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8月19日その①

 朝起きたら、しんしんと雨が降っていた。自転車で移動しようかと話していたのに、天気予報も晴れると言っていたのに、なんで愚痴りたくなったが仕方ない。


 ただ、一応連絡をしてみよう。そう思って俺はLINEを送った。


『雨降ってるね、どうする?自転車で移動しにくいし別の場所にする?』


 出来れば槻山駅近くにしてくれたら嬉しいなとは言わないでおいた。いやそうだったら嬉しいのは確かだけれども、彼女にだって何か事情があるのかもしれないし。


 時刻は朝の7時半だった。遅くまでマフラーの製作をしていた割には、目覚めも良かったし睡眠も十分に思えた。もう給料が入った後だったから、朝ごはんもちゃんとご飯を炊いていた。今日は買い物に出かけた後でバイトに行く。結構ハードなスケジュールだ。


 ご飯に塩をかけて食べる。乃愛(のあ)がまだ寝ていたから、卓袱台を広げることはできなかった。仕方なく、行儀は悪いが立ち食いだ。最大三合までしか炊けない炊飯器のそばで、シンクに持たれつつご飯を食べた。少し塩をかけ過ぎただろうか。塩加減が難しい。


 ブーっとなったバイブ音。自分かと思ったら乃愛のスマホだった。なんだと思って箸を持った瞬間に、今度は自分のスマホがブーっとなった。


『そうだね、それじゃあ槻山駅のショッピングモールにするよ!そこに10時でいい?』


 彼女も早起きだなあと思いつつ近藤(ちかふじ)に感謝していた。こちらの意向を汲んだ訳ではないのだろうが、正直一緒に買いに行く上で駅の方が都合が良かった。


『いーよ、わざわざありがとう』


 そう返信をして、ご飯を食べ切った。そして……そういえば何を着て行こうかな。おしゃれな服なんて持っていないが、よれよれのTシャツを着て行くのはドレスコード的にアウトな気がした。


 昨日乃愛が洗濯してくれた服から、1番最近に買った白色に一本水色の横線が入ったポロシャツを取り出した。ズボンはいつものGパンだ。これでもまだデートの格好としては相応しくないのかもしれないが、それでも許してほしいと思った。


 デート……これはデートなんだよな。2人きりで買い物に行きたいと言った月明かりの近藤を思い出す。女の子とデートなんて初めてだ。いや、そもそも誰かとウィンドウショッピングすること事態が初めての経験かもしれない。うん、初めての経験だ。そう考えると少し不安だ。


 未だに寝ている乃愛を横目に、不安なまま着替えて、少しだけ家事をして部屋を出た。珍しく、乃愛はお寝坊をしていたようだった。

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