第38話「本当の避暑地は?」
「今日もかなり暑いけどさー。去年の夏は北海道なのに死ぬほど暑かったじゃーん? もうどうすりゃーって話だよねー。日本に避暑地はないのかーっ!」
「それでも本州よりマシってのがビックリだけどねー。それでも暑い。家のどこにも避暑地が無いよ」
「ま、まあ、あたしの実家には、リビングにクーラーあるんだけどねー」
「寮に居れば各部屋にあるしネ……」
「あっ、ああ。うちはどこにも無い……」
格差社会であった。
「可哀想な百合葉……。家のどこにもエアコンが無いのだな……。本格的な夏になったら、その汗だくな百合葉を拝みに行くからな? 楽しみにしててな?」
「楽しみなのはアンタでしょっ!」
妄想の中ですらセクハラを受けてしまう……もうどうしようもないレズだなって思いました。
そこで仄香があれっと疑問を口にする。
「クーラー……んんん? エアコン? 冷やすのはどっちだ?」
「名称の話か。まあ道民はエアコンを温風で使う必要があまりないからな。冬はエネルギー効率的に灯油ストーブを使った方がいい。だから実質、冷房を意味するクーラーと呼んでも間違いじゃないだろう。もちろん温風機能もあるからエアコンなのだが」
「なるほへー! まあ、クーラーっていう方が冷える感じがあるからクーラーって言う!」
「まあ、伝わればいいんじゃないか」
と、説明した蘭子も、細かい訂正をする気にならなかったみたいだ。まあ僕もついクーラーって言っちゃうし。
「そういえば。本州は40度越え~とかよく言うけど、実際の所は割と局地的な話だよね。一番暑いのは埼玉や名古屋だっけ? 本州って適当に括っちゃう癖あるよ」
「あーそれあるー。本州はもっと地獄って言っちゃって、青森のお婆ちゃんに笑われたよー」
「そりゃあ、青森とは気温が天地の差だろうな……暑いには暑いが。猛暑は関東や首都圏だけとも言えないし、日本の真ん中の方という言い方も変になる。内地とか、向こうとか、東京の方など、誤魔化すのは道民の癖なのかもしれないな」
蘭子が解説してくれる。しかし、こういうのは個人の差もあるから、キチッとした蘭子としては以外な所だ。
「でもカントーでもさー。なんかあるじゃーん? なんか……温泉街が」
「温泉っていうとむしろ暑そうだけど。まあ軽井沢とかね」
「でも結局本州なんじゃん……? 我々の見もしない黒光りのGが出るかもしれない……! うわーっ!」
「ああ、それはこわいね……」
確かに、本州の高地と言えど、ゴキブリは出るだろう。同じ虫嫌いでも、北海道の大自然昆虫と、本州のゴキブリとじゃあ、まだ自然の虫の方がマシと言える。
「仄香ちゃん。すぐお菓子食べこぼすカラ……。部屋で黒光りのGが出そう……」
「やーめーてーっ!」
ああ、それは大問題だ。ちょっと油断したら食べかけのお菓子がゴキブリにたかられるのはつらいモノがある。
出来るだけ家事はピシッとやろうと思ってはいるけど、ズボラ民にはかなり厄介な害虫である。排水溝を通った体で部屋を徘徊されるとか、怖気が走る……。というか衛生的に大変だ。
「もう! 夏大好きなのに地獄みたいな暑さは嫌だーっ! 日本にはもう避暑地はないのかぁ! ゴキブリが出ない範囲で! 30度にもめったにならないところ!」
「まあ、あるよ? 稚内とか、根室とか」
「り、陸の孤島やん……!」
「そう言うな。どこであろうと、何十兆円もかけて都市開発すればいいんじゃないか? 国の観点からしても、完全な過疎地にはならないだろう。海も近いし、発展しがいはある。期待してるぞ?」
「なんか変な期待されたぁー!!!」
前回の続き的なお話なのに、二ヶ月近く放置してしまいました……。
夏が終わる前に夏トークは終わらせたくて、とりあえず仕上げました。
と思っていたら、8月末に投稿しようとして電波が悪くて後にするかと思っていたら、9月になってました!
後回し癖は良くないですね_(:3」∠)_
7月に書いてる時には、この話面白い? って疑問になってしまって。あとパッ見で誰が話してるか見ずらいかもしれません。
でもやっぱり、一度疑問に思うと、面白い話が浮かんだ時すら書かなくなっちゃうので、つまらない回でも書き進めて、面白い回だけ後でまとめれば良いですね。
さて、道民とは言いつつ、一つの感想でした。たぶん、周りの人の影響とかで、本州の呼び方など変わるかと思います。
それと、釧路の方が涼しくない? とか、陸の孤島扱いは酷くない? とちょっと思いましたが、流れを信じて変えない事にしました。
いろいろと道民話を書いてますが、一つの感想だと思って、鵜呑みにはしませんよう、よろしくお願いします。




