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171話─レジスタンス、活動開始!

 レジスタンスのアジトを出発してから、数十分後。テレポートを使い、エアカーゴは目的地であるモルロート地区の遙か上空にやって来た。


 ルナ・ソサエティに居場所をを悟られないよう、特殊な防護シールドをエアカーゴに施してその場に待機させる。いよいよ作戦の始まりだ。


「ゲートを開いて地上に送るわ。みんな、くれぐれも油断はしないように」


「はい! シゼル隊長もお気を付けて!」


 BチームとCチームが先に地上に転送され、少し遅れてシゼル率いるAチームが送り出される。五人が降り立ったのは、繁華街の西の外れにあるバッティングセンターだった。


「うわ、寂れたお店っすね。ここ、何するとこなんすか?」


「ここはバッティングセンターっていって、飛んでくるボールを……いえ、解説は後の方がいいわね。サラ、ジュディ、周囲の警戒をお願い。中に入るわよ」


「はい、お任せください!」


「怪しい者がいないか、しっかり確認します!」


 シゼルはオレンジ色の髪をおさげにした部下、サラと茶色のショートヘアの部下、ジュディにそう指示を出しつつ、バッティングセンターに入っていく。客どころか従業員すら一人もおらず、閑散としている。


 こんなところに何故入るのか、とジェディンが訝しむ中、残りのメンバーに進むよう指し示される。それに従い、ジェディンとイレーナも中に入った。


「きったないとこっすね。本当に営業してんすか? ここ」


「そもそも、何故ここに? 他のチームは来ていないようだが」


「ここから地下に侵入するのよ。トリン、到着したわ。開けてちょうだい」


 受け付けを通り過ぎ、従業員用の控え室の前まで進む一同。シゼルが扉を四回ノックした後、少し時間を空けて追加で素早く二回ノックを行う。


 すると、扉が開き中からトリンが顔を出した。どうやら、今のノックはレジスタンス間で使われるやり取りだったらしい。


「来たわね、待ってたわよ。着いてきて、地下トンネルまで案内するわ」


「なるほど、そういうことか。では、残りのチームもすでに?」


「ええ。別の魔女の案内を受けて、地下施設に向かって進んでいる最中よ」


 トリンの説明を受けつつ、一行は扉の先に進む。すでにモルロート地区には、三カ所の拠点を築いていると彼女は言う。


 このバッティングセンターもその内の一つであり、あらかじめ地下施設に繋がる道を掘っていたのだとか。用意周到さに、ジェディンは舌を巻く。


「なんと手際のいいことか。おかげで、スムーズに作戦が進められるな」


「それくらいやらないと、ソサエティは出し抜けないのよ。敵の目を盗んでいろいろやるのも、結構大変だったんだから」


 トリンとそんな会話をしつつ、五人は控え室の隣にあるロッカールームに入る。シゼルに指示され、サラとジュディが壁に設置されたロッカーをどかす。


 すると、その後ろに隠し扉があった。中はエレベーターになっており、ここから地下に降りられるようになっているようだ。


「おお、凄いっすね! なんだかワクワクするっすよ!」


「イレーナ、あまり浮かれるな。地下に降りれば、恐らく敵との戦闘がある。そうだろう? シゼル隊長」


「呼び捨てでいいわ、ジェディン。そこに関しては降りながら説明するから、着いてきて」


 トリンを残し、全員がエレベーターに乗り込んだ後シゼルは懐から小さな水晶玉を取り出す。降下していく中、空中に立体映像を投射する。


「今私たちがいるのがここ、モルロート地区の西の外れよ。ここから降りると、地下施設に続くトンネルに行けるの」


「そこから、トロッコに乗って攻め込むんですよね? 隊長」


「そうよ、サラ。奴隷養成施設までは距離があるから、工作班が設置してくれたトロッコに乗って攻め込むの。ただ、施設の周辺は……」


 映し出されている地下施設の映像を、全員が見つめる。施設の周辺には、敵性反応を示す赤い点がそこかしこに存在していた。


 テルフェがいない間も、施設を守る警備隊が巡回を行っているのだ。トンネルを通って到達しても、彼らを倒さなければ中には入れない。


「トンネルそのものは、隠蔽の魔法で見つからないようにしてある。ただ、一度飛び出せばもう身を隠すことは出来ない。すぐに戦闘になるわ」


「大丈夫ですよ、隊長! わたしとサラがいれば、誰が相手でも蹴散らせますって! それに、今回は助っ人もいますし!」


「ダメよ、ジュディ。過信するのはよくないって、エアカーゴの中で口を酸っぱくして言われたでしょ?」


