第七話 誰そ彼、輝くは天と地と、祓い清め給ふは弓の姫 其の十
由美子は放課後の前に伏見の所を訪れていた。
「なんや、珍しいな」
「生徒なんだから、普通でしょ?」
「姫から相談事を受けるのは無いと思ってたからな。まあいい。場所変えようか?」
伏見は由美子を屋上へと連れて来た。風が由美子の長い髪を揺らしていた。
「どうして、屋上なのよ?」
「そりゃ、密室だったら逃げられないやろ?」
「それもそうね」
「何言うてんね。僕がや」
由美子は沸々と出る怒りをと抑えた。
「で、なんの用や?」
二人は屋上から見える景色を見ながら話を始めた。
「ねえ、賀茂君に呪術を教えるのを止めてくれない?」
伏見は鼻で笑った。
「急に何言うとんねん。彼の呪いを解くには、まず彼が力をつけることが先決や」
「それが……間違いだとしたら、どうするの?」
「そういう君は、あの呪いをどうしたいんや?」
「そのままにしておく」
「本人はそう望んでおらん」
「賀茂君の目的が変わってるわ。今は純粋に呪術を楽しんでる」
「それの何がアカンのや?」
「彼女がそう望んでない」
伏見は由美子を見た。
「鞘夏くんがか?」
「そうよ。真堂さんは賀茂君に、平穏に過ごしてほしいのよ」
伏見は景色の方を向いた。
「今更、どないせいっちゅうんや」
「あなたから呪術を捨てるように言えばいいじゃない!」
「それは無理や。神無に会うて、ますます呪術を楽しんでる。今、そんな事をしたら、逆効果や」
「やっぱり。どうして、兄さんに会わせたのよ!」
伏見は由美子を睨みつけるかの如く、見ていた。
「僕が知る限り、呪いを解くには、神無しかおらんと思ったからや」
由美子は言い返せなかった。
「僕も会わせる気はなかった。でも、あの夜、二人は出会ってしまったんや」
「運命と言いたげね」
「僕もその言葉は嫌いやけど、そう言わざるをえない。そして、神無は忠陽くんに興味を持った。……あのビル、見えるな?」
伏見はこの街のシンボルでもある2つの棟が一つになるセントラルビルを指す。
由美子はそれを見て、頷いた。
「たぶん、神無は忠陽くんがあのビルと何か関係していると思ったんや」
「兄さんがそう言ったの?」
「あいつは意味のないことをしない。君も知ってるやろう?」
由美子はムッとしてしまった。
「じゃあ、真堂さんの願いはどうなるの? 彼女の願いは必ず賀茂君の呪いに関係してる」
「ほなら、僕は忠陽くんに呪術を教える。君は止めさせる。それでいこうか?」
「あなたが言うことの方が彼は聞くわ。だから、あなたに話してるんじゃない!」
「しゃーないやろ? 僕は彼のために最善を尽くす。君は鞘夏くんのために最善を尽くすんや」
「そうね。あなたに相談した私が、馬鹿だったわ」
由美子はそう吐き捨てて、屋上を出ていった。
伏見はため息をつき、再びセントラルビルを見ていた。
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放課後、鞘夏は由美子に強引に連れられ、八雲の鍛錬に出ることなく、下校した。
由美子曰く。貴方が鍛錬に参加しないことが私達の抗議になるとのこと。昼休みのことがきっかけなのは鞘夏には分かっていた。
鞘夏は困惑していた。従者としての務めを果たさずにいる自分、かといって、由美子の好意を無碍にできない自分がいる。そして、強引なやり方にしても、鞘夏は最優先すべき主人よりも由美子のやり方を選んでしまっていた。彼女の好意を断ることもできた。なのにそれをしなかった自分に戸惑う。
「私、誰かと下校するなんて初めてだわ」
好奇心旺盛な由美子はキョロキョロと辺りを見回した。
鞘夏には、それほど楽しい状況ではなかった。
結局、鞘夏は一言も喋る事なく、二人の家の分岐路に差しかかり、立ち止まった。
「真堂さん、頑張りましょう!」
手を取って、意気込む由美子の好意は本当に嬉しかった。それでも、気持ちの整理ができず、空返事を鞘夏はしてしまった。
由美子は、それを気にすることなく、帰路へとつく。
由美子と別れた後、鞘夏は夕食の食材を購入のため、食料雑貨店を訪れた。今日の献立を頭の中で考える中で、忠陽を自然と思い浮かべた。手は勝手に、玉ねぎ、人参、じゃがいも、そして牛肉を選んでいた。
食材を買い終え、店から出るとき、鞘夏は視線を感じる。辺りを見回すも、鞘夏に視線を向ける人は居なかった。
その視線を警戒しながら鞘夏は自宅への帰路に戻った。
気配は鞘夏を追ってきた。その事を感じ、鞘夏は買い物袋を強く握りしめる。
自宅から数百メートルの地点で、鞘夏は立ち止まった。気配も同時に立ち止まる。
これ以上は家までは連れていけない。そう決心し、相手の様子を探る。相手は徐々に近づいてくるのが分かった。
覚悟を持って後を振り向こうとすると、その前に肩を叩かれた。突然のことに恐怖し、体が固まる。
「鞘夏さん?」
その声に振り返ると、そこに居たのは忠陽だった。鞘夏は胸を撫で下ろした。
「もしかして、びっくりさせた?」
「いえ、何者か付けてきた気配がしたので……」
「そっか。僕の隠行もまだまだだね」
