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JK無双 終わる世界の救い方   作者: 蒼蟲夕也
フェイズ2「デスゲームはじめました」
52/433

その51 話のテンポェ・・・

 明日香さんと別れの言葉を交わし。

 “雅ヶ丘高校”を後にした私は、一路、所沢への道を急ぐのでした。


 ……と。


 思うじゃん?


「………」

「…………………」

「…………………………」

「あ、センパイじゃん。おかえりー」


 門番の明日香さんが、ぱたぱたと手を振ります。

 とても一時間前にさよならしたとは思えない気安さ。


「ええと。……なんか、困ってる人がいたので、連れてきました」

「はーい、いらっしゃーい」


 がらりと正門が開きます。

 私の後ろに続いていた四組の家族が、お互いを抱きしめ合いながら、“雅ヶ丘高校”へ入って行きました。


「ありがとう! 親切で強い嬢ちゃん!」

「いえいえ~」


 精一杯の笑みを浮かべて、彼らに手を振ります。


 みんな、自宅に立てこもり、救出を待っていた人たちでした。

 自宅への立てこもりは一時の安全を保証しますが、長くは保たないことがわかっています。

 脱出経路が限られてしまうため、家が“ゾンビ”の群れに囲まれた場合、身動きがとれなくなってしまうためででした。

 ものすごい豪邸に住んでるとかだったら話は別ですけどね。


 特に描写の必要性が感じられないレベルの楽勝ぶりで“ゾンビ”を一掃した私は、助けを求める彼らを放っておくわけにもいかず、安全地帯の“雅ヶ丘高校”まで取って返す羽目になったのでした。


――おめでとうございます! あなたのレベルが上がりました!

――おめでとうございます! あなたのレベルが上がりました!


 レベルも上がって、一石二鳥ですしね。


「ありがとう……! ありがとう!」


 彼らの感謝の言葉を背に、気を取り直して再出発。

 今度こそ、所沢への道を……。


 数十分後。


「そ、そこの君! た、たたた、助けてくれぇー!」


 という悲鳴を皮切りに、小さなスーパーに八人ほどで立てこもっていたグループを発見。


「………………」

 すばずばずばーっ。

「た、助かった……」

 ここから少し歩いたとこに安全なとこあるよー。

「ほ、本当かい! 是非連れてってくれ!」

 はーい。


 そしてまた、とんぼ返り。


「あらあら。またですかぁ?」


 明日香さんも、さすがに呆れ顔になっています。


「はーい、いらっしゃーい」


――おめでとうございます! あなたのレベルが上がりました!


 わーい。


 では、こんどこそ! いざ!


「う、ウワー! 誰か助けてくれー!」


 ………えーっ。


 今の今まで気づきませんでしたが、生き残ってた人って結構いたみたいですね。


 今度のお家は、二十匹前後の“ゾンビ”に取り囲まれています。

 その数を相手に、私は臆することもなく向かっていき(中略)彼らの救出に成功。


 しかし、対“ゾンビ”に限って言えば、《剣技(上級)》と《パーフェクトメンテナンス》の組み合わせがとてつもなく強いですねー。

 《エンチャント》しなくても“ゾンビ”とか鼻歌混じりで倒せるレベル。

 しかも、最小限の斬撃で“ゾンビ”を仕留められるため、精神衛生上良いというおまけつき。

 やっぱり“ゾンビ”とはいえ、元は人間だったものの死体です。あんまり派手に傷つけるのは気分が良くないですからね。返り血で服が汚れますし。


 幻聴さんによると、一部の“ゾンビ”は強くなっているようですが、今のところ、これまでとあんまり変わらない感じ。これでも最初は警戒してことにあたっていたのですが、杞憂だったかもしれません。


「あ、あれだけの群れを、一瞬で! す、すごいな君は!」

「あ、そういうのいいんで、こっからすぐそこにある“雅ヶ丘高校”来てください。安全です」

「えっ。う、うん……」


――おめでとうございます! あなたのレベルが上がりました!


「ふう……」


 一応、今朝からここまでの出来事をまとめると、


 学校を出発→助けを求める人→助ける→学校にとんぼ返り→また出発する→助けを求める人→助ける→学校にとんぼ返り→また出発する→助けを求める人→助ける→学校にとんぼ返り←今ココ


 まったく。

 こちとら新たなる冒険の旅路を急いでいる最中だというのに。

 話のテンポというものを考えていただきたい。


「……もう、今日はここで泊まったらどうです?」


 へらへらと笑いながら言う明日香さんの提案を断って、三度目の出発。


 こうなったら、意地でも進んでやることにしました。


 幸いというか、なんというか。

 三度目にして、ようやく順調に進むことができそうです。

 あるいはこの近辺にもたくさんの人たちが生き残っているのかもしれませんが、今の状況では一軒一軒声をかけて回るわけにもいきません。

 とりあえず、救出するのは目前に危機が迫っている人だけに絞ることにしましょう。


 そんなこんなで行く手を塞ぐ“ゾンビ”を倒しつつ、歩くこと四時間。

 全体の道中にしてみれば、半分といったところでしょうか。


 夕闇に染まる街で、とりあえず今日の移動はここまでと決めました。


 新築の立派な駅が見えて、私は立ち止まります。

 駅の名前は、“江古田”とありました。

 たしか、有名な芸術系の大学があるところだと記憶しています。アド街ック天国で観ました。


 腕を組み、本日の寝床に必要な要素を吟味。


 まず、ベッド。

 次に食糧。

 できれば漫画。

 あとは暖房器具とか。

 さらに言えば、お風呂。


 たかが一泊の宿とて、妥協は許されません。


 なにせ、明日の今頃には、私、死んでるかもしれませんからね。


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