7月13日その①
今日の仕事は流石につらかった。いやそりゃそうだろう。誰にも反論されていなかったが、俺は声を荒げたくなった。帰ってきたテスト結果に一喜一憂した午前中、ドッチボールで中途半端に最後のこってしまい回りから謎の期待をかけられてしまった午後2時、バスケットボールで前の女子チームが大量にリードされた状態で回ってきて、特に得意ではないのにバスケをさせられて、同じクラスの有田に任せつつ真剣にバスケをした午後3時、それから直行でバイトに行き、面倒くさい客が大量に押し寄せ半分切れかけていた午後7時、店長の謎のぶち切れに対応した午後8時半、いい加減にしてくれと思いつつ、俺は帰宅していた。何だよ油が浮いているからこの肉じゃが取り換えてくれって!!!高級店に来てんじゃねえんだぞこちとら調理師免許も持ってねえってのに!!!ほんと、飲食店って大変だなあと俺は思った。今度マスターやっている頼さんに聞いてみよう。めちゃくちゃ愚痴られてしまうのではないか。あの店にもそんな無粋な奴が来るかもしれないし。
早くご飯が食べたかった。おなかとおなかがくっつくほど空腹だった。星空のキラキラとした空を見ながら、まだ満足に飯を食べられていなかった時なんかは、晩飯に困って布団の中で腹を抱えて寝ていたな。アパートに来てから少しの頃の話だ。まだバイトを始まる前のころだ。その頃はお互い、1日1食だったなと感慨にふけっていた。
そんなにけちけちしなくてもいいんじゃない?なんていった人がいたな。塚原だったかな?いや多分乃愛だ。俺はその頃の2人を思い出して少しだけ苦笑いをしてしまった。あの頃の2人は、同居に向けていろんな決め事をしていた気がするけれども、もうほとんど破られてしまっていた。同じ布団で寝ないというのは、即日寒さに耐えかねなくなったし、料理の当番だって結構向こうに任せっきりだ。
怒ってないのかな?今どんな心境何だろうか?そんなことを思ってしまう日だってある。いつの間にかどこかに置き忘れてしまった二人の感情は、名のない関係となって周囲に付随している。それを嫌だと思わないのはガキだからだろうか、それとも大人だからか。それがわからないからこそ、俺はまだ高校生なのだ。
自転車置き場に自転車を置いた。そこに自分と乃愛以外の自転車があることに気付いた。どういう生活をしているのか不明だが、自転車を使っているのは我々しかない。これまで幾回自転車置き場と言ってきたが、置かれているのは我々のものだけだ。
そこに高校名が入っていた。その高校名を見て、俺は明かりのついたままである自分の部屋を凝視していたのだった。




