二十☆【前編(中)】ねむりひめ……。
無茶振り連投……。
頭を抱えながら座り込むコウ。
コウにはリーシャと名乗る生物の声は全く聞こえていないので、泰斗が急に覚醒をしたかのような無茶振りを連投してきていると勝手に勘違いをしている。
それに対してどう返せば良いのかを必死に考え迷走していくコウ。
頭を抱え座り込んだまま「えっと……」や、「急に城ってぇ……」とか、「ああぁぁ」と、何かの呪文を詠唱してるかのようにぶつぶつ呟いている。
「ふふっ……可愛げがあるんだな」
「ぎゃー!もうやめてぇーーー!!」
「きゃーぁ!ルシー様っ!こんな所で急に褒めないで下さいぃ!!リーシャ、キュンってなってしまいますぅー!」
小さな生物が小さいなりに一生懸命に全身を使って気持ちを伝えようと話すその動きが少女のする所作に被り、可愛さを感じた泰斗。
コウは自分の動きを見た泰斗から可愛いと言われたと思い、恐怖に怯えている……相変わらず泰斗はコウをスルーだ。
「ルシー様……監視……女……根城……ルシー様……監視……女……根城……」
「ああぁ……そんな無茶振りはおれにはまだぁ……おれにはぁぁ……」
「コウ?何やってるんだ?悪い。用事を思い出した。今日は帰る」
「ああぁぁぁ……勝手すぎる……もう……やーめーてーぇぇぇ……」
コウにはリーシャの声は届いていないことを察し、泰斗はコウと離れリーシャに命令をする。コウは放置状態になった。
「おい。おれを城まで案内してくれ。何かに記憶を操作されているようなんだ。お前しか頼れん」
「きゃーぁぁぁ!きゅ、急にデレるのは禁止ですぅー!ルシー様に頼られてしまうとリーシャ嬉しくて溶けてしまいそうですぅー!今日はルシー様いつになく甘えん坊さんですね〜。あああっ!もしやっ!これはとうとうわたしのターンなのか!ターンがきたのかっー!!いや、落ち着け……ふふっ……冷静になるんだリーシャ!……んん〜兎に角!全部このリーシャにお任せを!!」
落ち着けと自分に言い聞かせている割に表情はよだれを垂らしてしまいそうな程に情けなく、にやけ面で口は全く締まりがない。
泰斗は薄々感づいていたことがあった。それを決定付ける為にリーシャを上手く踊らせる寸法だ。
しばらく進んだところでリーシャがその場に留まり、ぱたぱたとゆる〜く上下している。
「る、ルシー様っ!こちらが私達の三大根城の一つ……」
リーシャは何かを躊躇っているようで眉を寄せ視線が泳いでいて、後ろめたさからか上手く泰斗を見れていない。先ず、さっきの話とは打って変わりどうやら根城は三つある設定に変わったらしい。
「ユ……ゆ、遊園地でございます。私達は日々の業務を全うし、いっつもこの楽しき根城で愛を育み……」
自信がないのかリーシャの声のトーンも次第に低くなり尻つぼみになってきたところで泰斗が被せ気味にリーシャに告げる。
「おい。お前。そんなわけないだろう。真面目にやらないとご褒美はお預けにするぞ」
「なっ!何をおっしゃいますかルシー様ぁ!もう一度!もう一度だけこのリーシャにチャンスを!愛の手を!」
「わかったから急いでくれ」
再度、しばらく進んだところでリーシャがその場に留まり、ぱたぱたとゆる〜く上下している。
「先程の無礼をお許し下さい……る、ルシー様!こちらが私達の三大根城の一つ……」
リーシャはやっぱり何かを躊躇っているようで眉を寄せ視線が泳いでいて、後ろめたさからか上手く泰斗を見れていない。根城は三つある設定は継続らしい……どもってるところは基本、声が裏返っている。
「し……しょ、ショッピングモールでございます。私達は迫り来る脅威を物ともせずに切り抜けて来れたのには訳があり、その原点とも言える……」
自信がないようでリーシャの声のトーンが再度尻つぼみになってきてところで泰斗が被せ気味にリーシャに告げる。
「おい。お前。そんなわけないだろう。急いでるんだ。褒美はもう無しだ」
「ああぁぁ!なぜに……なじぇに私は欲に流しゃれてしぃまったの……いい子いい子がぁぁぁ……んわぁぁぁーん!!」
全力でリーシャが泣きじゃくり仰向けになり両手足をバタつかせている。呆れた泰斗は視線を逸らし一人で先へ向かった。リーシャは構って欲しく全力で泣いていたが、ふと冷静になり放置をされてることに気付き寂しさに負け、急いで泰斗を追い掛ける。
「あ〜ん!ルシーしゃまぁぁぁ!お待ちになって〜なぜに城の位置がわかるのでしゅか〜?」
「お前が森の中と言っただろ?どう見ても森はあっちしかないだろ」
「も〜。私がこんなにも愛おしく思ってるというのに。ルシーしゃまはつれないですね……あ〜ん。待ってくだしゃい……」




