十五☆【前編(中)】葬る思い……歴史に残る収穫……新しい日常……じゃおれ言っちゃうからね……。
人類の歴史に残る新たな発見……。
「きゃはは。に〜っておもろいね!」
楓が楽しそうになゆりに話し掛ける。なゆりの近くにいたちぃも笑っていた。
「そうね。マスターも便乗してたみたい。ふふっ」
「おーい!柚葉ー!またなんかエッチなのを頼むー!」
「随分と潔いお願いの仕方ね。今回は楓に任せるわ」
「任された!よ〜し。先ずはちぃちゃん!こちょこちょ~!」
「はんっ……うっ……あっ……きゃははは!やめてっ。ちょ……ちょっと!」
男湯から「「おー!」」と言う歓声が聞こえる。こちょこちょで笑ってしまうほんの少し前の漏れる声が、えっちな声に聞こえると言うのだ。しかも裸と裸でこちょこちょをしている二人を想像してしまう所が興奮に拍車を掛ける。ひそひそと相談をしているコウと邦正。
「楓ー!今度は柚葉を頼むー!」
「任された〜!こちょこちょ~!」
「ちょっ……やめっ……んっ……あっ……あははははっ!楓!ほんとにやめてー!」
柚葉は予想以上にくすぐりに弱いようだ。 男湯から「「おー!」」と言う歓声が聞こえる。
「楓ー!今度は柊を頼むー!思いっきりいこー!!」
「任された〜!こちょこちょこちょこちょ~!」
「ちょっと、やだっ、ぁん……くすぐっ……はぁん、あっ……あはは!やめてっ、もう!あっ……涙が!あん……涙が出てきたぁもう!楓の馬鹿!」
男湯から「「おー!」」と言う歓声が聞こえる。またひそひそと相談をしているコウと邦正。
「おい……これ……やばいな……」
「うん……変な動画よりよっぽどいいね……」
「これは人類の歴史に残る新たなえっちイベントを生んだのかもしれない……」
男湯から「楓!色々な意味でありがとう!」と言う声が聞こえる。この至福の時を遮るが如く柚葉が動いた。
「もう、わたしのぼせそうだから上がるわ」
その後になゆりとちぃが続く。
「そうだね私も上がろ」
「なら私も行くわ」
「楓はもうちょい洗ってく〜」
「あんたのぼせないようにしなさいよ」
一方、男湯からは切ない溜め息が聞こえる。
「はぁ……終わってしまった。だが人類の歴史に残る充分な収穫だったよな?」
「はぁ……そうだね。永遠に終わらないでほしかったね。せめて終わらない夏にしなきゃね……」
「ああ。その通りだな……」
余韻に浸っているコウと邦正。気付いたらマスターはもういなかった。それから直ぐに上がり、着替えを済ませ、取り敢えずコーヒー牛乳を買い皆で飲み、それから車に乗り込み、別荘へ戻った。
椅子に座りボーとしているコウに気付きなゆりが心配そうに近付いて来た。
「桐宮くん大丈夫?」
「あー。のぼせたかも……」
「もう……変なことばっかりやっているからよ」
「うー。ごもっともです」
「柊……助けて……」
ふらふらし、なゆりに寄り掛かるコウ。驚きと緊張を表すなゆり。
「きゃっ!だ、大丈夫?」
上手く支えきれていなかったのか、そのままなゆりの方へコウは倒れた。
「わるい。もう少しだけ、このままで、いいか?」
「う、うん。大丈夫だけど……こんなに近くだと、ちょっと……」
結果、なゆりに膝枕をしてもらっている形になるコウ。なゆりの鼓動が太股から聞こえて来そうだ。風呂上りのいい匂いがする。なゆりは長い髪がまだ乾ききっていなく、タオルを肩に掛けていた。柚葉が何かを終えリビングに戻って来た。
「ちょっと!何あんた達イチャついてるのよ!」
「違うの!桐宮くんのぼせちゃったみたいで……」
「……もう。しょうがないわね。待ってなさい」
柚葉が急いでタオルを湿らせコウの頭に乗せた。いつも攻撃的な柚葉の言動や行動も、こんな時はモードが変わるらしい。どこかいつも優しさを秘めていて困った時には本当に頼りになる子だ。
「柚葉か……すまない……ありがとな」
「あんた変なことばっかやってるからよ……」
「はは。こういう時は柚葉は優しいんだよな。柊、もも重くないか?」
緊張の為か硬くなっているなゆり。多少上ずった声で答える。
「う、うん。大丈夫」
ちぃがそんななゆりを見て何か意味深な表情を浮かべていた。




