5月20日その①
「ゆういちーゆういちー」
「ん?」
「日曜日、どこ遊びに行きたい?」
明日の話をいきなりするなよ、いや確かにまだ土曜日の午前0時半だけどさ。
「んー?」
「いやいや聞こえとったやろ」
「うん」
「……眠たいん?」
「そらな。もう2人とも布団入ってるんだから」
そうして俺らは申し合わせたようにむくりと起き上がり、電気をつけた。布団を下半身だけかけた状態で、2人見つめ合いながら予定を考えていた。
「と言うかあんた手帳持っとらんねんな」
「手帳買って管理するほど予定が入ってこないからな。というか女子は手帳好きよな。可愛らしくてなんか色々蛍光ペンで書き込んでるやつ」
「めっちゃへんけーん!でも間違っとらんでそれ」
「合ってんなら偏見じゃないじゃん。というか、どこ行くか考えるんならそれ要らなくね?」
確かに!という顔をする乃愛。彼女も眠たいのかあまり思考が働いていない様子だった。
「というかそれ、なんでこんな遅い時間に話し合い始めたんだよ」
「いやいや、私ら結構大変やってんで。家田さんがこけて頭打ってもうて病院に行ったり…」
「あー聞いた聞いた。まさか俺より帰ってくんの遅くなるとは思わなかった」
その辺は逐一LINEに入って来たからな。グダグダ色々あって帰って来たのは夜の11時。しかもご飯を食べていなかったから臨時で飯を作って、そしてこの時間である。一度は寝かけたものの、お互いシャワーを浴びた直後で眠気が全く襲ってこなかった。
「なんだっけ?近藤と遠坂と4人で行くんだっけ?」
「うんそうやで!」
「勉強したい」
「……あんた、それちかちゃんに一回断られたやろ?勉強はいやだ。勉強だけはやめてくれと」
「あいつ、どんだけ勉強嫌いなんだよ」
そう言いつつ俺は回らぬ頭を回転させていた。暫く考えた後で、
「やっぱり勉強にしね?」
と言うと、流石に乃愛もずてってこけてしまっていた。
「いや、もう思いつかねえわ。もう他の3人に任せる」
「いや何言ってんの?遠坂君に任せたら本屋回る羽目になるし、ちかちゃんは勉強以外意見言ってくれてないねんで!?」
「本屋回るの良いな。途中でカフェに入ったら勉強できる」
「あんたどんだけ勉強したいん?」
「もう疲れたんだよ。土曜も仕事で、日曜は5日ぶりの休憩だぜ。スポーツ系以外、後アウトドア系もダメ」
「ほんま、休日の親父みたいや…」
どて!乃愛は倒れるように寝始めてしまった。電気を消して、俺も彼女の隣で寝始める。お互いを見つめながら、明日のことなんて忘れたように寝始めた。
胸の鼓動が止まらない。どうやら結構楽しみなようだ。やっぱり自分は、感情把握が遅れているなと実感しながら乃愛の寝息を聞いていたのだった。




