表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界辺境村スモーレルでスローライフ  作者: 滝川 海老郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/67

67. 収穫祭

 地球でいうところのハロウィンのような行事というのだろうか。

 日本にも収穫祭としては十一月に新嘗祭はある。

 仮装とかはしないけど、この国でも秋の終わりに「収穫祭」があるのだ。


「収穫祭だぞ~」

「収穫祭でーす~」

「収穫祭だにゃぁ~」

「収穫祭、だそうです」


 俺たち子どもが村の中で宣言して回る。


 このために父ちゃんは先日、狩りに出かけて大熊を仕留めてきた。


「お、収穫祭か。小さな村だけど何かあるのかい?」

「ええ、ちょっと熊鍋が出ますよ。もちろん無料です」

「おお、それはすごい。逆に町のほうが質素かもしれないね」

「食料は村のほうが色々収穫がありますもんね」


 ということで熊鍋に色々な野菜を入れ、この前の小麦団子も投入した。

 具沢山スープだ。


 味付けは味噌がいいんだけど、まだ熟成を待っている。

 野菜のコンソメ―スープだ。タマネギを大量に入れてある。


「あちあち」

「ふふふ、熱いからね、気をつけて食べて」

「はーい」


 アンダーソン騎士とジェシカなど、兵士のみなさんもお椀にがっついて食べていた。

 ドロシー、リズ、メアリアは隅っこの方に座って、もくもくとスープをすすっている。

 スプーンでお肉や野菜を掬っては口に放り込んで、もぐもぐと食べる。


 ジェシカが羽をパタパタとやって、よろこんでいた。


「ブラン、このお肉、ボリュームもあって美味しいね」

「でしょ、毎年、父ちゃんが頑張ってきちゃうからね」

「ふふふ。ブランも熊くらい倒せるようになったかな」

「さぁどうだかねぇ」


 肉たっぷりのスープは旨味がすごい。


「さぁえっささ~のさ~」


 一通り、スープを食べ終わると、女性陣が歌い出す。

 それにあわせて男性陣が立ち上がり、広場の中心に集まってくる。


「さぁそーれー」


 なんかよくわからない踊りを踊り出す。

 民族風でもあって、どこか懐かしい感じの変わった歌と踊りだ。

 これがこの国の収穫祭なのだそうだ。

 国中で同じみたいで、兵士の人たちも何人か混ざって踊っている。


 祠には熊肉スープの他、野菜などをお供えしてあった。

 神様の行事なので、こういうところは怠らない。


 一曲終わると、男女が入れ替わって今度は男性陣が歌い、女性陣が踊る。

 それを何回か繰り返した。

 そして今度は何組かの男女が広場に残って、他の人は歌うために隅による。

 なるほどカップルの曲なのか。


「ひゅーひゅー」


 冷やかしの合いの手も頂戴して、盛り上がった。

 そして子供たちが歌う番になった。


「んじゃ、せーの」

「明るい明日~天気は晴れ~毎日いい天気~」


 俺たちが歌って、みんなが踊る。

 女の子たちはみんな歌が上手いから、こちらもかなり盛り上がった。


 熊肉はたくさんある。

 焚火があって、その周りで欲しい人に肉串を配って自分で焼く。

 塩を振ってみんな食べていた。


「んまい」

「だろ、あはは」


 父ちゃんは今日の立役者なので、なかなかに機嫌がよかった。

 お肉は相当量が残りそうだったが、冬支度として乾燥させてジャーキーにするのだ。

 この収穫祭が過ぎれば、すぐに寒くなり本格的な冬になる。


 ちゃくちゃくと冬の足音が近づいていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