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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第九章 賢者

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166.最後の試練

 女神様からとんでもないセリフが飛び出してきました。女神様はマサトまで知っていたのです。そして、最北の神殿に来る必要があった訳は、この世界を救う為の過程であったわけなのです。


 私が冒険者にならなければ別の誰かがこの役目を担っていたかも知れませんが、何かの縁で私が担う事になりました。これもひとえに皆様方のご協力のお陰でございます。つきましては次回の選挙に是非とも私ことミドリを……いやいや、何を言っているのですか私は、頭の中が勝手に選挙運動みたいになってしまいましたよ。余裕をこいている様に見えるでしょうが、その逆、めちゃくちゃ動揺をしているのです。


 要は、これからマサトの所まで行かなくてはならないって事なのですね。彼は今船の上だと聞いているし、取り敢えず直ぐにカナディフシティに戻って悪魔退治のための準備をしなきゃですね?それにしてもなんで女神様はマサトを知っているんだ?この世に起こる事の全てを知っているのかな?


 生死は私が行っても生死は五分五分、正直言って怖い。勝負の行方は私にかかっているなんて重すぎます。それに、ゲームの中であってもやっぱり死ぬのは怖いよ。本当に役に立てるかどうかも分からないし、足を引っ張っちゃうかもしれない。


 体が震えて来る……落ち着かなきゃ。


 ところで悪魔って何に弱いんだろう。十字架だっけ、それとも銀の弾だっけ、え?それは吸血鬼に狼男ですって?あーん、混乱するぅ。


「あの、何をブツブツ言っておられるのですか?ミドリ様」


「あんた、大丈夫?」


「ミドリ、兎に角落ち着いて、私の話を聞いて下さい」


 自分の世界に入ってしまっていました。我に帰ると三人が三人共心配そうに私を見つめています。ああ、カリン様までそんな顔をしないでください。


「と、取り乱してしまいました。お話をお伺いします」


 大きく深呼吸をしました。はい。冷静になります。先ずは賢者の杖を手に入れる事ですね。それが無いとマサトの所に行っても単なる役立たずなのでしょ?今までも、3つの神器を手に入れる為に数々の苦労をしてきたのだもの、きっと、杖を手に入れる時も強烈な試練が有るのでしょ?さあ、何が来るかな?さっさと課題を言ってください。


「よろしいですか?3つの神器を手にしたという事は、賢者の杖を持つことのできる資格を得たという事なのです。そもそもですね……ああだの、こうだの……それでもって……あんな事やこんな事……しかしながらですね……」


 な、長い……話が長すぎて最初の方忘れちゃっています。なんだか古典の吉村先生の授業を聞いている時の様です。あの先生も話し長くてさ、結局何が言いたいのかよく分からなかったんですよね。無駄な話が多くてね。


「ちゃんと聞いていますか!」


「は、はい!」


 び、ビックリした。思わず身体が浮きましたよ。違うこと考えていたのバレました?カリン様とミザリは?ああっ!お祈りするふりをしながら寝てるよ。ズルい。


「ミドリさん。じゃあ、私が何を言ったのか言ってごらんなさい」


 えええ!本当に授業みたいじゃん。取り敢えず覚えている所から始めて……


「私が賢者の杖を持つことのできる資格を得たという事で、まだ所有者になれるか決まっていないわけなのですよね」


「……そうです。それを理解しているのならよろしい。では、一通りの説明も終わりましたので、賢者の杖を授ける事にします」


 女神様が手を広げると、その真ん中に光が放たれ美しい杖が現れました。黒っぽくてきれいな艶がある木の杖。長さは錫杖しゃくじょうの半分くらい。腰に差せば格好よく見えそうです。ただし、私の棒術の棒には使えないなぁ、きっと折れちゃうよ、そうなったら「有難い杖なのになんでそんな使い方をするんですか!この罰当たりがっ」って女神様から大目玉だわ。


「さあ、それを手に取るのです」


 杖を掴むと、身体の中に何かが入って来るような感覚が湧きました。魔力や、色々な情報です。そして明らかにパワーアップしていますよ。それに、使えなかった魔法も使える様になっているみたいです。


「ほらね、だから言ったでしょ。杖を持つことは出来ないって。そもそもですね……」


 女神様は目をつむりながら、鼻息荒く説教っぽいものを懇々と語っていますが……


 ちょっと意味不明、私ちゃんと杖を持てていますよ?


「ええ!持てていますね。どういう事でしょう?その杖は聖水を飲んで身体を清めた賢者しか持てない様になっているのに……杖壊れているのかしら?」


 女神様は首を傾げて私を見ています。カリン様とミザリも不思議そう。どういう意味だろ?聖水?ああ、あの聖水か。


「ああ、聖水なら飲みましたよ。あのミロの洞窟の中の洞窟にある聖水でしょ?大変だったなあ」


 私がポンッと掌を拳で叩いてそう言うと、三人共何故ミロの洞窟を知っていると、ぎょっとしたお顔。


「なんでそんな所に行く必要があったのですかっ?」


「えっと、それはですね……かくかくしかじか」


「それで聖水を持ち帰ることに成功したわけですね。なんとまあ」


 実は聖水を飲むことが賢者の杖を手に入れる最後の課題だったそうです。実はこの場で急にミザリが倒れる予定になっていて、と残念顔で女神様が話します。そして最後に「本当の目的は聖水を手に入れて貰う事だったのだ」と言うはずだったそうな。


「ミザリが倒れて、それが仮病だったって分かった時点で怒りますよ。あんな難儀なんぎな仕事を冗談でなんてされたらたまりません。それもめちゃめちゃ怒りますよ」


 私は両腕を組んで頬を膨らませました。女神様とカリン様はその姿を見て「愛らしい……」と言って誤魔化そうとしましたが、本当にそんな事をしたら、怒りますと再度言うと少しシュンとなっておられました。


 まあ、実際にされたわけではないのでこの辺で。でもね、お陰様で少し緊張がほぐれましたよ、感謝です。


 それでは賢者の杖の効果を教えて頂きましょうか。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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