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どんなに疲れていても、どんなに寝不足でも、日は昇る。

そして、また、1日が始まるのだ。





「・・・あぁ、もう・・・」

目の下に、クマが出来ている。

朝が来て、バスルームの鏡で、髪を束ねながら私は自分の顔色に辟易していた。どうしてこう、何かあると顔に出てしまうのだろうか。

昨日は身体的にも精神的にも疲れ果てていたはずなのに、最後の最後に団長に「してやられた」せいで、変に目が冴えてしまって・・・。

・・・私だって、年齢的には十分大人だし、それなりに恋愛だってしてきたつもりだ。

今さら乙女ぶって、男の人と接して無駄にドキドキきゅんきゅんしたり、しない。

・・・と、思っていた。

こんな自分が、ほとほと残念でならない。

からかわれているのかも知れないし、少なからず好意を向けられているのかも知れない。

嫌われてはいないと思うけれど、あの親切の背景に何があるのか、私程度の人生経験では全く伺うことすら出来ない。

いや、団長だって、きっと確固たる何かがあるわけではないのだろう。

ただの気まぐれ。そう思うことにした。

自分の程度なんて、24年生きていれば十分分かる。

まして、ヒロインになろうだなんて思ってもいないし、期待もしていない。

私は、特別なことなど望んでいないのだ。

・・・だから、今は、ぎゅっと目を瞑ってやり過ごそう。

ぱちん、と両の頬を手のひらで叩いた。




身支度を終えて、王宮の廊下を歩く。向かうのは、ジェイドさんと初めて会った部屋だ。

毎日決まった時間に打ち合わせがある、と言っていたけれど、彼は今日のこの時間もあの部屋にいるのだろうか。

そもそも、昨日の朝から私を試すために計画が始まっていたのだとすれば、彼の本当の執務室は今向かっている部屋とは違う可能性だってある・・・。

しかしいくら勘繰ってみても、他に私が行けそうな場所もないので、ダメもとで訪ねてみることにしたのだ。

やがて、記憶を頼りに探していた部屋の前に辿り着く。

廊下に侍女の姿はない。昨日と同じだ。

けれど昨日とは違う緊張を胸に、ドアをノックする。

すると、一瞬の間もなく、返事があった。

私は無意識にひとつ、深呼吸をしてドアを開けた。



「失礼、します」

「待っていましたよ」

ぎこちなく挨拶をして部屋に入れば、昨日と同じように仕事机に向かったジェイドさんが、にこやかに言って立ち上がるところだった。

「・・・そうですか・・・」

「ええ、きっと私を訪ねてくれると思ってました」

予想通りになって面白いのだろうか、彼はにこにこと笑顔を浮かべる。

そしてまた、昨日と同じように、応接用のソファに掛けるように勧められた。

あの時は疑うなんてこと、頭の片隅にすらなかったけど・・・今はどうしても、今度は一体どんなことを仕掛けられるのか、どんな思惑があるのかと勘繰ってしまう。

無意識のうちに訝しげな表情をしていたのだろうか、彼が苦笑する。

「・・・そんなに硬くならないで。

 もう、あなたの害になるようなことはしませんよ」

静かにそう言った彼の表情は穏やかだった。

昨日はこの優しい顔に、どれだけ救われたことだろう。

けれど、今さらどうやって信用しろというのか。


・・・ある意味、昨日の「試験」はいい勉強になった。

これまでの私は、目の前の人のことしか見てこなかった。これは、向こうの世界で暮らしていた時からそうだったような気がする。

それが良いとか悪いとか、そういうことではなくて・・・。

ともかく、団長個人と接する時は、それで良かったのだと今になって思う。

けれど王宮という場所では、その個人の役割を踏まえて、その後ろに控えている組織の思惑を読む必要があるということを、私は身をもって知ることが出来た。

そういう意味では、昨日の「試験」から学んだことは多いのかも知れない。

