第20話「百合葉ちゃんのおっぱいが飲みタイ」
僕の部屋で、膝の間に譲羽を抱え、ちょっとエッチな百合マンガを読む。この後のマンガの展開は激しくなるのか、そうでもなく終わるのか、ちょっと怖いもの。
「百合葉ちゃん、ムラムラ……してキタ?」
「い、いや……しないけど。僕あんまり性欲ないからね。愛さえ感じれればそれで満足だし」
「ソウ……」
「もし、ムラムラしてたらどうするの?」
「襲ウ」
「襲うっ!? やめてね!?」
こんなロリに襲われるのは、どうなってしまうのだろうと、逆に気になるところではあるけれど、でも、断ることに。おねロリか? いや、順番的にはロリおねになるのだろうか。
だなんて、同級生を勝手にロリの妹の様に見てしまう僕。なかなか罪深い……。
「ユズはムラムラしたの?」
「いや全然」
「全然かい……」
「でも、百合エッチとか見てると、胸がポカポカする……カモ」
「ああ、それは分かるなぁ。なんだかんだ、イチャイチャ愛し合ってるのを見ると、すごく幸せだよね」
僕が百合エッチなマンガを見られるようになったのは、そこだったり。エロを前面に出されると困るけれど、ほっこりする百合マンガも多いのだ。
一方で、かつてはドロドロな百合も好みだった僕。しかし、みんなとのいざこざがあって、完全にドロドロ修羅場はもういいやってなってしまったのだった。見ないワケではないけれど、やっぱり百合は平和な一番だ。
そんな中で、ゆずりんは僕の胸で、ポワンポワンとトランポリンみたいに頭を跳ねさせる。
「百合葉ちゃんのおっぱいが飲みタイ」
「唐突だなぁ。もちろん母乳出ないよ?」
「じゃあ、アタシの、飲む?」
「えっ? まさか出るの……?」
「出ないケド」
「出ないんかいっ!」
一瞬焦ったよ。ゆずりんを妊娠させた男が居たのなら、拷問器具を使って女の子にしてしまう所だった。ふははははっ! お前も女の子にしてやろうかっ!
「もしかして、百合葉ちゃん、焦っちゃっタ……? アタシが仄香ちゃんに妊娠させられたんじゃないかッテ……」
「い、いや、その心配はしてないけど……」
「ソウ……残念……」
「残念なの……!? いや、ちょっと待って?」
何か、何かがおかしいような……。レズジョーク……といえばレズジョークだけど、なんだかゆずりんが僕を嫉妬させたかったように見える……。
「ゆ、ユズ? どうやって赤ちゃんが出来るか知ってる?」
「……? アタシをあまり舐めない方が……イイ。キスで妊娠出来ると思い込んでた時期は過ぎ去ッタ……」
「い、いつまで……」
「あれは忌まわしき中三の時……。たまたまクラスメイトと話してて、口移しでも妊娠の可能性があるだなんて怖いって言ったら、嘲笑の渦に巻き込まレタ……」
「それは確かに怖いけど!」
なんだ? 口から精子が出ちゃうのか!? 本当に耳が妊娠したとかなっちゃうのか!? いやもちろん違うけど! ただのオタク的表現だけど!
「じゃ、じゃあ……今は?」
「……愛し合う者同士、体を重ねる……キャッ」
「キャッ……じゃないんだよなぁ……」
なんか、ちょっと惜しい感じがするぞ? これは致命的な勘違いの可能性が……。
「女同士で赤ちゃん作れないって知ってる?」
「……? 凹凸が無いから、限りなく可能性は低いケド……」
「可能性はないよ!」
「はっ! なんダッテ……!? 確かに、今まで、なんだか変かもとは思ッテタ……」
とんだ勘違いロリであった。もしや、全部の性知識を百合マンガから得てるんじゃないだろうか。いや、それでもかなりの勘違いだ……。
「ユズ、保健の授業とかで習わなかったの……?」
「ん……保健はめんどくさくて寝テタ」
「それでか……」
いや、寝てたにしても他でそういう知識を得なかったのかと思うけど……。
でも、そうだよなぁ。ぼっちだと、そうなるかもなぁ。僕も気持ちが分かる分、なんだか泣きそうになった。
「でも、大人になる頃にはデキると聴イタ。確かな情報筋に」
「ま、まあ……それは否定出来ない。どこで聴いたのそれ」
「蘭子ちゃん」
「蘭子ーッ!」
いや、あの子は本気で将来同性での子作りを期待してるけどさ! 大人になる頃に……じゃなくて将来的にだったら間違いじゃないかもしれない! でもとんでもない爆弾勘違いにさせてくれたなぁっ!
「それで、もし百合葉ちゃんの母乳が出るようになったら、アタシが最初に飲みタイ」
「へ、へぇ……なんで?」
「アタシ、お腹弱いから……。でも、初めて出た母乳は初乳と言って、消化管を保護する成分が含まれてる……ラシイ」
「そうなの……? そ、それは、どこで得た知識?」
「蘭子ちゃんが、教えてクレタ」
「蘭子ーッ!」
またしてもなんて話をしてるんだ! いや、全く問題は無いんだけど! でも、どんな話題で母乳の話になったのか気になる……。
「百合葉ちゃんの母乳飲みたいよねって話で盛り上ガッタ」
「そんな事で盛り上がらないでっ!?」
「じっくり、ねっぷりと舐めたいという事で落ち着イタ」
「いや飲まないんかいっ! いや別に飲んで欲しくないけどねっ!」
ねっぷり攻めるな! それ絶対に母乳目当てじゃないでしょ!
ってか蘭子も蘭子だよ……。咲姫とはすぐ喧嘩する癖に、ユズとは僕へのセクハラ話で盛り上がるんかい……。いや、仲良し百合ハーレムを目指してるから助かるけどね……。
「そうだ……。今日ヤリタイ事……忘れてた……」
「や、やりたい事?」
「ウン。百合小説のネタに、確認したい事あるノ……。手伝ってクレル……?」
「ま、まあ。あんまり激しくない事なら……」
百合作品を読むのもそうだし、また書くのも譲羽の趣味だったり。彼女の望みならば、ある程度は叶えてあげたいが……。
彼女は持ってきた百合マンガを手にとり、パラパラとめくる。
「この、貝合わせってやつなんだケド……」
「ヤリタイってそれ一番アカンやつ! もはや、本番だよっ! ABCのCだよ!」
「ABC……って、ナニ? バンド名?」
「いや、知らないの!?」
性知識に偏りがありすぎだよ! いや、もしかしたら古いネタなのかもしれないけどさ!
「これで、万が一にでも、百合葉ちゃんが妊娠できたら……母乳が、飲メルッ」
「だからデキないよっ!」
あと母乳が出るのは出産後だねっ!
やっぱり百合作品から知識を得てるのであろう、完全に偏りまくりなゆずりんでした。
時系列飛び飛びでネタ出ししてたりするので、ゆずりんの知識が前後するかも……。
前と矛盾があったら直すかもしれないので、教えてください。




