表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不可思議情報の私的考察  作者: ツジセイゴウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/100

File51 カエルの子はカエルか

生物学的には、読んで字の通りである。カエルからヘビの子が生まれたりしたらそれこそ一大事である。この言葉は、一般的には凡人からは凡人しか生まれないというたとえとして用いられる。平凡なサラリーマンの子は平凡なサラリーマンにしかなりようがない。

一方で、「トンビがタカを産む」ということわざもある。実際、平凡なサラリーマン家庭の子がオリンピック選手になったりもする。生物学的には、突然変異でも起きない限り、これだけ大きい飛び級的進化はありえない。あくまで人間社会で起きる出来事をたとえて表現したものである。

この2つのことわざは、人の能力が遺伝により決まるのか、それとも後天的な努力によって決まるのかを問うている。実際は、その両方の中間のどこかに落ち着くのであろうが、筆者は、遺伝的要素の方が圧倒的に大きいと考えている。つまり「カエルの子はカエル」である。

実際、競走馬は高い種付け料を払って駿馬の精子をもらう。和牛も、高級なものになると種牛なるものが存在して、高い値で取引される。これは、優秀なモノは遺伝で決まるということを、最も端的に我々に示してくれている例である。もちろん、育てる環境やエサの内容次第で、競走馬の実力や和牛の肉質は変わるかもしれないが、牛馬の世界ではハッキリと遺伝優位である。

人間は犬畜生と違う何かがある、努力次第でいくらでも伸びると説教する人がいるかもしれない。では、なぜ全員が東大に行けないのか。東大に合格した人としなかった人の努力の差はそんなに大きかったのか。人一倍勉強しても東大に行けない人は数多くいる。それは、もうその人の責任ではなく、親の責任である。頭の悪い親の子に生まれたことを不運として嘆くより仕方がない。カエルの子はやっぱりカエル以上でも以下でもないのである。

では、トンビがタカを産む方はどうか。こんなことが遺伝的に起こりうるのだろうか。

最近面白い実験結果が発表された。真っ暗闇の中でハエを育てて、何世代ほどで進化が起きるかという実験である。ハエの寿命は約6週間、卵から成虫になるのに約2週間かかるので、人間の約700倍のペースで世代交代が進む。だから、環境変化が遺伝子に与える影響を調べるのに適している。

このハエを真っ暗闇で50年間ほど飼育を続けたところ、1400世代目ぐらいでようやく触覚と嗅覚の遺伝子に目立った変化が現れたという。これを人間に換算し直すと、数万年単位になる。要するに、環境の変化によって生物の運動機能に顕著な変化が出るのには、それほど長い年月がかかるということである。

結局、人の一生のような超短い時間では「カエルの子はカエル」にしかならないと考えておく方が正しいようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