ウチもアンパンマンにしますわ。
『非番中に度々すみません。』
「俺も警察入って10年だけどさ…
犯罪者にインターホン鳴らされたの初めてだわ。」
ここは印西広志の独身寮。
20回チャイムを鳴らしたら根負けして入れてくれた。
机の上にはスナック菓子と書きかけの報告書。
『お仕事中でしたらスミマセン。』
「オマエの所為で仕事になっちまったんだよ。
偽名じゃなかった事に驚いてるんだぜ、飛田飛呂彦。」
『えっと、捜査の進展報告に来たんですけど。
いいっすか?』
「今、オマエの捜査に忙しいんだ。
水岡さんに報告しなきゃならんからな。」
この時点で印西は相当日和っている。
水岡が報告を握り潰す事を知った上で報告者の体裁だけを整えている。
組織に俺を報告する気がないのだ。
何故?
知らない、他人の内面までは知った事ではない。
「それになぁ。
俺はオマエの上官じゃねーよ。」
『印西さんが受け付けてくれないなら、警視総監に直談判しますわ。』
「テロリストは直談判って文言好きだよな。」
『このスマホ。
一緒に見ません?』
「血塗れのスマホとか持って来るんじゃねーよ!」
『印西さーん、捜査は泥に塗れてナンボですよ。』
「上官か、テメーは!!」
怒りながらも印西は綺麗なコップにコーラを注いでくれる。
『お酒、飲まないんですね。』
「刑事たるもの、いつでも緊急招集に応じれる態勢にいるべきだ。
俺は警官が飲むこと自体反対だ。」
『承知しました。
俺も断酒します。』
「オマエ警察関係ないじゃん。」
『印西さんがピンチの時に駆け付けなきゃでしょ。』
「え、何それ?
怖い。
ちな警察官にとって1番の脅威は自称警察協力者な。」
『通常の警察業務で手に負えない案件があったら俺に声をかけて下さい。
処理しておきますんで。』
「いやいやいや!
オマエ以外は手に負えるんだよ!」
やれやれ、世の中上手く行かないものだ。
『キムラトシヒコさんって知ってます?』
「え?
なんでいきなりその名前?
え?
このスマホ、木村のスマホ?
え?え?え?」
『今、ドバイのタワマンに住んでるんですよ。
仲間っぽい連中と固まって暮らしてます。』
「え?
マジ!?
木村ドバイ? 木村ドバイなの!?」
『有名な人なんですか?』
「いやいやいや!
全国の交番で指名手配の張り紙してるじゃん!
木村兄弟って言ったら半グレの元祖みたいな存在だぞ!!」
『へー、悪い奴なんですね。
じゃあ問題ないっすね。』
「いやいやいや!
あるよ、問題大有りっ!
ってか、この血痕まだ新しいけどオマエがやったのか!」
『勝手に問題にすればいいんじゃないっすか?
俺の中では問題ないんで。』
「相手が半グレでも、ケガさせたなら傷害罪なんだよ!」
『だから。
印西さんがそう思うなら勝手に逮捕でも指名手配でもすればいいじゃないですか。
警察は給料貰って法律を守る、俺は自腹で犯罪者を殺す。
それだけの話っすよ。』
「オマエってヒーローみたいだな。」
『そいつはどうも。』
「善意で警告してやってるんだよ。
文脈で分かれよ。」
『そっすね。』
「どのみちスマホだけ持って来られても意味ないぞ。」
『?』
「スマホって番号とか指紋でロック掛かってるじゃん。」
『分かりました。
ロック外して来ますわ。』
「おいッ!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び8801号室に。
あれっ、キムラが唸りながらうずくまったまたまだ。
介抱しているのは嫁だろうか?
側に屋内用のベビーカーがあると言う事は出産直後なのだろう。
そうだな、ベビーベッドだけじゃなくて、ああいうコロコロも買い揃えておくか。
あ!
キムラ家はアンパンマンで統一してるのか!
うん、ウチもそうしよう。
アンパンマンの柄ならきっと子供も喜ぶだろう。
『キムラさん。
ウチもアンパンマンにしますわ。』
「うわぁッ!!」
『嫁にせっつかれてて困ってたんですわ。
子供が喜びそうなデザインが一番ですよね。』
「え?
