デートに行きましょう+イラスト
ウメジソ様より萌爆発するイラストをいただきました!
キュートすぎて大興奮っ
最弱竜の番外編には初参戦のイラスト付き小説をお送りしますっ
ウメジソ様ありがとうございます!
゜・*:.アリガ。.ヾ(❀◕ω◕)ノ ゜・*トゥ:.。゜・*
「デートですか?」
食事用のテーブルに置かれた朝食を前に、古竜用に作られた椅子に座った私は、赤い髪に蒼い瞳のこの国の守護竜であるグレンと、銀の長い髪に真紅の瞳の騎士団総隊長ウィルシスに挟まれて餌付けされながらの朝食です。
そんな席で、国王様が何かに呆れながらもデートなるものを提案してきました。
「リア、あ~ん」
話の途中ですがウィルシスの差し出す分厚いハムにつられて口を開けます。
「はい。あ~んです」
ウィルシスからハムをもらうと、むぐむぐと咀嚼します…て、いつの間にかこのスタイルが日常化していますよっ! いつの間に!?
国王様の呆れ顔はこのせいですか!?
がびんっとショックを受けたところで反対側からグレンが卵を差し出し、それも思わずあ~んで受け取って…
人としてどうなのですか、(人じゃなく古竜ですが!)この腐った生活っっ
項垂れ、ほろほろと椅子の上で泣きましたよ…。
いい年した大人なのに…。
自分で、自分で食べなくては! 古竜用の椅子も泣いてますよっっ
「うぉっほんっ、で、どうなのだ?」
国王様の咳払いで打ちのめされていた私は顔をあげます。
なんでしたかね。…あ、そうそう、デートですよ。
国王様が言うには、(うやむやのうちに)婚約成立したことですし、仲を深めるためにもデートをしてはどうかというのです。
「町中デートでどうだ?」
国王様がさらに提案すれば、すかさずウィルシスが告げる。
「僕はデート以上でもいいよ?」
ニコリというより、にやりとウィルシスが微笑みましたので、私は慌ててテーブルに身を乗り出しますっ。
「デート大賛成です!。健全な心に健全な肉体と申します。ぜひに町中デートでお願いしますですよっ」
それ以上なんて危険な香りがするものは回避です! 全力回避!
国王様がうんうん頷きながらにっこりと微笑み、隣でグレンが呆れたように小さくため息をつきました。
…あれ? この反応は…ひょっとして私、デートを受ける必要はなかったのではないでしょうか…?
「決まりだね。さぁ、そうと決まれば準備しようか」
にこにこと微笑むウィルシスのその微笑みが黒いです!
やはりこれは罠ですよ!
「決まってませんよっ! これは罠ですっ。罠なのですっ! グレンッッ」
へるぷみぃ~っと手を伸ばしましたが、私の体はウィルシスに拘束されてそのまま連れて行かれました。
グレンは私をちらりと見た後、ひらひらと手を振りました。
グ、グレンの裏切者ぉぉぉぉ~っっ
「キュルアアアアアア~ッ!」
廊下に本日も私の鳴き声が響きましたよ…
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人間ではなく、古竜も諦めが肝心ですね。
ウィルシスの部屋に連れて行かれた私は、ソファに座るウィルシスの膝の上に乗せられて体内の魔力を動かされました。
もちろん人型になるためです。
また裸族になるのにお膝の上はやめてほしいものです。
当然抵抗は最大限させていただきましたが、悲しいかな最弱竜の名は伊達ではないのですっ。
スタミナ切れと共に人型へと変えられましたよっ。
いつものごとく、白い長い髪に黄金の瞳の裸の…おや?
「…邪魔が入ったな」
ぼそりとウィルシスが呟き、傍に置かれたテーブルの上のベルを鳴らしてメイドさん達を呼びました。
「彼女に似合う服を用意してくれるかな」
そう言って私を膝の上から解放します。
「まぁ…このお姿ではご用意した服が着れませんわね。すぐに別の物をご用意いたします」
メイドさんがそう言って裸族の私にローブを着せてくださいました。
ですが、ちょっとローブが大きいです。
裾はずるずると引きずり、手は袖から出ないのですっ。
それはなぜかと言いますと…
なんと私! 子供の姿です! 10歳ぐらいでしょうかね?
「ウィルシス、失敗したのですか?」
イメージとしては私の体内の蓄積した魔力を少しずらすような感じで人型になるのですが、魔法とも呼べない変化を促すのに私ではない誰かが失敗するのは初めてです。しかも、やり直そうとしないところが不気味と申しますか…。何かありそうな気がしますよ? わざとですか?
チラリと見上げれば、ウィルシスは首を横に振る。
「失敗はしてないよ。たぶん黒い誰かがわざと子供の姿になるよう仕向けたんだろうね」
「黒い誰かですか?」
首を傾げると、ウィルシスは頷き、ちらりと窓の外へ視線をやりました。
そこに何がいるのでしょう…?
「誰かいますか?」
チラリと目線をそちらに向けますが、何者の姿も見えません。近づいて下の方ものぞいてみましたが城の庭があるだけで誰の姿もありませんね。
「…いないよ。それよりも、準備ができたようだし、可愛くしておいで」
ウィルシスに背中を押され、私は首を傾げながらもメイドさんの元へと押し出されました。
・・・・・・
「こちらのお色も似合うのでは!」
「か、可愛いですわ! あ、髪はこういたしましょう!」
お、お姉さま方テンション高いです!
あっ、ちょっ、まってぇぇぇぇ~!
・・・・・・
着替えが終わると、ぜぇはぁと息を荒げる私と、やりきった笑顔のメイドさん達。
なんだかいろいろいじられましたが何とか完成です!
「うん。可愛い」
私はウィルシスの微笑みに照れながらも、彼が差し出した手を取り、いざ町中デートへと向かいます!
よく考えたら、私、まともなデートってこれが初めてではないでしょうかね…?




