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JK無双 終わる世界の救い方   作者: 蒼蟲夕也
フェイズ3「ヴィヴィアン・ガールズの物語」
295/433

その289 NTR(138話ぶり二度目)

 一年。

 子豚たちが冒険を休止していたらしいその間は、ちょっとしたキャラ育成ものを思わせるシチュエーションで、ゲームが進行していきました。


1,『攻撃力強化』

2,『防御力強化』

3,『スタミナ強化』

4,『休養(ストレス回復)』


 などの選択肢により、各子豚の強化ができるみたい。

 とはいえ、今の私にできることはありません。――赤豚さんはどうやら、仕事も修行も全部投げ出して、ビャッコ様との新婚生活をエンジョイしているようです。


ビャッコ『うふふふ。食事にする? お風呂にする? それとも……わ・た・し?』

赤豚『ぷぎぃ~ぷぎぎぃ~(でれでれ)』


 私は、そんな彼女を様々なデートスポットへと連れて行きました。


 時に、蛍の光が美しい公園に出かけたり。

 時に、お祭りの出店で食事を楽しんだり。

 時に、遠出してオーロラを観察したり。


 しかし、二人がうまくやっていられたのは、ほんの短い間に過ぎません。


ビャッコ『ねえ、あなた』

赤豚『へ?』

ビャッコ『あなたってなんでいつも、他の豚人たちに、へこへこしているの?』

赤豚『そ、それは……』

ビャッコ『あなたは優しい人よ。でも優しいだけでは頼りがいがないわ。たまにはカッコいいところを見せてよ』

赤豚『そりゃわかってるけどさあ。あいつら、逆らうと殴ってくるし』

ビャッコ『殴られるくらいが何だって言うのよ。私、情けない亭主の嫁にもらわれたって、近所で笑われているのよ』

赤豚『近所の声がなんだい。愛の力があれば……』

ビャッコ『愛の力だけで、自尊心が満たされるわけではないのよ』

赤豚『ぶ、ぶ、ぶひぃ~』


 ……なんだこの、テンプレート化したメロドラマみたいなやり取りは……。

 そして物語は、急展開を迎えました。

 一度は揺らぎかけた二人の愛。

 しかしそれも、子どもが生を受ければ、解決するだろう。

 そう思われた赤豚さんの想いは、見事に裏切られることになったのです。

 産婆さんが取り上げた二人の赤ちゃんが身にまとっていた鎧の色は、――なんと、黄色だったのでした。

 私は目を疑います。

 そして、ちらと”賭博師”さんの方を見ました。

 先ほどから何やら、向こうでかちゃかちゃとコントローラーを操作していることには気付いています。


「まあ、――当然、ダセえ根性なしよか、真の男を選ぶわな」


 疑惑は確信へと変わり。


「と、トラ子てめえええええええええええええええええええええええええええッ!」

「くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!」

「席を立てええええええええええええええええええええええええ! リアルファイトだこらあああああああああああああああああああああああああああ!」

「いやだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん! べろべろばあ!」


 気がつけばゲーム画面は、何が起こったか鮮血に染まっている二人の愛の巣が表示されていました。


赤豚『……ビャッコは私にふさわしくなかった。新しい嫁を探そう』


 そうして『STAGE2』が開始します。

 四匹の子豚の新たな冒険は、南にあるスザクさまを救出することが目的のようでした。

 豚小屋を出る際、妙になれなれしく肩を抱く黄豚さんによる、


黄豚『いやね。ボクも最初は義理を通そうとしたんだよ? 赤豚は昔からの親友だからね? でもね、向こうが「どうしても」っていうからさ。まあつまり、旦那では満足できないって、そう言うからさ。いやそれでもボクは二度、いや三度は断ったね。鋼の精神さ。いくら美人でも、浮気性の女など、こちらから願い下げだと思ったからね。でも話を聞くに、どうも赤豚にも非があるんじゃないかな、と、思えるようになったんだ。いろいろ考えたんだけど君、気遣いできないタイプだろう? 例えば、ビャッコちゃんの小さな変化に気付いてあげたかい? 定期的に褒めてあげたりしたかい? 爪が綺麗になったとか、髪型を変えたとか。言わなかっただろう? その割には、太ったとか、そういうことには敏感だったりしただろう? 彼女、意外と一輪の花にもキュンとしたりするようなところがあることに気付いていたかい? 下手な内容でも、手紙をもらうと喜ぶようなところとか。気付かなかっただろう? つまりそういうところだよ。男女の仲はどうやっても、永久保証ってわけにはいかないからね。でもまあ、いいじゃないか。また四人、仲良く狼族退治に向かおう。だが今度こそお姫様に見初められるのはボクだぞ。わっはっは』


 という、ものすごい長台詞がハイスピードで展開しています。

 ……これ絶対、ゲーム作者の実体験かなんかだろ。


「はぁぁああああああああああああああああああああ~……」


 私は奈落に落ち込むように深いため息を吐いて、コントローラーを握り直しました。

 大丈夫。

 たぶん、今のはゲーム的なイベント。

 メタ的な推理をさせてもらうのであれば、誰がビャッコさんを手に入れようと、恐らく最終的には、他の三人の誰かに寝取られることになるのでしょう。

 そうでなければ、物語がここで終わってしまいますからね。

 つまり、――まだゲームの主導権は、こちらにあるはず。


 地獄のドン底にいるような”幸福度”の赤豚さんを操作し、我々は再び”チュウオウの街”へと向かいました。

 私が新婚生活に夢中の間、他の三匹はかなりの鍛練を積んでいたらしく、動作速度から何から、全てが私よりも高いみたい。

 その有様はまるで、「幸福は人を堕落させる」とでも言わんばかりでした。


「みんなぁ~待ってよ~」

「ダメだね。――次の姫は、オレサマが喰う」


 ここで私は内心、「それも仕方ないか」と思えるようになっています。

 NTR展開が可能であるとわかった今、正攻法で全ての女を手に入れる必要はありません。

 それにたぶん、このSTAGEで私のキャラがみんなに追いつくことは難しいでしょうし……ここは”幸福度”の回復に集中するのが正解、かも。

 ただもちろん、ただでお姫様を譲る手はありません。

 私は、匿名掲示板でのレスバトルにて慣らしたタイピング速度で、藍月美言ちゃんに個別チャットを送りました。


『次のお姫様は、あなたが取って下さい』


 すると、少しの間の後、美言ちゃんが応えます。


『わかった。まかせろ』


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