十三☆【前編(上)】ぅ、何よこれ!!!……共有……。
夕食準備前……。
「ぅ、何よこれっ!!!」
動揺を隠し切れずに柚葉が叫んだ。
その画像は今の邦正からはイメージがしづらく、色を抜いた髪の毛にセットスキルレベルも高めでホストのような髪型……そして多少生意気な顔付きで「女の子を何人も味見してますぅ」と、言わんばかりに細い輪郭の邦正。
「しおん!あちしもみたい〜」
楓が奪うような勢いでスマホを手に取る。
「ん、なんじゃこりゃあ〜っ!!」
「私も見ていいかしら?」
珍しくちぃが興味を示しスマホをのぞき込む。いつになくどや顔の邦正。コウは全然面白くなーいと言わんばかりの顔をしてぶーたれている。
「えー!別人だわ。かっこいい。太るとこんなに人って変わってしまうのね」
素直にポロッと零したちぃ。
「まぁ。今となればネタなだけね」
と、柚葉。邦正が助けを求める。
「こう!当たりがやっぱり強いって!えんじぇるの件でもかなりの活躍をした縁の下の力持ち兼、 今は表向きも明らさまに力持ちだよ!」
「うんうん。だから邦正は一言多いんだって」
「だって!当たりがっ!」
「その体重を活かしてどっしり構えているべきだぞ。そこから魅力が生まれることもある」
「ほんっと。ブレッブレだわ」
「うっ……味方はどこへ?ちぃちゃんかな?」
泣きそうになっている邦正がちぃに視線を逸らされ、味方不在を知りコウへ矛先を向ける。
「ほら!こう!見せない方が普通のデブで居られたじゃん!今はもう、なんか一回り嫌味を纏ったデブみたいになってない?纏ってるのは程よいお肉だけだよ!学校行事のダンスとかしか女の子なんか触ったことも無いよ!」
ここまでのダメ男アピールは流石に同情を誘うようだ。
「分かった邦正。邦正には明日がある、モテ期もきっと来る。だが……単純に、痩せた方がいい」
「今のおれからそれを取ったら何でボケればいいの?何も無くなっちゃうよ?」
「体型を使って楽をしてボケてたおまえが悪い。今までがぬるま湯に浸かっていたんだからしょうがない」
「そこはフォローしようよ。もう。こうなったら木目でもかーぞえよっと」
部屋の角で体育座りをし木目を数えて現実逃避を始めた邦正。コウが新たな話題に切り替える。また長方形のテーブルに邦正を除いた六人が座り、楓がテーブルにだらーんと腕を枕にみんなが見える方へ顔を向けている。柚葉は左手で頬杖を付き、ちぃは相棒を抱えちょこんと椅子に座り、両足をブラブラさせている。なゆりはやっと水着を着替え淡い色のワンピースを着ているからか安堵の表情をしながら、両腕の肘をテーブルに置き頬杖を付きながら楓の方やちぃの方を見て何かを話している。マスターは珈琲を淹れようと器具を手に取り準備をしていた。
「よし!ではそろそろ夕食の準備でもしないか?皆で作るとイベントみたいで結構楽しいんだぞ」
「いいわね。何を作るの?」
「そうだな。一応具材は多めに買っておいた。何からでもいいんだが……先ずはカレーとサラダにしよう。今回の合宿は一泊二日だからな。まだ楽しみはちゃんと取っておかなきゃな」
柚葉が意味深に微笑んでいる。おそらく良い意味で柚葉の女心をくすぐれたのだろう。柚葉にスイッチが入ったようだ。
「では女の子はこっちに来なっさーい♡また着替えるわよ〜」
またもオネエ降臨。なゆりが心配と言うか……どちらかと言えば柚葉がなゆりの恥じらいを誘うことを期待して止まないコウ。楓が愛らしく去って行く。
「に〜またね〜可愛く着替えて来る〜」
「おー。行ってこい〜」
きっときっかけが無いと会話に入れなそうだからと、ちぃにもちゃんと会話を振るコウ。
「ちぃは料理出来るのか?」
「最近は学校へ行かなくなったから、ママが料理だけはしなさいって。でも始めたばかりよ。一人では何も出来ないけど、手伝いならいつもやってるわ。私もエルの所に行って来ようかしら?」
「おう。行ってこい〜」
ちぃも遅れて二階へ上がっていった。またまた柚葉が悪戯をしているようだ。わざとらしい声がぎりぎり届く大きさで聞こえてくる……。




