第九話 個人鍛錬 其の一
八
昼食を終え、午後からは個人の戦い方に応じたを鍛錬を行うことになった。
大地は蔵人と加織との組手と地稽古。朝子と鞘夏は八雲と佐伯総将との刀剣を使用した戦闘。由美子は樹との射撃訓練。そして、忠陽は奏との呪術戦だった。
由美子だけは樹と二人になることに不安を感じていた。
「さあ、ゆみちゃん、私達も行くよ〜」
期限のいい樹とは違い、由美子は顔を歪めまったく動こうとはせず、良子を見た。
「どうした、ゆみ? 速く行け」
「良子さん、あの人、大丈夫ですか?」
「何がだ?」
良子の反応に由美子は困っていた。
「どうした、はっきり言え」
「その……身の危険を感じるというか……」
「身の危険?」
良子は樹を見る。樹の満面な笑みを見て、良子は眉をひそめる。
「樹、ゆみに手を出せばどうなるかわかっているな?」
樹はビクつき、焦りだす。
「やだなー、姐御。私がゆみちゃんに手を出すわけないじゃない……」
「本当だな?」
「本当です! ホントウ……」
樹は苦笑いをする。
「ゆみ、これでいいか?」
由美子はそれでも心配そうな顔をする。
その由美子の頭に手を乗せて、優しく撫でる。
「安心しろ。私も後でそっちに行く。もし、その時に手を出していたら、その女を蜂の巣にしてやる。これでいいか?」
樹の顔に汗が流れる。
由美子は黙って頷く。
「よし、良い子だ。樹の射撃はお前のためになる。射撃だけではなく、魔術を併用した使い方を教えて貰え」
由美子はまた頷き、樹の後を付いていく。
「なんや、過保護やな」
良子の後ろで伏見は藤に呟く。
「伏見先生!」
藤は伏見を嗜めるも、ヘラヘラと伏見はしていた。
「当たり前だ。ゆみは神宮を背負う人間だ」
「なら、鳥籠にでも入れればええのに」
「できれば、そうするさ……」
良子は総将と呑気に話す八雲を睨み付ける。
八雲は悪寒を感じ、冷や汗をかき始めた。
「どうした、八雲?」
「いや、なんつーの、速く俺達も行こうぜ! じゃないと俺が殺される……」
「何、訳のわからないことをいってるんだ?」
「な? 速く行こうぜ! な! お前たちもそうだろ?」
同意を求めてくる八雲に、朝子と鞘夏は首を傾げた。
「まあいい。二人とも行くぞ」
八雲たちはその場を離れていった。
「と、遠矢さんもいろいろ大変なんですね……」
藤は伏見に言う。
「あれはどうしようないバカやから、言われても当然や」
藤は愛想笑いをする。
「貴様はどうする?」
良子は伏見に尋ねる。
「僕は、忠陽くんのところに行くわ。野暮な戦い方は性に合わん。やけど、全員には顔を出すさかい安心し。藤くんはどうする?」
「えっ! 私ですか? 私は……」
藤は八雲たちと歩いていく朝子を見た。
「決まりだな」
良子は言う。
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