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核心④

「そんな感じで、私らは互いに干渉しないで共同生活を送ってたのよ。と言うわけで、過去編は終わり!勉強みよっか?」


 私の提案に、真琴は手を挙げて喜んでいた。まあ彼女は半分それをしに来たからな。


「むしろ私が面倒みよっか?乃愛(のあ)は晩御飯作らなきゃでしょ?」

「あーちかちゃん、お願いできる?」

「この前の試験範囲と同じだからいける……はず!無理になったら聞くし」

「おっけー。んじゃ私は料理に集中……」

「その前に1つだけ、気になったことがあるんだけどさ」


 もう立ち上がる寸前だった。玉子後何個残りあったかなと思案していたところだった。ちかちゃんはこのタイミングでぶっ込んできた。


「乃愛は、いつから友一君のことが好きになったの?」


 背中がピクッとなった。ツーっと汗が垂れた。確かにそうだ。彼女は最初から、私よりも彼のことが頭にあったのだ。


 私はまだ、覚悟が足りていなかったようだ。こんな大切なことを言い漏らしてしまったのだから。


「どうせあれじゃないの?一緒に生活するうちになんか心が近くなって……みたいなクソダサい少女漫画的なやつじゃないの?」

「……真琴ちゃん、手厳しいね」

「いや、そう言うわけじゃないよ」


 私は早めに真琴の仮説を潰した。


「私が友一のことを好きになったタイミングは、れっきとしてあるんだ。生活していくうちに自然と、とかじゃなくて」

「ほーそれは聞きたい。料理しながら教えてくれる?」


 真琴はとうとう勉強しながら聞く気満々だった。開いたノートは真っ白だった。日頃の勉強量が垣間見えた。


「さっきまで、お互い干渉しないように生きて来たって言ってたでしょ?」

「うん」


 ちかちゃんは唾を飲む音が聞こえてくるほど喉を動かしつつ首を縦に振った。


「まあ今でもそうっちゃそうなんだけどさ、当時はもう会話1つなく寝ちゃうくらいだったんだよね。大体、10月くらいまでかな?私が生徒会長になる寸前くらいまではそんな感じだった。今では結構仲良く話してるんだけどね。学校のこととか」


 こんなところで無意識に釘を刺そうとしてしまう私が、心底嫌いだ。私は卵を器に割ってとき始めた。フライパンには油を張って、昨日炊いたご飯を冷蔵庫から持って来た。一連の動作をしながらも、私は語るのをやめなかった。


「きっかけはそうだね……丁度その頃、とある男が愛人から逃げられてね。とても寂しい気分になったんだって。この穴をどう埋めようかって悶々として、頭を抱えてたんだって。それでその時、ふと思い出したのよ。去年の冬、古村家の娘が来る予定だったではないか?あいつはどこに行ったのだ?と」


 空気が凍る音がした。


「そう、あの次男坊がね。本気で私を探し始めたんだよ」

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