ちょ!
何言ってんの!?
え? 何? どこの組だよテメー!」
『何で救急車呼ばないんですか?』
「え?え?え?」
よくわからんが、キムラはまだ救急にも警察にも通報していないようだ。
出血がそこそこあるにも関わらず救急車を呼んでないということは、呼びたくても呼べない状況なのかも知れない。
俺は瀬戸内の孤島に一瞬飛び、戦場で拾い集めていた王国製のショートソードと共に8801号室に戻る。
「ちょっと待てッ!
家族には手を出さないよな!?」
『?』
「いや!
家族は関係ないだろッ!
サオリッ! 早く逃げろッ!!」
『?』
「うわあああああああッ!!
テメーッ!!
ヤメロって言っただろう!!
あーッ!! あーッ!!
やめてーーッ!!
あー!!
あー!!
赤ん坊をッ!!
赤ん坊をッ!!
そこまでするかッ!!」
『?』
「うわっ!!
ちょっ!!
やめッ!!
カネならあるからッ!!」
ロック解除に協力してくれそうな雰囲気では無かったので先に首を突いて殺す。
案の定右手の親指だったので、切り落としてZiplocに収納した。
『ワープ。』
そして再び印西の部屋に。
「飛田ッ!
その血は何だキサマッ!
と言うか何で俺の風呂場から出て来た!?」
『まあまあ。
そんな事よりスマホを調べましょうよ。』
「まて!
その血の説明が先だ!」
『キムラさんの血と指です。』
「え?え?え?
指ってどういうことだよ!
意味が分からん!!
え?
それ木村の指!?
殺したのか?」
『いやいや。
捜査に必要だと告げたら協力してくれただけです。』
「その返り血で生きてる訳ねーだろ!
大体、キムラはドバイって言ったろ!?」
『まあまあ、俺と印西さんの仲じゃないですか。
さぁ、スマホ開きますよー。』
「異常だよオマエ。」
『そうっすか?
給料貰ってる癖に仕事しない奴らの方が余っ程異常だと思いますけどね。』
「何?
警察批判?」
『慣れてるでしょ?』
「真っ当な批判には慣れてない。」
『そっすか。』
何だかんだで印西もスマホを見る。
流石にプロだけあって符丁等は見れば理解出来るようだ。
「結論から言うぞ。
確実に一網打尽に出来る。
下手すると闇バイトそのものが無くなる。」
『そっすか。』
「…但し、このデータを俺のPCに移せばの話だ。」
『移せばいいじゃないですか。』
「…分かってて言ってんだろオマエ。」
『組織への説明が困難って事ですよね。』
「オマエの存在を伏せての説明が難しいだよ!
俺1人なら懲戒免職程度で済む話だ!
一々言わせんな!!
…まずはデータ移すわ。」
『…。』
「…オマエ、これからどうするんだよ?」
『別に?
正業に就いて税金でも払うんじゃないっすか。』
「1つ頼みがある。」
『?』
「今から水岡さんが来るから…
一緒に説明してくれ。」
『すみません。
今から巣鴨で飯食うんで。』
「いやいやいや!
今日中に説明してくれないと困るんだよ!」
『印西さん達も来ればいいじゃないですか?』
「マジかー。」
『ご迷惑ですか?』
「それ、わざわざ確認する必要あるか?」
『ちょっと電話しますね。
あ、もしもし村上さん。
今、大丈夫っすか?』
「おう。」
『今、警察に捕まってるんですけど…』
「どっちの?」
『チャコちゃんじゃない方のおまわりさんです。』
「ふー。
安心したぜ。」
『晩飯に2人誘ったんで、広い方の座敷使わせて下さい。』
「幹康に言っとくー。
ま、どうせこの通話もチャコちゃんに
盗聴されてるんだろうけどな。」
『じゃあ、チャコちゃんさん。
聞いた通りです。
本物のおまわりさんなので粗相の無いように。』
雑音がリズミカルになったので、了解の合図なのだろう。
『じゃ、印西さん。
場所はGoogleマップで確認して下さい。
道が分からなければ迎えに行きますんで。』
「ったく、今日はワースト2非番だよ。」
聞けば、新人の頃に寮で火事があって何人かが犠牲になった事件があったらしい。
親身に印西の面倒をみてくれていた先輩も死んだ。
恐らくは放火だが、犯人は未だに捕まらず。
その次に酷い非番日になったとのこと。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
取り敢えずワープで橋本のトイレに戻り平謝りをする。
「僕、キミと一緒に歩いている場面、結構見られてるからなぁ。
頼むから逮捕だけはされないでよ?」
『いや、逮捕は半々で済むと思うんですけど…
今から刑事とメシ食うんですよ。』
「えー、マジ?
