君が好き? 狩人達のお茶会
会話がR13くらいでしょうか。肉食系女子による肉食談義です。
はてさてウィルシスから逃げ回る生活も少し長くなってきた今日この頃です。
出会えば襲われるという恐ろしい日々を過ごしているうちに、慣れてきま…いやっ、慣れちゃだめですね。
今日はピンクの古竜リアーナお母さんと、波打つ金髪に青い瞳、小麦色の肌のムチムチナイスバディな冒険者レイナ、緑竜隊の隊長になった銀髪碧眼のマリア、それから城の庭でプラプラしていた金髪碧眼の8歳の美少女王女アマリーアを交えて、グレンのお部屋での女子会です(一人部屋はいろいろ危険で、ありましたが無くなりました)。
お題は恋愛について。
アマリーアにはまだ早いですが、そこは王女様、もうすでに結婚相手を探しておられるので問題ないと言いきられました。
「リアーナはあの魔王を落としたんだったな、どうやって口説いたんだ?」
レイナ荒々しい冒険者ですが、元騎士だけあってお茶を飲む姿が優雅です。両手でカップを持ってお茶お飲み、ふはぁ~っと息を吐く縁側のおばあちゃんのような私とは違います。
これが女子力の違いでしょうかっっ。
リアーナはうふふと笑いながら私と同じように両手でお茶を飲み。ふぅ~と息を吐きます。
人と古竜の違いってことにしておきます。親子だから同じってことはないと…うん、きっとないです。きっと、たぶん。
「押し倒したのよ~。ひん剥いて食べちゃった」
クロちゃん…
思わず同情したのは私だけではありません。
ちなみにそんなちょっと哀れなクロちゃんは、現在リアーナを送り届けてから魔王の城に帰って、執務と子育てをしている最中だとか。義弟のラス君もすくすくと育っています。
「抵抗されなかったのでしょうか?」
「あら、マリアちゃんは抵抗されたの?」
緑竜隊隊長マリアの顔がぼっと真っ赤になりました。
ふふふふふ~、私知ってますよ。マリアの好きな人~。ていうか…
「マリアさん襲う側ですかっ!?」
驚きにテーブルで前のめりになって尋ねると、返答は驚く方向からありました。
「女が選ぶのよ。襲う方が手っ取り早いじゃない」
8歳…、8歳でしたよねアマリーアさん…。なぜ話についてこれて、飄飄とした表情でお茶を飲んでいられるのでしょう…。
「告白もしてくれないから襲ったのですが、出世するまで待ってほしいと泣きながら懇願されてしまって」
「あら~、ジェフ君ヘタレねぇ」
リアーナ名前暴露っ。ついでに緑竜隊の奇跡の男、ジェフの評価落ちたっっ。ひどい…。
「わ、私よりレイナこそどうなのっ? 今もレイファス様が好きなの?」
「えぇ! そうだったのですかっ?」
「リーリアうるさくてよ」
カオスっ。私だけカオスに呑み込まれておりますっ。
まさかレイナがあの赤竜隊のレイファスを好きだとは!
「強い奴は好きさ。隊長さんは…憧れってやつかねぇ。何度か襲ったこともあるけど」
「キュアアア!」
「リーリア少しお黙んなさい」
おそっ、襲ったって言いましたよ! このお茶会の人々は肉食系女子です!
一人じたばたしていると、アマリーアがベチンっと私の頭を叩きました。
う…頑張って落ち着きます。
椅子からは動いていませんが、なぜかぜぇはぁ言いながら私は椅子に座りなおします。どうやら悶えすぎたようです。
「レイファスさんとはどうなったのですか?」
ドキドキしながら問えば、レイナはう~んと腕を組んで首を傾げました。
「どうもならなかったね。それなりの関係だったけど、あの人来るもの拒まずだから」
レイファスさん! 普段はかなりのぼんやりさんだと聞きましたがもったいないです! レイナさんをつかまずしてどうするですか!
「一度試してみましたが、子供には手を出しませんでしたわよ」
アマリーアさん爆弾発言です!
さすがに私も声を出せず、心で「ヒィィィィ~」と悲鳴を上げ、ムンクの叫びを体現しますよ。
「やぁねぇ、いくらなんでも私襲いかかってはおりませんわ。ただ、私くらいの小娘と恋愛できるのか聞いてみただけですわよ」
真っ白になりかけておりましたが何とか戻ってこれました。しかし、アマリーアはわざと言い方を誤解されるようにもっていった感がありますよ。気のせいじゃなく、えぇ、気のせいじゃなくです!
振り回されていると感じた私は気を引き締めます。
この世界の恋愛事情はきっとアメリカナイズなのです。大和撫子がついていけないのは当然です。現代っ子ならついていけるかも知れませんが…。
「う~ん、私としてはぁ~、リーリアちゃんの方が気になるわぁ。進展したの?」
ぐほっ
落ち着けーとお茶を一口飲んだところでのリアーナからの爆弾投下に思わずむせましたっ。
「総隊長さんの方が押してる感じだったねぇ」
「黒竜隊のケインが真っ赤になってましたわ」
「まだキスも許していないのでしょう?」
「「「それはひどい」」」
責められたーっ。なぜか私が責められました。
抗議のために口を開きますが、何を言っていいかわからず漏れる言葉はピキュピキュピキョ。
椅子の上であたふたと身振り手振りしますが、何を伝えたいかは自分でもわからず、撃沈いたしました。
「嫌いなの?」
リアーナの問いに私は首を横に振ります。
「それならキスぐらい許してやったらどうだ?」
「それは…その、されることはありますよ?」
「同意がなかったら意味なくてよ!」
同意…は、あったりなかったり…。いや、同意する前に押し倒されるという感じでしょうか。それを説明すると、マリアがしばしの沈黙の後、恐ろしいことを言います。
「でしたら、自分からしてみてはいかがでしょう。気持ちが重なればきっと先へ進めますわ」
ナヌ!?
優雅にお茶を飲む女達の目がキラピーンと光ったような気がするのは気のせいですかっ!?
「じゃあ、善は急げ、よ。さっそくやってみましょうね」
やるってなにをですかぁぁぁぁ!?
私はそのままずるずると、女狩人達に連れて行かれるのでした・・・・
たーすーけーてーっ
逞しい… まさかのマリアも逞しい女だった…
リーリアの運命やいかにっっ round2へ続きます




