139話─鬼デコ☆キラキラ女子! ラクジュアリ・ミッドナイト!
「切り刻んでくれる……ディスクガイズ・ソーサー!」
「おっと~、そんなのあったりっませぇ~ん! ニトロニクル・アクセル!」
新たに生成した二枚のディスクカッターを腕に装着し、再び伸ばして攻撃を行うゴライア。レジェはブースターを作動させ、射程外に逃れる。
相手の腕が元の長さに戻り始めた頃を見計らい、一気に接近して反撃を叩き込む。もちろん狙うは、無防備な腕。だが……。
「ブロロロ、その程度オレが予想しないとでも? 腕には守りのルーンマジックを刻み込んである……簡単には両断出来んぞ」
「ありゃ~、ホントだ。マジめどいんすけど~」
「もう面倒くさがる必要はない……ここで死ねば楽になれるぞ! イクスパントローラー!」
腕に斧がぶつかった瞬間、リング状になった魔法文字が浮き上がりレジェの攻撃を跳ね返してしまう。そう簡単には、難攻不落の守りは崩せないようだ。
次はこちらの番だと、足の裏にローラーを出現させる。装甲の厚さ故の鈍重さを一気に改善し、高速の体当たりを繰り出す。
「叩き潰して……くれる! ディスクショルダー・タックル!」
「ふーん、体当たりなら負けないし! キラデコ☆ジュエリートレイン!」
左肩にディスクカッターを装着し、突撃するゴライア。それに対抗し、レジェは右肩に埋め込まれているサファイアを巨大化させた。
斧を上下逆にし、斧刃の上に乗る。その状態でブースターを吹かして、勢いよくショルダータックルをぶっ放す。
「フンッ!」
「おるぁっ!」
両者が激突し、その余波で凄まじい衝撃波が放たれる。周囲の木々が薙ぎ倒され、鳥や魔獣たちが大慌てで逃げていく。
二人のぶつかり合いによって放たれた莫大なエネルギーは、離れた場所にあるシュヴァルカイザーの基地にて観測された。
「アンネローゼ様、起キテ下サイ。基地ノ近クデ、巨大ナエネルギー波ガ観測サレマシタ」
「むにゃ……ハッ! もう、こんな時に……仕方ない、メインルームに行くわよ。正体を突き止めてやる!」
フィルの手術はまだ終わっておらず、待っていたアンネローゼはうとうとしていた。そこをつよいこころに起こされ、モニターのあるメインルームに向かう。
「で? エネルギー波を観測したのはどこ?」
「ハイ、コノ地点……基地カラ六ブロック西ニ離レタ場所カラ観測サレマシタ。ドウヤラ、二ツノ生命反応ガ発生源ノヨウデス」
「二つ? 気になるわね、映像は見れる?」
「可能デス。スデニ、現場ニ別個体ヲ派遣シテオリマス。スグニ映シマスカ?」
アンネローゼは頷き、モニターに映像を出してもらう。現場に急行したつよいこころ三号から信号が送られ、映像が映し出される。
『ブロロロ、互角か……。どうやら、大きく実力を伸ばしたようだな……レジェ』
『ふっふーん、当然っしょ~。今のうちは、チョーゼツ無敵モードなのだ!』
「どうやら、戦ってるみたいね……!? ウソ、もしかして……レジェ? そっか、無事生き返れたのね!」
モニターに映し出されたのは、斧を振るいゴライアと斬り結んでいるレジェの姿だった。かつて、自分を守るために命を落とした友の勇姿。
それを見て、アンネローゼは目尻に涙を浮かべる。同時に、彼を生き返らせたアゼルと、援軍に来られるよう調整してくれたコリンに感謝する。
「よかった、本当によかった……! 惜しいわね、スーツが使えれば一緒に戦えたのに」
「アノポイントデアレバ、迎撃兵器ノ射程圏内デス。コチラカラ呼ビカケツツ、共闘スルコトハ可能デスガ……如何イタシマスカ?」
「だったら、当然! やるに決まってるでしょ!」
つよいこころ六号の問いかけに、即座に答えるアンネローゼ。レジェに加勢するべく、ウェポンルームへ走って行く。
一方、レジェたちはつよいこころに見られているとも知らず、戦いを続けていた。が、あちこち動き回るせいで少しずつ基地から離れていた。
(ブロロロ、まずいな……最初にいたポイントから、だいぶ離れてしまった。これでは……ポータルの設置に支障が出かねん)
加速を加えた回転斬りを防ぎつつ、ゴライアはチラリと遠くを見る。戦いが始まってからずっと、彼は基地から離れてしまっている。