・・・ずいぶん高い授業料だったけれど。


そして一晩明けた今、目の前に腰掛けている彼の優しい笑顔も、他人に何も探らせないために、素顔を仮面で隠しているようにしか見えなくなってしまっていた。

平和な国からやって来たというのに、なんだか胸の中が殺伐としていて寂しい。

「・・・害、ですか。

 昨日のことは私にとって、害、だと分かっていたんですね・・・」

「ずいぶん刺々しいですねぇ」

揚げ足取りのような言葉に、彼はため息を吐きつつ苦笑いする。

少しくらい毒を吐いても、罰は当たらないと思ってしまう私は、子どもなのだろうか。

「・・・まあ、仕方ないですね。

 今朝蒼鬼殿から言われましたよ。

 あなたのいた世界では、悪意を持って刃物を振りかざす人間など、滅多にいないと」

ジェイドさんの言葉に首を振る。

・・・確かに、私は一度もそんな人に出くわした経験はないけれど・・・。

「殺人などがないわけじゃないんですけど、基本的に治安のいい、平和なところから

 来たっていうだけです。

 こっちに来てからは、夜盗が街を襲ったという話も聞いてましたし・・・」

「聞いて知っているのと、見て経験しているのでは、全く違うでしょう」

穏やかな声で、彼が私の顔を見ながら言う。

「・・・私達はね、慣れてしまっているのですよ。

 ある程度の年齢の国民ならば、10年前の侵略戦争を経験しています。

 さらに騎士団ともなれば、その前線で剣を振るった者は数え切れないほどです。

 王族も貴族も、財や権力を持っているがために、誰かから、命を奪うほどの悪意を

 向けられることは、決して少なくありません」

そこまで言って、彼は1枚の紙をテーブルの上に置いた。

私は無意識に、それに視線を走らせる。

「煌びやかな生活に魅力を感じていないことも、蒼鬼殿から聞いています。

 ・・・得るものよりも、危険の方が多いと感じることもあるかも知れませんが・・・

 今回の話、受けていただけませんか?」

きっと、昨日よりも遥かに正直に話をしてくれているのだろう。

お客様扱いをされていた昨日よりも今の方が、対等に話をしてくれている、と誠実さに似たようなものが彼から滲んでいるのを、私は冷めた心で感じ取っていた。

・・・命を奪うほどの悪意・・・昨日の「試験」を現実にしたようなことが、これから起こっても不思議ではないということ?

頭をフル回転させて、自分の取るべき選択肢を考える。

私が沈黙したのをどうとったのか、彼はさらに重ねた。

「・・・考えていただくだけでも構いません。

 返事は急いでいませんから」

そこまで聞いて、私はふと疑問を感じる。

そこまで私相手に下手に出るのは、どうしてだろうか、と。

「私みたいな小物相手に、どうしてそこまで言っていただけるんですか?

 ・・・私が子守になったところで、皆さんの利益に繋がるとは・・・」

首を傾げながら問うと、彼は苦笑した。

「昨日の今日で、ずいぶん疑り深くなりましたね。

 ・・・簡単ですよ、リオン皇子があなたを気に入ったからです」

「リオン君が・・・?」

返ってきた言葉を反芻して、何かが引っかかった。

はっとして、口を開く。

「ジェイドさんは・・・?

 ジェイドさんは、私がここで働いていても、不快には思いませんか?

 陛下やレイラさん、チェルニー様は?」

私の思い切った質問に、彼が額に手を当ててため息をついた。

「そこまで慎重になりますか・・・。

 陛下もチェルニーさんもレイラさんも、子どもとの相性をまず一番に考えています。

 あなたが心配するようなことは、一切ありませんから安心して下さい」

困ったように微笑む彼は、他にどう言えばいいのかと言葉を探しているように見える。

陛下達のことを聞いて胸を撫で下ろした私だったけれど、肝心のジェイドさんのことを聞かせてもらっていないことを思い出した。

「ジェイドさんは、嫌じゃないですか?