なんで悪い人って警察が好きなのかなぁ。」
『コージさんも飲み会に参加します?
リモートで。』
「警察が帰ったら呼んでよ。
Civilization6しながらで良ければリモート飲み会参加するわ。」
『あざす。
じゃあ巣鴨に帰りますわ。』
「勝手に人の家の便所を巣鴨に繋げないで欲しいなぁ。」
そんな遣り取りがあって久々に村上邸に戻った。
顔を出した瞬間に幹康さんの奥さんに物凄いプレッシャーを掛けられるのは御愛嬌。
俺と村上翁がすき焼きをつついていると、刑事コンビが来訪したので真顔で乾杯。
淡々と肉を喰いながら、事務的な話に徹する。
『結局どうするんですか?』
「いや、闇バイトとのハブ役が日本に居たから、普通にそいつを逮捕するよ。」
『あ、そうなんすね。』
「岩永の仲間だよ。
道具屋。
犯罪用のトバシ携帯とかを調達する奴のことな。」
『ああ、そいつが日本国内に居るんですね。』
「歌舞伎町でNPO法人立ち上げてる。
恐喝と監禁で前科もある。」
『スミマセン。
この前、歌舞伎町を絶滅させる計画を未然に防いじゃいました。』
「余計なことすんな、バカ。」
『スミマセン。
次はキッチリ皆殺しにさせます。』
そんな話をしていると歌舞伎町抹殺計画の首謀者が入室してくる。
「いらっしゃいませー♪」
「おお、えらい別嬪さんが来たな。」
「いつも飛呂彦がお世話になっております♪
彼女の須藤千夜でーす♪」
『…。』
「飛田。
こんなに可愛い彼女さんが居るんだから、これからは無茶をするな。」
「えへへー♪
それほどでもアリマス♥」
チャコちゃんを退席させて、しばらく闇バイトの話題。
村上翁も新宿で店をやってるので、それなりに情報は持っている。
刑事コンビと手持ちのカードを見せ合って、今後の協力を約束する。
「では村上専務。
我々はこれで、何かありましたら新宿署刑事課で私か印西を呼び出して下さい。」
「お気遣い痛み入ります。」
「飛田。
飲み代幾ら?」
『え?
呼んだの俺ですし、別にいいですよ。』
水岡は万札をテーブルの上に置く。
「俺と印西の分だ。」
2人は背中越しに手を振ると、さっさと帰ってしまった。
犯罪者に奢られる筋合いは無いんだってさ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「飛呂彦♥
やっと2人になれるね♥」
『あ、村上さん。
今から前に話したドバイの友人を紹介しますよ。
リモートで一緒に飲もうって誘っておいたんです。』
「うがー!
なんでよ!」
「おう、橋本社長の事だな。
ちゃんと挨拶したいと思ってたんだ。
早速繋いでくれ。」
『コージさん。
俺の声、聞こえてます?』
「うん、鮮明に聞こえてるよー。」
『この人がいつも言ってる村上さん。』
「はじめまして。
いつもお名前を伺っております。
橋本コージと申します。」
「村上顕康です。
はじめまして。」
「わ゛だじも゛!!
わ゛だじも゛!!」
「そっちの子は?」
『村上さんの親戚の子ですね。』
「チャコちゃんです!
須藤千夜!!
私のこと!
話題に出てますよね!?」
「いやあ、初耳ですねー。」
「ぐっばぼべー!!」
鍋をつつきながら橋本コージの帰国案を練る。
幸い村上翁が不動産候補をピックアップ済みだったので話が早い。
「ふむ。
広尾ですか。
都内のいいトコですよね?
