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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
最終章 決着

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15-18.俺の彼女

 魔法少女シャイニーライナーが屋上へと、フィアイーターを蹴り倒しながら舞い降りた。


「大丈夫!? 覆面は!? てか戦っていいの? ううんなんかよさそう! 吹っ切れたって顔してる! 物干し竿振り回して戦えてるなら、もう大丈夫だよね!」


 疑問を抱いて一気に自己解決する。慌ただしいけど、話が早い。こういう所も、好きだな。


「ああ! 記憶が戻りかけてる! どんどん思い出してる!」

「よし! 悠馬完全復活だね! え、あ。ということは。もしかして。その……この前の告白のこととか」

「思い出した」

「あああああ!」

「フィアァァァァァァ!」

「そこ! うるさい!」


 ライナーとフィアイーターのどっちがよりうるさいかは、議論の余地があると思う。けれどとりあえずライナーは、自分に迫ってくるフィアイーターを蹴飛ばした。

 屋上の端の方、手すり際に。残念ながら落とすまでは行かなかったけど、そこに。


「おら! 死に晒せ!」


 バーサーカーが飛び込んできた。自分よりも少し大きい程度のフィアイーターと取っ組み合いをしている。この程度で負けるバーサーカーではないだろう。

 敵の腕を掴んで、投げ飛ばして地面にぶつけた。


 大ピンチの主人を助けようと、黒タイツが何体か迫ってきた。フィアイーターの対処はバーサーカーに任せて、俺たちはこっちに当たろう。


「病院の中の黒タイツは、今頃セイバーがなんとかしてくれてるはずだ」

「そ、そっか! それはよかった! じゃなくて!」


 黒タイツの横面に回し蹴りを食らわせ、一撃で首を折って殺したライナーは、顔を真っ赤にして微かに動揺してる様子で。


「あ、あの! 悠馬! 告白の返事だけど」

「遥。好きだ。このまま、正式な彼女になってくれ」

「うみゃぁっ!?」


 どんな叫びなんだろうか。


 また黒タイツが来て、そいつを蹴ろうとしたライナーは、他のことで頭がいっぱいだったのか蹴りの狙いも外れて、しかもそのまま足を滑らせてバランスを崩す。

 転びかけたライナーの体を片手で受け止め身を引き寄せて支えてやりながら、俺は棒で黒タイツの足を打つ。


「ライナー止めを」

「む、無理無理! なんなきゃいけないのは分かってるけど! ドキドキして動けません!」


 転んだ黒タイツに注意を払いながら、ライナーに指示をすると、まさかの無理が出てきた。


 というか、咄嗟に引き寄せたからお互いの顔が近い。あとライナーの胸が当たってる。いや、これは仕方ないんだ。咄嗟のことだから。

 にしても、遥ってかわいいよなあ。今更だけどそう感じた。俺、この子の彼氏になったんだな。


 まずい。なんかこっちまで恥ずかしくなってきたんだけど。



 幸いにして、黒タイツが起き上がって攻撃してくることはなかった。

 フィアイーターに馬乗りになったバーサーカーが、入院着を強引に破って中の闇を曝け出し、そこにあったコアに何度も殴打を加えたから。


 一発殴ればいいだけなのだけど、さすがは狂戦士だ。パワフルな戦い方をしてくれる。


 フィアイーターが死んだから、黒タイツも消滅していった。

 ボロボロになった入院着だけが屋上の地面に落ちている。それを殴り続けるほどバーサーカーは狂ってはいないわけで、立ち上がって俺たちを見た。


 身を寄せ合い見つめ合ってる俺たちを。


「おい! こら! おめえらなにやってる!? 人が戦ってる時に! てか近い! 離れろ!」

「バーサーカー。ううん、アユムちゃん」

「……なんだよ」

「わたし、勝ちました」

「え?」

「悠馬に告白してオッケー貰いました。正式な恋人になります」

「え、は。な、おい、ちょっと……」


 ライナーが淡々と告げた言葉の意味を、理解はしつつ把握することを脳が拒否していたらしい。けど、結局はすぐに受け入れることになって。


「あああああ! ちくしょう! 負けたー!」


 地面に膝をつき、頭を抱えて絶叫した。


「ああくそ! そうか! そうなのか! いやわかる! 遥はいい女だ! オレもよくわかってる! 納得しかない! ないけど……ああ……」

「えっと。その。元気出して、アユムちゃん。アユムちゃんにもいい恋が見つかるよ」

「その手の励ましは、今はいらない」

「そっかー」

「あの。お兄ちゃん……?」


 物陰に隠れていた少年が、おずおずと出てきた。

 しまった。この子のことすっかり忘れていた。


 病院で仲良くなった年上のお兄さんが、魔法少女と付き合うとか付き合わないとか仲良さそうに話してるだけで混乱するよな。助けに来て、黒タイツ相手に暴れただけでも理解が追いつかないだろうに。


「え。嘘。見られてた?」


 ライナーは慌てて俺から離れて姿勢を正した。いや、そんなことしなくていいんだけど。


「えっと。見ての通り、俺は魔法少女と仲がいいんだ。というか、俺が覆面男なんだ」

「それ、本当?」

「ああ。俺の強さ見ただろ?」

「うん! すごく強かった!」

「俺が入院したのも、敵との戦いでドジったせいなんだ」

「本当!? 大丈夫、なの?」

「ああ。見ての通りピンピンしてる。それでな。今見たこと、誰にも言わないでほしいんだ。秘密にしてくれないか?」

「うん! 約束する!」


 いい子だ。

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― 新着の感想 ―
うおおおおお! 遥と正式にお付き合い!! 尊いです。 ありがとうございます、ありがとうございます!!
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