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Neither Nor〜友人にも恋人にもなれない2人の物語〜  作者: 春槻航真
とあるクラスの海色ダイアリー
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初日昼の部その⑦

「まあとりあえず、新倉(にいくら)は仏教徒として保留するとして」


 結局修行僧扱いじゃねえか。


新河(しんかい)は彼女いるんだよな」


「他校にな」


「駿平は武田さんがいるとして、後は俺と遠坂(えんさか)だけか」


「いや俺違うから」


 梅野(ばいの)は自然な流れで遠坂の方に手を置いたが、衛藤はどうやら抗議したいみたいだ。いや僕も別の意味で抗議したいが。


「もういいじゃん。駿平は武田さんとくっつけって。訳のわかんない女ひっかけんなっての」


「訳わかんないんじゃなくて向こうからきてんのよ?別にあいつキープしてるわけでもないし」


「でも昔はキープしてたんだよな?」


「な、おま……」


「はっはっは、行きの車でしこたま聞いてきてやったぞお前の悪行をな」


 そういやそんな話してたな。新河と岐阜の街並みについて語っていたからすっかり忘れていた。その車に乗っていなかった遠坂だけが首を傾げていた。眼鏡を取った遠坂の姿は、少し精悍とした雰囲気になった。元野球部というのも納得だ。


「何言ってたっけ?」


「知らん」


 新河が尋ねてきたから反射的にそう返してしまった。


「そもそも僕は知らないけど……」


「よしじゃあどうしてあの2人が拗れたのか俺が今から説明してやろう」


「おいふざけんな傑。プライバシーの侵害だぞ??」


 衛藤は心底嫌そうな顔をしていた。俺としてはそんなに興味はそそられなかったが、一応耳を傾けた。しかしそれは、ずっと聞き入るとのぼせてしまうんじゃないかというくらい複雑怪奇な有様だったので、脱衣所でも続けられることになった。


 あらましを箇条書きするとこうなる。


 ・幼稚園の時2人は出会い仲良くなる。

 ・衛藤→武田に告白、まだ幼児の戯れ的なやつ

 ・他の女子から武田がハブられる。関係解消

 ・小学校では友達な関係、周りから冷やかされる

 ・小5の時他の女子→衛藤に告白。付き合うもすぐ別れる

 ・これを中2までに20回くらい繰り返す

 ・中2のバレンタインに武田→衛藤に告白、なおその時衛藤は彼女もち

 ・ホワイトデーに先輩がいるからと言って振られる

 ・中3の5月に衛藤が先輩と別れる

 ・その後衛藤から付き合ってほしいと言われるがキープされていたみたいで嫌だと武田が固辞

 ・高校入学と同時に武田→衛藤に告白するが既に衛藤には彼女がいた

 ・彼女取っ替え引っ替え期間が続く、武田との仲は継続

 ・今年の夏休み前に彼女に振られる

 ・その3つ前の彼女とよりを戻す話になり、武田に相談

 ・3つ前の彼女と武田で修羅場

 ・余りにぞんざいに扱われて武田のメンタルが死ぬ←今ココ


 ご理解いただけただろうか?俺は全くわかっていない。


「なんか、下手な少女漫画より話複雑でめんどくさいな」


 遠坂が何度も言い放ったこの言葉がこの顛末を明確に表していた。この世にはこんな男もいるのかと、俺は口を開けたまま閉まらなかった。

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