 私なんかを信用してもいいと、本当に思ってるんですか・・・?」

限りなく否定的なことを、自分の口から紡いでいるのは分かっている。

それでも、この話を受けた方がいいのか、やめた方がいいのか判断するために、私を信用してくれるのかを尋ねたかった。

「私は・・・そうですね。

 心配、しています・・・」

「心配・・・?」

呟いた私に、彼がゆっくり頷いた。

膝の上で握っていた両手が、じっとり汗をかいている。

「ええ。

 間違えないで下さい、不快ではなく、心配、です」

言葉の意味を測りかねて、彼を見つめた。

すると、彼がすっと視線を逸らす。

「実際問題、王宮の中は物騒なことが起こり得ます。市井に住むよりも物騒です」

「・・・でも、紅も白も、王宮内をくまなく守ってるんじゃ・・・?」

私の言葉に、彼は黙って首を振った。

「あなたはただの事務官ではないんですよ。王族に直接関わるんです。

 昨日も、似たようなことをお話したかとは思いますが・・・。

 国内で権力を手に入れたいと画策している者たちにとっては、あなたは金品や地位を

 ちらつかせて操るのにちょうどいい存在です。

 そして、あわよくば自分の手を汚さずに王家を転覆させようとするでしょうね」

「私が、利用されるということですね・・・」

言われた内容に、血の気が引いていくのを感じる。

金品では靡かない自信があるけれど、暴力で脅されたら、屈しないとは言い切れない。

目の前の彼は、呟いた私から視線を逸らしながら、さらに続けた。

「・・・そうです。

 いえ、利用されるだけなら、まだいいでしょう。取り返せばいい。

 怖いのは、あなたに危害がおよぶことです」

私に危害がおよぶ。

それはまさに、昨日の「試験」が現実になるということなのだろう。

もしかしたら、私が人質として、何かの交渉に使われてしまうことも想定して、ジェイドさんは心配しているのかも知れない。

確かに、それなら市井で暮らしたほうが断然安全に決まっている。

彼は、黙りこくった私をちら、と見ると、

「もちろん、私達側近が陛下を支えていますし、王宮の安全管理も、怠るつもりは

 毛頭ありません。

 それでも、私のことですら疑いもしなかった、無防備なあなたが心配なのです・・・。

 痛い目を見てからでは、手遅れになるかも知れないと思うと・・・」

とても言いにくそうに告げられた。

「・・・ごめんなさい」

・・・そこまで考えた上で心配しているのなら、いっそのことジェイドさんが反対して、今回の話はなかったことにしてくれたら良かったのに・・・。

そんなことが頭をよぎって、ここでは働けない、と自分の気持ちに区切りをつけた。

そして、言葉を並べるために口を開く。

「・・・それならきっと、私ではご迷惑をおかけすると思います。

 他にも適任者はいるでしょうし、そちらにお願いした方が・・・」

なるべく波風を立てないように辞退の申し出をしようとしていると、彼がいつの間にか私のことを見つめているのに気づいて、言葉に詰まってしまう。

何か言いたいのかと問おうとしたところで、彼の方が口を開いた。

「・・・心配はしています。していますけれど・・・。

 ここにいて欲しいと思っているんですよ、私も」

ジェイドさんは、ゆっくりと、選ぶように慎重に言葉を重ねていく。

「でも、ここに居たら、危険な目に遭う時がやってくるかも知れない・・・」

半分は自分自身に問いかけているような話し方だった。

「・・・もう、いいですよ・・・?

