールドカードがないと会えない。どうしても会いたいならこの俺熊田剛に勝つことだな。俺はこのゴールドカードを賭ける」

 私は売られた喧嘩を買った。

「それならこの百万円の小切手を賭ける」

 前山田は反対した。

「馬鹿か。その百万は愛澤との交渉に使う」

「郷に従えだから俺は勝負する」

「ではシンプルにカラージャンケンで勝負だ。ルールは一般的なジャンケンと一緒だ。違いはカードで行うことだ。カードは四種類。赤青黄白だ。このパックには全てのカードと一枚ダブったカードの五枚が入っている。相性は、青は赤に強い。黄は青に強い。赤は黄に強い。白を使えば引き分けにできる。ただし一度使ったカードは破棄しなければならない。先に三勝した方が勝ちだが一勝したら合わせてやろう」

 二人の対決が始まる。


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