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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-38.戦い終わって

 悪臭が漂う小屋の中でキエラの死体を確認した俺たちは、さっさと模布市に戻ることにした。

 エデルード世界にも今後使い道はできるとして、長居はしたくなかったし。住み慣れた街に帰ろう。


 向こうでもフィアイーターは完全に倒されたらしい。


「悠馬ー! その様子じゃ終わったんだねやったー! あとお姉さん! 勝手に悠馬だけ連れて行かないでください! 悠馬とばかり一緒にいるのよくないです! 彼女を差し置いてなのは特に!」

「でもわたし、悠馬の姉だから。保護者だから。できるだけ一緒にいてあげることが求められるのよ」

「むきー!」

「ふふっ。そんなんで怒ってちゃ、悠馬の彼女は務まらないわよー。だってわたし、悠馬から離れないから」

「お姉さん! 姉! 愛奈さん! むあー! 彼女になったのに問題は解決してない!」

「大変だなー、遥も。悠馬、辛くなったらオレに頼っていいからな」

「こらそこ! 隙あらば略奪しようとしない!」

「り、略奪!?」

「悠馬はわたしのものだから!」

「そうかもな。少なくとも今は」

「今はってなにー!?」


 こいつらは元気だなあ。戦った後だというのに。


「あんたたち。戦いが終わったなら撤退しなさい。ほら、電源車乗せてあげるから」


 樋口が呆れた様子で近づいてきた。


「規制線があるから、一般人が近づいてくることはないけど。いつまでも規制するわけにもいかないし。ほら、帰った帰った」

「あの! テレビ局に来ていただけませんでしょうか!? フィアイーターが出てくることは、もうないのですよね。それを市民の皆様に伝えてもらえると嬉しいです」


 澁谷もやってきた。

 大事なことだよな。


「ああ。いいよ。出てあげる」

「ありがとうございます! 午後の放送に生出演してもらいますね!」

「生放送!? ……まあ、いいけどね」


 そうだよな。それがいいんだよな。


 戦いが終って、最後のひと仕事だ。やってやるさ。



「樋口。エデルード世界ら無人だけど、ちょっとだけ掃除が必要な状態だ。けれど米原優花里と彼氏に連絡してくれ。優花里が住める場所ができたと」

「ええ。掃除は誰がするの?」

「誰でもいい。ゲートは僕が開けられるけど、出入りは誰でも可能だ。掃除業者だって行ける。……まあ、僕たちがやることになるのだろうけどね」

「忙しいのは変わらないのね」

「ああ。でも、気は楽だろう?」

「そうね。あなたの言うとおり」


 少なくとも、怪物に怯える必要はなくなったのだから。


 そのまま一堂でテレビ局へと向かう。局のスタッフはみんな歓迎ムードだった。

 夕方の放送までの打ち合わせなんかをしながら、ようやく世間の反応をに目を向けることにした。もちろん、知り合いからの連絡含めて。


 正体が世間にバレてしまった俺たちだけど、その反応は好意的だった。テレビもふもふの呼びかけもあってから、俺たち個人の事情は詮索しないって方針を取る人が多い様子。

 キエラが放送に割り込んで俺たちの名前を口にした動画も、ネットからほとんど削除されるか、個人情報にあたる箇所に別の音声を被せてわからないようにしている。


 本気で探せば見られるのかもしれないけれど、そういうのはアングラな世界に隠されている。

 それでいいんだと思う。


「うん。本当にごめんなさい、お父さん。わたし魔法少女でした。変身したら自分の足で走れるようになるって聞いて。うん、今まで戦ってきたの」


 遥が家族に電話していた。

 魔法少女としての戦いは終わったわけで、今更止められることもない。だから、遥の話し方は堂々としていた。開き直ってると言えるかもしれないけれど。


「えへへー。ももちゃん。わたしやったよー。勝てたよー」


 と、つむぎも友達に連絡していた。


 こっちは正体を知ってる人が限られてるから、気楽なものだよな。けど友達に勝利を伝えたいって気持ちはよくわかる。


「ねえ麻美。実際のところ、わたしは今度から会社にどう顔を出せばいいのかしら。この歳になっても魔法少女してるって、会社の人も気づいてるのよね? なんか恥ずかしすぎるっていうか」

「堂々と行けば良いんじゃないですか? みんな大人なんですから、わざわざ触れないですよ。わかってても、気づかなかったフリしてくれます。そして普通に接してくれますよ」

「そ、それはそれで、いたたまれないって言うか。恥ずかしいというか」

「それより剛くん、単なるコスプレイヤーなのに正体がわかる人全然いなくて、良かったねー」

「はい。キエラが僕のこと気にかけなかったおかげですけど」

「麻美ー。わたしのこと面倒だって思ってるでしょー」

「思ってないですー。仕事してる先輩、立派だと思ってますー」

「なんか言い方が怪しい!」


 愛奈も、明日からの日常に不安を抱えてるんだな。


 さて、直接正体を明かされた俺のスマホにも着信やメッセージが来ている。クラスメイトや陸上部関係から。

 みんな、俺への激励や闘ってたことへの感謝の言葉ばかりだった。


 迷惑をかけてごめん、とだけ送っておいた。学校に行けば会えるのだし、それでいいか。詳しい話はその時すればいい。

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