 自信満々に胸を張るジュディを、サラがたしなめる。よほど腕に自信があるのか、ジュディは仲間の忠告を受けてもケロッとしていた。


「二人とも、お話は終わりよ。そろそろトンネルに着くわ、気を引き締めて」


「はい!」


「はーい!」


 シゼルの言葉に、二人はお喋りをやめ真剣な表情を浮かべる。リラックスすべきところはリラックスし、そうでない時は気を引き締める。


 実働部隊の一員として、二人は必要な心構えをしっかり身に付けていた。シゼルは他のチームも地下に到着したのを確認し、扉に魔力を流す。


「おー、空気がひんやりしてるっす! この道を進めばいいんすよね?」


「ええ、少し進むとトリンたちが設置してくれたトロッコがあるの。流石に五人いっぺんに乗るのは無理だから、二人と三人に別れることになるけど」


 シゼルを先頭に、五人はエレベーターから出て地下トンネルを進む。少し進むと、奥へと続くレールと、その上に置かれた二台のトロッコがあった。


「右と左、どっちに誰が乗るか決めないとね。みんな、どっちに乗る?」


「じゃあ、アタイとジェディンは右のトロッコに乗らせてもらうっす!」


「いや、何かあった時に備えて俺とイレーナは別れておいた方がいい。一緒にいると、残りの三人が窮地に陥った時に助けられん」


 今現在、トンネル内に敵性反応はない。だが、万が一のことは常に考慮しておく必要がある。そのため、ジェディンはそう進言した。


「なら、私はイレーナと一緒に行くわ。サラとジュディは、ジェディンと一緒に進んで」


「はーい、分かりました! よろしくね、イケメンさん!」


「い、イケ……?」


「ごめんなさいね、ジェディンさん。ジュディ、凄い面食いだから……」


 フレンドリーに接してくるジュディに困惑しつつ、ジェディンは左のトロッコに乗り込む。イレーナやシゼルたちもトロッコに乗り、ブレーキを解除する。


 魔力を流し込むと、ひとりでにトロッコが走り出した。トンネルの先にある奴隷養成施設を目指し、五人は突き進む。


「ひゃー! すんごい速いっす! これは爽快っすねぇ!」


「気を付けて、イレーナ。顔や手を出すと、岩壁にぶつけて持ってかれるわよ?」


「う、それは嫌っ……む! シゼルさん、なんか変な気配を感じたっす。気を付けてください、敵の罠かも……」


 風を切りながら、トロッコはトンネルを疾走する。トロッコそのものが発光しているため、暗いトンネル内でも視界は良好だ。


 が、先へ進む中……イレーナが不穏な気配を捉えた。直後、トロッコの後方に『なにか』が落ちてくる音が聞こえた。


「グルシャアアアアア!!!」


「ギヤァァァァァァ!!! だ、大蛇ぁぁぁ!?」


「チッ、地下空洞に住み着いてるモンスターが私たちの気配に気付いたみたいね。トンネルのすぐ近くに、あいつの巣があるんだわ」


 何かが這いずる轟音が近付き、その姿があらわになる。気配の正体は、尻尾の先端がドリルになっている紫色の大蛇だった。


 トンネルの真上に巣があったようで、イレーナたちの気配を察知して降りてきたのだ。その目的は一つ、彼女たちの捕食だ。


 シゼルの持つ水晶が探知出来る敵性反応は、あくまでソサエティに与する者たちだけ。そうでない野生のモンスター相手には、反応しないのだ。


「むあー、いい度胸っすね! ちょうどいいっす、本番に備えて準備運動しとくっすよ! ダイナモドライバー、プットオン!」


 トロッコに負けず、高速で追ってくる大蛇を見ながらイレーナはダイナモドライバーを起動する。野放しにしておけば、作戦に支障をきたす。


 実害が出る前に、サックリと始末しておくべきと判断したのだ。デスペラードアーマーを身に纏い、イレーナは銃身を大蛇に向ける。


「デスペラード・ハウル……オン・エア! 見ててください、シゼルさん! アタイの実力、お見せするっすよ!」


「頼んだわ、イレーナ。前からもモンスターが来るかもしれないから、私はそっちを警戒しておくわね」


「っす! さ、チャキチャキ退治するっすよ!」


 ニヤリと笑いながら、イレーナは引き金に指をかけた。

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― 新着の感想 ―
[一言] コッチの突入作戦も始まったか(ʘᗩʘ’) 上手く現地組織のレジスタンスと共闘してるがここは用心棒としての腕前を披露しようか(⌐■-■)
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