近すぎては敵に気付かれ、遠すぎてはポータルから呼んだ兵団が基地に到達する前に迎撃兵器に倒されてしまう。
「つかず離れずの距離を保たねば……ならぬというのに。面倒なものよ!」
「さっきからなぁーにブツブツ言ってんの~? チョーキモいんですけど!」
「ホザけ、レジェ! ディスクインパクション!」
「へ~ん、そんな技当たら」
「バカめ……かかったな! フルメタルニークラッシュ!」
三度腕を伸ばし、ディスクカッターでレジェを挟み潰そうとするゴライア。余裕しゃくしゃくな態度で、後退して避けようとするレジェ。
しかし、ゴライアの狙いはディスクカッターによる攻撃ではない。攻撃から逃げようとする瞬間を、待っていたのだ。
「ほあっ!? へぶっ!」
「ククク……お前の動きは読めていた。左右を塞がれた以上……前後に逃げるか、上に飛ぶか。退路を三つに絞れば……容易に追撃出来るというもの!」
「うぶぅ~、こんにゃろ……アーマーなかったら、肋骨バキ折れて死んでたんすけどこれ」
ディスクカッターを地面に突き刺し、腕の収縮を使いゴライア本体が移動……強烈な膝蹴りをレジェに叩き込んだ。
「頑丈なアーマーだ。オレの鎧と……どちらが上かな? ブロロロロ」
「も~あったま来たし! 許さないかんね! キラデコ☆アックス、ジュエリーボンバー!」
幸い、致命傷には至らなかったが痛いものは痛い。怒り心頭……レジェ風に言えば激おこぷんぷん丸になったギャルは反撃に出た。
アーマーの背中部分にはめ込まれている大きなエメラルドを頭上に射出し、追って自身も飛び上がる。縦に一回転しながら、斧を宝石に叩き付ける。
「そーれ、どっかーん!」
「爆発した……くっ! ディスクシールド!」
直後、エメラルドが数十の破片に砕けゴライア目がけて降り注ぐ。着弾と同時に小規模な爆発が巻き起こり、ディスクカッターの耐久力を削る。
どうにか攻撃を凌ぎきり、眼前からディスクカッターをどかすゴライア。が、空中にいたはずのレジェの姿がない。
「消えた? バカな、あの短時間で一体どこに」
「うちならこっこで~す! おらっ、さっきのお返しだ~! ラグジュラリアット・ボンバー!」
「!? 背後……だと!? しまっ……ゴアッ!」
エメラルドによる爆撃は、ただの目くらまし。ゴライアがディスクカッターで攻撃を防ぎ、視界が遮られている間に頭上を経由して後ろに回り込んだのだ。
先ほど一本取られた趣向返しにと、隙だらけなゴライアの背中にアクセル全開の斧を叩き込む。今度は防がれず、直撃刺せることに成功した。
「ぐ、おお……!」
「む~、まだ壊れないんだ。ゼツミョーにガンジョーでやんなるね~、その鎧」
必殺の一撃を食らい、派手に吹き飛ぶゴライア。数メートルほど地面を滑り、ようやく止まった。完全に砕けてはいないが、鎧の背中部分に大きな亀裂が出来ている。
もう一撃加えてやれば、完全に破損し……内部にいる本人にトドメを刺せるだろう。もっとも、そう簡単に背後を取らせるほどゴライアは甘くないが。
「やってくれた……な、レジェ! よもや、ここまで追い詰め……ん?」
『迎撃ミサイル、発射ー! 死にさらせこのクソエージェントー!』
「なっ……チィッ! 感付かれてしまったか……!」
よろめきながら立ち上がり、背中を守るためディスクカッターを背負うゴライア。反撃に出ようとした、その時。
シュヴァルカイザーの基地から、外敵を迎撃するためのミサイルが発射された。突然の襲撃に、ゴライアは一旦その場を離脱する。
「おろろ、援軍~? しかもその声、アンネちんじゃ~ん! おひさ~!」
『おひさー、レジェ! つよいこころを介してになるけど、ここからは私も手を貸すわ! ……へぇ、それがアンタのインフィニティ・マキーナ? 強そうじゃない!』
「えへへ~、いいっしょこれ。インフィニティ・マキーナ五号機、ラグジュアリ・ミッドナイトってんだよ~」
「かっこいいわね! さ、あのデカブツをやっつけちゃいましょ。私とレジェの二人でね!」
「ラジャ!」
つよいこころを通して、友とやり取りするアンネローゼ。二人の共同戦線が、ついに開かれたのだった。