 団長が、私でも出来そうな仕事を見つけてくれるって言ってましたし・・・」

曖昧な言葉を並べられても、私にはよく分からなかった。

痺れを切らせて、言いかけて止めてしまった辞退の言葉を伝えようとすると、彼の方はそれが意外だったのか、一瞬目を見開いて固まった。

そしてすぐに我に返ったのか、今度は黒い笑顔を覗かせる。

「確かに、あなたに出来る仕事を見つけることも、解決策のひとつですが・・・」

一旦言葉を切って、彼は私の目をひた、と見据えた。

その瞳の放つ力の強さに、縫い付けられたように身動きが取れなくなった私は、ごくり、と唾を飲み込んで言葉の続きを待つしかない。

「絶対という保障は出来ませんが、それでも、この話を受けていただけるなら・・・」

「・・・え・・・?」

思わず声が出てしまった。

けれど彼は、私の小さな呟きにも全く反応せず、真剣な眼差しで私を射抜いている。

綺麗な碧眼が、照明の光を受けて、ぽかんとした黒髪の私を映し出していた。

「私が持つ財力権力の全てをかけて、あなたを守ると約束します」

理解は、一瞬遅れてやって来た。

「え、ええ?!」

驚いて、ここが王宮の一角だということも忘れて、私は大きな声を出してしまった。

目の前には、とても素敵な笑顔のジェイドさんがいる。

懸命に言葉の裏を読んで、表情を観察して、その思惑を汲み取ろうとしていた自分は、一体どこに行ってしまったのだろうか。

もう、頭の中が真っ白になって、まともに物を考えられない。

「あの、だって、この話は、」

「ここに居て下さって結構ですよ。

 いえ、居て下さいませんか」

・・・もう、どうしてそういうことを平気な顔をして・・・?!

混乱してしまって口をぱくぱくさせる私を面白がるように、爽やかな笑顔を浮かべたジェイドさんは言ったのだった。

「・・・子守の話はなかったことに・・・」

「いえいえ、私がそんなことにはさせませんよ」

「え・・・?!」

私は確かに、辞退の申し出をしかけたのだ。

なのになぜ、彼は強引にも私を引きとめようとしているのだろう。

いや、確かに私はここで働きたいと思ったのだけれど・・・でも試されるほど信用されていないのかと思って愕然として・・・でも彼らが私を指名してくれているのは嬉しい・・・。

頭の中で思考がぐるぐると回り始めた私は、目も回ってしまいそうになって額を押さえた。

「安心して、子守に専念して下さいね。

 あぁ、権力は陛下には劣りますが、私の邪魔をしそうな臣下や事務官共の弱みは、

 しっかり握ってありますし・・・。

 私財も遣う暇がなかったので一生遊べるくらいには用意できます。

 何かあっても、隠さず私に話してくれれば綺麗に解決してみせますからね。

 ・・・そういうことなので、雇用契約書にサインをしましょうか」

一気に言い放った彼が、向かいのソファから私の隣へ移動して来る。

言葉の意味をいちいち拾い上げている余裕もなくなってしまった私は、何かあっても彼が力を貸してくれるという部分だけを理解して、それならば、と心の中だけで頷いた。

私の腕に、隣にやって来た彼のそれが触れる。

思わず、息を飲んで2人の間に少し隙間を空けた。

・・・しまった。

失礼な態度に気を悪くしてはいないだろうかと顔色を伺うと、彼は苦笑しながら言う。

「・・・そう反応しなくても。

 さ、初めて見るものでしょうから、説明しますね」

そして、さらに密着しようと距離を詰めてきた。

「・・・あの、ちょっと近っ」

「いいですか、読みますよ」

・・・無視された。

そう思っている間にも、私の背中に彼の大きな手が添えられているのに気づく。

彼の挙動にどこか団長に似た強引さを感じながらも、私は仕方なく、彼の読み上げる内容を聞いてみることにした。

時折疑問に思ったことを尋ねながら、勤務に関する約束事を確認していく。


朝は、朝食から開始。

最近は、レイラさんの体調が安定しておらず、彼女自身も食事を摂ることが難しい時があるそうだ。

そこで、私がリオン君の隣で話をしながら適切に食事が摂れるように手助けすることになる。

その後は、リオン君に付き添って、お勉強なりお庭で遊ぶなりして過ごす。

そして、夕食の時間になったら終了。

夕食の時間は、陛下かチェルニー様が一緒に過ごすことになっているのだそうだ。

それから、お休みはひと月に6~8日。

詳しいことは、レイラさんと話して決めることになるのだそうだ。

・・・勤務時は、用意された物を身につけること・・・?