忠陽の笑顔に鞘夏は心が落ち着く。
忠陽は手を差し出す。
「荷物…」
鞘夏は自分の買い物袋を見た。
「いえ、大丈夫です」
忠陽は手を降ろした。
二人は数百メートルの帰路を歩いた。
鞘夏はトクンと自分の胸の鼓動が鳴るのを聞いた。その音で鞘夏は忠陽を見る。
忠陽は優しい笑顔で返してくれた。
また、胸の音を感じた。今度は忠陽を見ず、足元を見ながら歩いた。
忠陽はその横顔に胸が高鳴った。
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夕食は忠陽の好物のビーフシチューだった。
その夕食に、鏡華は不満げな顔をしていた。一方の忠陽は喜んでおり、鞘夏にお礼を言った。それにも鏡華は舌打ちをする。
夕食が終わり、鏡華はささっと自室に戻っていった。今日は鏡華が食器洗い当番だったが、今日だけはそんな妹を、忠陽は咎めはしなかった。
忠陽はその当番を代わりにやることにした。鞘夏はそんな忠陽を見て、黙って手伝った。
でも、忠陽にとってはその方が都合が良かった。
「鞘夏さん。僕は、やっぱり鞘夏さんの願いは聞けない」
鞘夏は黙って聞いていた。
「この島に来て、皆に出会って、僕は良かったと思ってる。だから、その関わり合いを捨てたくないんだ。当然、危ないことには極力巻き込まれないように努力する。それに、伏見先生にはそういうことに関わらないようにかなり釘を刺されているんだよね……」
忠陽は食器を置き、鞘夏の方を向く。鞘夏も手を止め、忠陽を見た。すると、忠陽は頭を下げた。
「ごめん。やっぱり、僕には選べない」
「お顔をお上げください。一使用人である私に必要ございません」
忠陽は顔上げると、優しい口調とは裏腹に鞘夏は寂しそうな顔をしていた。
「でも、僕は君には分かってもらいたいんだ」
「勿体無いお言葉です」
忠陽は俯く。鞘夏はそんな忠陽の手を取る。
「陽様。私は、どんなことがあろうとも、あなたの味方です」
忠陽の脳裏に映るのは少女の面影。
『私はハルの味方だよ』
そう言う彼女の手は暖かく、心を穏やかにさせた。
「……ハルサマ? 忠陽様?」
忠陽は眼の前にいる鞘夏に気づく。鞘夏の香りと、その美しさが胸を高鳴らせた。
忠陽は、急に手を離し、明後日の方向を見る。
「どうなされたのですか?」
鞘夏は忠陽に近づく。
「いや、なんでも…なんでもないんだ」
忠陽は顔を赤くし、鞘夏が来るのを止めようとするが、鞘夏は近寄ってくる。忠陽は後ずさるが、足を仕損じ、後ろに倒れてしまう。
「陽様!」
鞘夏は大声を上げて、忠陽の手を掴もうとするも、力が足りなく、自らも忠陽に引っ張られる。
忠陽は鞘夏を守るために抱き寄せ、そのままに背中を床に打ち付けた。その音はかなり響いた。
忠陽は小声で痛みを呟いた。そして、抱き寄せた鞘夏を見る。鞘夏は動かなかった。
「鞘夏さん?」
忠陽は鞘夏の体を揺らすと、鞘夏は小声で「はい」と答えた。
忠陽はその声を聞いて安心し、片手で鞘夏を抱き止めながら、力を抜きいて、天井を見上げた。
丁度そのとき、台所に入る足跡がした。足跡が自分の耳に近づいたときに忠陽はその足音に視線を向けると、鏡華であることが確認できた。
鏡華は冷蔵庫の前に立ち、ルイボスティーが入っている冷水筒を取りだし、コップに注いだ。忠陽はその光景をじっと見ていた。
鏡華はコップにあるルイボスティーを一気に飲みほし、コップを台所に強く置いた。取り出した冷水筒を冷蔵庫に戻し、冷蔵庫の扉を強く締めた。
鏡華の足音は忠陽の耳元を通り過ぎて、次第に離れていく。しかし、足音が途中でピタッと止まる。
忠陽は頭を上げて、足音が止まった方向を見ると、そこにはいつにもなく睨みつける鏡華が居た。
「あのさ! 使用人に手を出すなんてこと、止めてよ……」
鏡華の悍ましいものを蔑むような目で、完全なる拒絶していた。その妹の目は忠陽が人生で見るのは初めてだった。ただただ、恐ろしく、背中に寒気を覚え、手に汗をかいた。
この前、ドラマのキャスト名で若村麻由美の名前を見つけた。
そう、この方、アリーmy love の主人公、アリーの声優さんである。
いや、そっちジャネーよと思われる方申し訳ない。
久しぶりにアリーが見たくなりました。アリーは恋は面白い。何がって?
おい、ディラン、待ってくれよ。アリーの恋の面白さが分からない?
冗談だろう?あんなにロマチックな恋に憧れる女性にあったら憧れる決まってる?
えっ?めんどくさい女だって? バカを言うな、あっちはアメリカだ。そんなことを言っていたら、小林ゆう並のセリフで「訴えるわよ!」と言われるぜ、おい。
それよりも、ディラン、このドラマには良いこと言葉がある。
それがフィッシュ哲学!
・いやなところは早送りする。それが人生のコツ。
・長期的な幸せは金だよ。
・充分な金を稼げば、そのほかのものは後でついてくるものさ。
・前向きに
そうさ、妹に蔑まされようとも、ラッキースケベに預かろうとも、
全ては金で解決する。そう、前向きに
アリ―my love シーンズ1 1話を見ながら