地名は聞いた事があります。」
「ええ。
古い友人が売りたがっておりまして。」
聞けば村上翁の旧友が海外移住の為に国内不動産を処分中のこと。
9割がた片付いたのだが、渋谷区広尾のビル2棟が高額の為か買い手が付かない。
「幾らですか?」
「20億円までなら下げれるとのことです。」
「えっとドルで言うと幾ら位になりますか?」
「現在のレートですと、130万ドル。」
「安っ。
じゃあ、それを購入します。
法人名義で買えるならそれで。」
「せめて資料を見て下さいよ。
2棟ともPDFに纏めるの苦労したんです。」
「ああ、すみません。
隣同士のビルなんですね。
こっちは100万ドルか。
お困りでしたら両方買いましょうか?」
「買って頂けるなら売主も喜びますよ。」
トントン拍子に話が進み、オンライン飲み会に売主も混ざる。
どうやら売主は相続税対策でドバイに移住したいらしく、ドバイ住みの橋本との出会いを僥倖であると大喜びする。
例のタワマン(ポルシェ付)を購入する話までついてしまう。
「そのタワマンって
瑕疵事項ってあります?」
「最上階に住んでた反社の人が
今日死にました。」
「うん、それはプラスですね。
家族がまだ住んでるとかは嫌ですよ?」
「安心して下さい。
家族も死にました。」
「おお!
プラスじゃないですか!
いやあ、幸先が良いです。」
今、ドバイでキムラの死が早くもニュースになってるらしい。
東洋人の分際でデカい顔をしていた奴が死んだ事で、皆が喝采を送っているとのこと。
まあなあ、敵の死に優る僥倖などある筈もない。
そんな事を考えていると橋本達の商談は高速で進展していた。
大金持ち同士の商談なので話が早いのだ。
互いの税理士を交えて取引書類を作成する事が決まり、その日程を詰める為に2人でオンライン通話から抜けた。
「飛呂彦❤
やっと2人になれたね!」
『村上さんも居るけどね。』
「居ないものとしてカウントしてくれ。」
「今日は泊って行くよね!」
『ゴメン、本妻。』
「もーーー!!!
飛呂彦はいっつも本妻本妻って!!
私は飛呂彦のなんなの!!」
『…取引先の娘さん。』
「ぐわああああ!!!
事実なのが傷付く!!
見てよ、らぁら(本名)からのLINE!!!」
【スタート地点にすら立ってない癖に
なーに言ってんだかwww】
らぁら(本名)も結構キツいよな。
まあ、冷静に考えれば俺の子を妊娠してるか否かって全然立場違うよな。
「びええええええん!!
専務えもーん!!
私だけがヒロインレースに混ぜて貰えなーい!!」
「そうは言われても飛田は3人乗りだからな。」
既にエヴァも入っているので飛田号は定員オーバーである。
「わ゛だじも゛ビロ゛イ゛ン゛レ゛ー゛ズに゛混゛ぜでぇ゛!!」
『チャコちゃんさんにはフェラーリがあるじゃない。』
「女が自分で買ったら負け組なの!!
男の人から贈られないと意味がないんだよー!!」
俺も初めて知ったのだが、女バトルでは自分で汗水垂らして購入した品目にはマイナスポイントが付くらしい。
男に貢がせたらプラスポイント。
(イケメンに貢がせたらプラス幅が凄い。)
そのポイント比べで女共は果てしない闘争を繰り広げてるということ。
いや、そういう大事なことは理科の授業でちゃんと教えてくれよ。
仕事しろよ文科省!
『えっとチャコちゃんさんが買った六本木のタワマンは?』
どうしてみんな、そんなに六本木が好きなのかは謎。
「アレは一番駄目!!
独身女が自腹でタワマン買うとか痛すぎ!!」
まあな。
オスが巣を作りメスに求婚するのは生物全般に共通した習慣だ。
きっとメス社会では自分で巣を確保してしまうような女は笑いものになるのだろう。
『俺は一定の評価してるんだけどねー。
チャコちゃんさんってユニークだから。
(褒めてはいない)』
「面白ぇ女ポイントはもうイラン!!!