「あのこれ、どういう意味ですか?」

気になって聞いてみれば、彼はにっこり笑って答えてくれる。

振り向いた彼の顔が思いのほか近くにあって、そういえば背中にも彼の手があることを思い出す。

「・・・書いてある通りです。

 王族と行動するのが基本ですから、それらしい服装を、こちらで用意します」

「出勤したら着替る、ということですか?」

私の所有物でなければ、着たまま寮に戻るのは良くないだろう。

私の疑問に、彼はしばらく黙っていたけど、すぐに「考えておきます」と答えてくれた。

勘繰ったりもしたけれど、最初に彼自身を見た時に感じた人の良さは、間違っていなかったのだと思う。

今だって、きちんと私に伝わるように丁寧に説明してくれているのだ。

この世界ではあまり見ない、この黒い目は、曇ってしまったわけではなさそうだ。

「・・・以上ですね。

 では、サインをして雇用契約を結びましょうか」

そんな言葉が聞こえてきて、同時に横から手が伸びて、私にペンを握らせた。

急なことに驚いて、思わず声を上げてしまう。

「え、ええっ?」

するとペンを握った私の手も一緒に握りこんで、彼が至近距離で微笑んだ。

「近すぎます・・・っ」

思わず仰け反ってしまうけど、背中には手が当てられていて、すぐに引き戻される。

そして、気づいたら真っ黒笑顔が待ち構えていた。

「これは間違えると替えのきかない書類ですので、私が一緒に書いてあげますね」

「字なら書けます!」

「・・・甘えていただいて結構ですよ」

耳元で囁かれて、一瞬力が抜けた。

それに気を取られていると、なにやら彼がもぞもぞ動いて、あっという間に器用に私の名前を書き上げてしまっていた。

左手でどうしたらそんなに上手に書けるのかと思うほど、綺麗な字が並んでいる。

私が呆然と並んだ字を見ていると、すぐ側で彼の声がした。

「・・・これからは、私のことも頼ってくださいね」

その声がやけに艶っぽくて、頭がクラクラしてしまう。

私はここに、仕事を得るために来たのに。一体なんなのだこれは。

そして、出来上がった書類をするりと手にすると、彼は何事もなかったかのように、颯爽と仕事机の上に置きに行った。

私は解放されて、ほっと息をつく。

胸を押さえたつもりが、いつの間にか胸元のコインを指でなぞっていた自分に気づき、自然と頬が緩んでしまった。

いろいろあったけれど、とりあえずは彼に迷惑をかけずに済みそうだと、ほっと胸を撫で下ろす。

呼吸が楽になったからか、体も少し軽くなったようだ。

それに・・・と思い出す。

今朝も早い時間にジェイドさんのところに来て、私のことを色々話していてくれたのだと思うと、その気遣いが本当に嬉しい。

今日の夜にでも、報告とお礼を兼ねて、何か持って部屋に行ってみようかな・・・。

張り詰めていた何かがふわっと消えて、そんなことを考えた。


ほんの少しの間、団長のことを考えているとジェイドさんが戻ってきた。

次は、私が所属することになる部署へ、連れて行ってくれるそうだ。

私の所属・・・それは、白の騎士団。

騎士ではないというのに、騎士団に所属するというのか。

思わず首を傾げた私を見て、ジェイドさんは微笑む。

「・・・歩きながら説明しましょうね」

そう言って、私に立ち上がるように促す。

そして、またしても自然な動作で私の背中に手を添えて、部屋のドアを開けたのだった。









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