第六話 謀議の後で
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけると幸いです。
また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
いつも思う。謀議の時は表に出てこいと。いや、出てきている者も六名ほどいる。部屋の隅にひっそりと。目を向けると手を振ってくれるが誰も気づいていない。壁に何かの幻術をかけているらしい。半三の意識が時折、壁を向いておった。半三を騙せる幻術ってヤバくないか?果心居士は知っているが因心居士って誰よ?藤原千方の四鬼もそうだ。実在するとか聞いてないし、元号が大化だった頃の人だろう?九百年続く忍び一族の技ってすげぇ。まぁ、鳶加当は幻術で有名だけれども、加当さんかと思っていたら普通に加藤さんなんすね。
昼前に城を出てきたばかりだけれど、「忙しい」と言って逃げるように出てきたばかりだけれど、報告しないとまずいかなぁ。西三河のみならず東三河も落とせますよと。そして、今川との戦端が開かれるかも知れませんよと。まぁ、那古野を奪ったのだ。それも良いか。鵜殿や天野ならまだ良いが、岡部や朝比奈、そして九英承菊を相手にするのは、準備が足りない。せめて三年欲しい。せめて鉄砲を作ってからでは駄目か?いや硝石が生産出来た後の焙烙玉とかでも良い。そうなると五年か。中国あたりから鳥銃か火槍を取り寄せ改良したい。あとは硝石を買い漁ってもらおうかしら。はぁ、ため息が出るよ。
割とあっさり面会は許可された。さらっとこちらに寝返る三河衆の名を上げる。ポカーンとしているが気にしたら負けだ。今川との戦端は大和守家に突っ込んで貰って、そのまま戦死でおk?みたいなノリを伝えたら、親指と人差し指を丸く繋いで、大仏様の「銭くれ」ポーズ(偏見)をしてくれたので、早々に退室した。
城内を歩いていると角を曲がったところで、足を掴まれた。恐怖体験とかではない。新築の戦も経験してない城で出てたまるか。出るとしたら、土田ご(げふんげふん)。まぁ、可愛らしい足音がテチテチと近づいて来ているのは知っていたから、弟か妹だとは思っていた。頭からぶつからないように体捌きをしたら、四つん這いのまま足に抱きついてしまった弟が、見上げて来た。この年齢の織田家の子は女の子か男の子か分からないなと思っていると、誰何してくる。
「たーれ?」
「お兄ちゃんだよー。」
笑顔で応えて、抱きかかえてあげれば、ほら笑顔。もう一歳らしい。この古渡城にいると言う事は、同母弟だろうけれど、史実では明確な生年の残った弟は実は少ない。喜藏兄上が生年不詳のため、前後するのだ。この弟は、ステータスから見れば、私の一つ下の弟なのだけれど、史実にいなかった兄弟を認知させたせいで、私は元々三男だったのが十男になっているし、この子は十一男になってしまっている。着実に歴史を変えている。
「とーしたのぉ?」
「なんでもないよ〜。ねー。」
「あい。」
遠くから、侍女たちの声がする。母に見つからないように、侍女の誰かに渡そう。うむ、あっちに母がいるな。こっちへ行こう。近づいて来た侍女に弟を渡そうとすると、「若、あとはこっちでしますんで」と返ってきた。うちの忍びらしい。ステータスを見てさらに驚いた。お前、水鬼かよ。変装なの?幻術なの?伝説通り官女を捩って侍女してるの?伝説通り見つかって殺されないでねと祈りつつ別れた。
鳶加当は誤字じゃ無いですよ。
若い世代の方は知らないかもしれませんが、1989年出版の隆慶一郎先生著『一夢庵風流記』には加藤段蔵の事を、こう呼んでいたと記憶しています。
これを漫画に起こした、原哲夫先生の『花の慶次』にも同じ名前で出てきますし。




