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私がこだわっている事。
それは…。
『私は結婚しない。』
だって、『私は結婚できない。』のだから。
「ヒロがね。のんちゃんに申し訳ないって言ってたよ。」
かわいそうなヒロ。
何にも悪くないのに、まだ私に罪悪感をもっている。
「ヒロは優しいから。」
優しいから、今も私の心配をしてくれる。
優しいから、親も大切にしている。
幼馴染のヒロ。
私に姉がいなければ、恋愛関係にでもなっていたのかなぁ。
私達はずっと仲が良かった。
ヒロのお母さんも優しかったし、ヒロのお父さんに「嫁においで」なんて冷やかされたり。
仲がよかったのに。
姉が死んで悪い噂が立ち始めて。
でも、ヒロは変わらず優しくて。
うれしかった。
でも。
変わらないままではいられなかった。
ある日、ヒロの忘れ物を家まで届けた。
ヒロは留守だった。
よそよそしい態度のヒロのお母さんが出てきた。
「申し訳ないんだけど…。」
ウチノコトカカワラナイデ。ジュケンセイダシ。ヘンナウワサニナリタクナイノヨ。
ウチノコヤサシイカライエナイダケナノヨ。
姉は姉。
私は私。
そうじゃない。
姉は私。
姉も私も同じ両親から産まれた同じ子供。
姉が悪ければ、妹も悪い。
家族全員悪者。
ヒロは優しい。
優しかったヒロの家族。
ヒロは家族を大切にしている。
お母さんだってヒロを大切に思っている。
家族ってそういうもの。
私は結婚できない。
きっと姉の事がバレたら反対されるから。
私は相手の家族に受け入れられない。




