サード パーティー その11 Last
「さて…行きますか」
昨日と同じ声のトーン、動作、顔つきでケイ君はオープニングラップへ進路を定めた。
気負いのないその所作はプロスポーツに相応しいBGMと実況の声に全く怯まない実力者としての振る舞いに見しか見えなかった。
「ソラト、よく見といた方がいいぜ?」
ダイキさんがこれから臨む次のステージのため、自分にも言い聞かせるように俺に語りかける
「こっから始まるのは正真正銘、日本最高峰だ」
始まったレースにそれ以上の言葉は要らなかった。
「…と、…ラト…ソラト!」
「あ、ヒイロ?わりぃ、放心してたわ」
「アンタほんとに私ら放ったらかしでレースにかじりついてたわよね…」
「でも、1つのことに集中するのは悪いことじゃないと思うよ?」
「アカリちゃん…」
「…そうね、1つの人、物に集中するのは良い事ね」
「と、トモミちゃん!?」
あっという間にレースのタイムスケジュールは過ぎ去り、いま、俺達は帰路へ車を走らせてる
ヒイロが声を掛けたのは恐らく交代を頼みたいからだろう。
あの後だが結局、凄い凄いと観ていて放心状態でそのまま片付けを手伝っていたら
ダイキさんから「そろそろ道路も混み始めるかもしれんから先帰っとけ」と言われて車に乗ったという流れで
その間、俺は脳内に焼き付けた映像をコマ送りで編集するように頭の中で今日のレースを反芻していた。
全日本…俺は…
「果たしてあの舞台で戦えるのだろうか?とか言いそうな顔してるな?ソラト?」
「っ!?ヒイロ?」
「大丈夫だよソラト、お前はやればできる男だし、イザというときにやる男だぜ」
「つまりいざって時が来たら出来るからやってみろって励まし?青春してるわね…」
「その通りっ!そして俺は約束通りトモミちゃんに膝枕してもらいたいからドライバー交代してもらうっ!」
「ゲッ!?まだそんな事覚えていたかっ!?」
行きに果たせなかった約束とばかりにヒイロは運転席を降りて後部座席のドアに手にかける。
ガッテン承知と言わんばかりに空いたドアから降りたアカリちゃんはとてとてと前から回ってきて助手席の俺に変われっ!とジェスチャーを送ってくる。
俺は思わずクスリと笑ってから軽いため息をついた。
「…とりあえず、せっかくパーキングエリアに付いてんだからお土産は買わねーか?」
言われてハッと気づいたように2人は…あれっ?トモミちゃんも?
…3人は焦ったように「それもそうだな」とか言い合いながら土産屋へ足を運ぶ。
俺はおもむろに投げられた車の鍵のリモコンで戸締まりをしてから楽しそうに笑う3人に合流したのだった。
はい、というわけで全日本観戦編と書きダメ分の終わりとなります。
次章はまた、少しずつ時間を作って書いていこうかと思いますので地味に応援してもらえるとありがたいです。




