表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/365

7月13日その③

 風呂から上がってきて、タオルで頭をくしゃくしゃと吹いていた。遠くで2台の自転車が遠くへ走り去っていくのを、影だけで察した。隣に住んでいる老丹さんは、周りをキョロキョロしながらシャワー室へ向かっていった。残念ながらそこに入っていたのは(おとこ)だよ、何てそんなことはわかった上で向かっていったんだろうけども。


「お風呂上がりましたー」


 ガチャリとドアを開けると、まだ乃愛(のあ)は部屋を片している途中だった。コップが3つ並んでいた。だいぶに早く帰ってきていたはずなのに、乃愛はまだ学校にいる時と同じ服を着ていた。


「……そんな綺麗にしようとしないでいいんだぞ?別に俺、潔癖症でも何でもないんだから」

「や、ちゃうねんそういうことやないねん。ほら、あんたおらんのええことに派手に汚してもうたから、流石に直さんとなあって思って……」


 そう言いつつ乃愛はコップをシンクにぶち込んでいた。そして冷蔵庫をばあん!!と開けて、ラップされた今日の晩御飯を温め始めた。


「お、今日は炒飯?」

「せやでー!好きやろー?」

「おう好きだぞ。あの味付けがさっぱりしたほとんど味のしない炒飯が」

「……何回も言ってきたけど、そんな炒飯ないからな!!」


 電子レンジが仕事をしている間に、俺は尋ねることにした。


「で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 へあ!!?!?って顔をしてこちらを見る乃愛に、俺は呆れてしまった。どうやらまだバレていないと思ったみたいだ。


「え?そ、そんなこと、してないよ?」

「3つ汚れたコップは?」

「み、水の飲み比べしてたの!!」

「何だその貧乏人がやる高貴な遊びは。それじゃあ久し振りに出されて奥に置いてある2枚の座布団は?」

「そ、それは……1人枕投げしてたの!!修学旅行の予行演習で!!」

「何だその世界一いらない演習科目は!?良いんだって、そんな無理しないで」


 俺は電子レンジから炒飯を取り出して卓袱台に置いた。


「自転車のステッカー。藤ヶ丘には名前を書く欄があって、それ書かなきゃ駐輪場の使用許可が降りなかったよな?」


 乃愛は自然な流れで対面に正座して、少ししゅんとし始めた。


「そういうことだ。ここに近藤憐(ちかふじれん)と、阿倍中高の誰かさんが来たことは知ってる。ここからが本題だ。何をしてたんだ??」


 ここから長い長い話し合いになったのは、想像に難くないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