愛を下しゃい!!!」
そうは言われてもなあ。
この人は減点要素が多過ぎて芸術点で下駄を履かせなきゃ俺がやってられんからな。
「愛されているという証が欲しいの!!」
参ったなあ。
証もなにも、この人って俺にとって単なる取引先の娘さんだからな。
村上翁に恩義があるから相手をしてやってるだけなんだけどな…
『分った。
じゃあ、本妻からの預かり物を渡すよ。
それが証ってことで。』
「ぴえん!
どんどん遠ざかってる!」
俺は村上翁に頼んで仏間の押し入れを借りることにした。
飛ぶ前に村上兄弟のご両親の遺影に合掌。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『ワープ。
エヴァさんただいま。』
「あらヒロヒコ。
お帰りなさい。」
『仕事が一段落しました。』
「そんな顔をしているわね。」
『それで…
風魔法の人と面談中です。
アレを渡していい?』
「…ええ、お願い。
優しくしてあげてね。」
『十分気を遣ってるよ。
取引先の娘さんだし。』
「だーめ、チャコちゃんさんを泣せちゃ駄目よ。」
『ゴメン、もう泣かせた。』
「じゃあ、私の代わりに頭を撫でてあげて。」
『分かったー。
ワープ』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『チャコちゃんさん、涙を拭いて。』
頭ナデナデ。
「それ!!
本妻さんにしろって言われたんでしょ!!」
『え?
何で分かったの?』
「分からいでか!!」
『これ俺からのプレゼント。
いつもお世話になってる(皮肉)からね。
どうぞ。』
「本妻さんからのプレゼントでしょ!」
『…俺からって言えって言われたから。』
「キーッ!!!!!」
『まあまあ。
価値のあるものだから。
悪用しちゃ駄目だよー。』
「これは?」
『土魔法(極)。』
「うん、分かった。
戦略兵器の開発に邁進する。」
『やめーや。』
「でも日本の国防の為には断固たる抑止力が必要なんだよ!」
『うん、そういう事は男が考えることだから。』
「相互破壊確証!
相互破壊確証!」
『分かった分かった。
今月中に日本の敵っぽい奴が3人死ぬからそれで納得して。』
「私にメリットがない!
須藤千夜個人になんか救済措置を頂戴!!
ヒロインイベント希望!!」
この人の個人イベント結構豊富な気もするんだけどな。
(ロクな思い出がないのは御愛嬌。)
『村上さーん。
何か妥協案オナシャス。』
「えー。
そういうのは若い奴同士で解決しろよ。」
『俺、そういう恋愛的な経験値ないですもん。』
「飛田の場合はいきなり子供が出来たからなぁ。
色々遊びを教えてやりたかったんだが…
スマンな。」
「専務!!
私で遊ぶように言って!!」
「いや、流石に御両親に申し訳が立たないから…」
「飛呂彦!
私で遊んで!!」
『いや、流石に村上さんに申し訳が立たないから…』
「うがーー!!
男共の配慮が私に全然メリットがないよーー!!
びえーーーん!!!」
「分かった!!
チャコちゃん分かった!!
俺が美奈子さんに怒られるから泣き止め!!」
「びえーーーん!!」
「じゃあ、こうしよう!!
飛田はチャコちゃんに仕事を手伝わせてやれ。
買い出し程度で構わんから
デート気分で遊びに行って来い。」
「しゃあ! しゃあ!
専務たまにはいい事言う!!」
『はぁ。
まあ、村上さんがそう仰るのでしたら。』
「飛呂彦♥
チャコちゃん役に立つよー♪
一緒にミッションこなそうぜ♥
何か困りごとはないかい、ダーリン♪」
『あ、じゃあ一緒に府中用のベビー用品を買いに行ってくれたら助かる。
知り合いがアンパンマンで統一しててさ。
見た瞬間にこれだって思ったんだよ。』
「ギャオーーーーーンッ!!!」
それでも俺が要望したアンパンマングッズを検索してくれたので義侠心のある女なのだと思う。
(LINEグループで煽り合ってるのも御愛嬌)
チャコちゃんがベビー用品を揃えてくれそうな雰囲気だったので、エヴァの元にワープして寝た。
この話が面白いと思った方は★★★★★を押していただけると幸いです。
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