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浪人生シゲルの憂鬱

 俺は浪人生シゲル。年齢は21歳だ。古都大学医学部に合格するため、このかんぱち寮にて独り暮らしをしている。そんな俺の最近の悩みというのが、隣に住んでいる輩だ。


 そもそも俺がこの寮に住み始めたのはある理由がある。それは、ここが男性しか住んでいないということだ。これまで2年間の浪人生活では、女性が同じ空間にいるということだけで勉強に集中することができず、結果としては散々なものであった。それを防ぐためにも、この寮で4月から自宅浪人を敢行しているのだ。これは決して他に不合格の理由があるのにそれから目を逸らしたり、予備校に通うお金がなくなり自宅浪人せざるを得なくなったり、そんなことをしているわけではなかった。信じて欲しかった。


 ともかく、そんな女性排除運動を繰り広げていた俺にとって、とても目に毒な存在があった。お隣さんに住んでいる女性だ。


 お隣さんは高校生が独り暮らしをしているのだと聞き及んでいた。しかしながらその実態は同棲である。しかもその同棲相手は、眼鏡の陰気な感じを放つ男子生徒とは世界が違うと感じさせてくれるほどの輝きを放っていた。


 黒色の艶やかな髪の毛にしてもそう、目鼻すっと通った顔立ちもそう、スレンダーなのに出るところは適度に出ている身体もそう。顔を身体も黄金比謎の女子高生のせいで、俺の勉強への集中度合いは低下の一途を辿っていた。


 その一つの原因として、シャワー室の存在がある。かんぱち寮2階は、男子高生の部屋と俺の部屋の隣にシャワー室があり、そこを寮内全員で共用している。そしてそこに男女の区別などないから、その同棲相手も普通にシャワー室へと向かって、シャワーを浴びているのだ。するとどうなるだろうか?誰しもが皆、その後のシャワー室を使いたくなるだろう。そう世はまさに戦国時代。いち早く女性のシャワー室退出を感じ取り、次のシャワー室の権利を確保せねばならないのだ。この不毛なやりとりによって、俺の、特に夜での集中力はシャワー室を出る音を聞き分けるのに用いられることとなったのだ。


 しかも最近は暑さとともにシャワー室に行く回数も増え、戦闘回数も増加している。夕方もそれに気を使うようになれば、もう勉強など手につかないと言っても良かった。別にこれは、最近あまり成績が伸び悩んでいるとか、やる気が出ないことを棚に上げているのではない。信じて欲しかった。


 そしてある日のことだった。


「もういやや!!!再考を所望する!!」


 朝方1番にこの怒声で、俺は目が覚めたのだった。

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