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JK無双 終わる世界の救い方   作者: 蒼蟲夕也
フェイズ3「ヴィヴィアン・ガールズの物語」
290/433

その284 ポークマンズ・クエスト

 ”賭博師”さんが普段、ゲーム実況を撮影しているというそのスタジオは、――”理想のゲーム部屋”をそのまま形にしたような空間でした。

 壁際の棚には、恐らくあちこちから集めてきた各種ゲーム機が並べられており、それだけでちょっとした博物館が開けそうなラインナップ。

 もちろん別室の倉庫には、所狭しと各種ゲームソフトが並んでいます。

 四方を防音材で囲い、ばんばんに空調を効かせたスタジオ中央には、ローカルエリアネットワークで接続されたハイスペックPCが四台。

 そのそれぞれに、Xbox360の有線式コントローラーが接続されていました。


「ゲームはすでにインストールしておいた。おっぱじめようぜ」

「はい」


 私たちはそれぞれの椅子に座って、各機材の調整を行います。

 コントローラーを手に取ると、柄にもなく心臓がどきどきし始めていました。

 蘇ることがわかっているとはいえ、――まさか、自分の命をかけることになるとは。

 ……いや、不安そうな顔になってはいけない。

 藍月美言ちゃんに、かっこいいお姉さんであるところを見せなければ。


 ゲームを起動すると、


『よくここまでたどり着いたな。

 これが、“マスターダンジョン”における最後の試練となる。

 本作がロードされているということは、――君たちは恐らく四人組だということだろう。

 この課題を選んだと言うことは、君たちはある意味では幸運で、またある意味では不運と呼べるかも知れない。

 “ゲーム#1”は、私が創りだした作品の中では最も難しい課題だが、その報酬としてもらえる経験値は大きい。

 ただし、――得られる経験値には、君たち四人の間で差をつけさせてもらう。

 一位のプレイヤーには、通常得られる経験値の4倍を。二位には通常得られる半分の値を与えることとする。

 そして三位のプレイヤーには、通常の0,002倍、四位には0,001倍の経験値を。


 このゲームのテーマは、”友情と、その崩壊”。

 心してとりかかり給え。』


 という、意味深なメッセージが流れます。

 

「――まあ、この辺の説明は、今のオレサマたちには関係ないけどな」


 確かに。

 ゆったりと流れゆく”ダンジョンマスター”のメッセージをスキップすると、壮大なBGMと共に『ポークマンズ・クエスト』というゲームタイトルが表示されました。

 すでに設定済みのプレイヤー情報を読み込んで、――私、トラ子さん、ミコトちゃん、タマちゃんのキャラクターが決まります。

 キャラクターはどれも似たようなデザインで、……共通項は、三頭身にデフォルメされた子豚さんである、ということ。

 どうやらこの、四色の鎧で色分けされた彼らが『ポークマンズ・クエスト』の主人公みたい。


 それぞれ、

 赤(私)、

 黄(トラ子)

 青(美言)

 白(タマ)

 ……の、キャラが決定されると、しゃきーん! という剣を抜く効果音と共に、ゲームが始まりました。



『昔々、あるところに、それはそれは仲良しと評判の子豚たちがおりました。

 そんな子豚四匹はある日、国の王様のお触れを耳にします。


――邪悪な狼族の手の者に、我が国の美姫四人が攫われた。攫われた姫を救い出した者を姫の婿と認め、王位継承権を与えることとする。


 これを聞いた子豚たちは、我こそが、と大発憤。

 冒険の旅へ出る決意を固めるのでした。』



 そして、四色の鎧を身にまとった子豚たちの冒険がはじまります。


 ゲームは『モンスターハンター』などでよく見られる、見下ろし視点の3Dアクション系みたい。

 インディーズのゲームにしてはよくできていて、操作感も悪くなく、BGMも牧歌的な雰囲気です。

 スタート地点は子豚たちの住む小屋で、私たちが操作する四匹が集まっている状態でした。


 ”賭博師”さんの合図があって、ゲーム実況の録音・録画が始まります。


「はい、……つーわけで今日は、アキバからもらってきたシロート制作のゲームを実況していくこととするッ! 事前に告知した通り、今回は、――みんなの救世主……」


 ちらっと、彼女が視線を送ってきます。

 私は顔面を硬直させながら、


「え、えっと。どうも。”名無しのJK”です。よろしく」

「おうおう、硬いなあ! いつも通り、下ネタ全開で行こう!」

「ちょっと待って下さいよ。私、下ネタはあんまり……」

「ほらほら、うんこって言ってみろ。うんこって!」

「ちょっと、あの」

「うんこうんこー! HAHAHAHA!」


 はやくもこの人の配信のノリについていけそうにないんですけど。

 私はやむなく、


「そ、それじゃあ、……う、う、う、うん……」

「ところでこのゲーム、まず何から始めりゃいいんだ!?」

「最後まで言わせないんかいっ!!」


 ”賭博師”さん、――元からそういう才能があったのかもしれませんが、実況初心者である私をリードする形でゲームを進行していきます。

 彼女の仕切りに任せているうちに、私もだんだんリラックスし始めてきました。


 とりあえず、私たち四人はゲームの操作を確認し、……次の目標をチェックしていきます。

 どうやらこのゲーム、わかりやすい目標めいたものは存在せず、我々は今、ゲームの世界にぽんと放り出されてしまったような状態。


「とりあえずは、――オレサマがリーダー役ってことで」

「よろしくお願いします」

「じゃ、さっそく武器を選んでいこう」


 私たちの目の前にあるテーブルの上には、ずらりと四種類の武器が並べられていました。

 剣、槍、短剣、トイレが詰まったときに使うスッポンとするやつ(正式名称:ラバーカップ)。

 四種の武器の隣には、注意書きが一つ、添えられてあります。

 どうやら最初に選んだ装備は、最後まで使い続ける必要がある、とのこと。


「……なんか明らかに一つ、ハズレがありますけど」

「わからんぞ。案外、こういうのって大器晩成型の装備だったりする」

「確かに」


 たまねぎ剣士しかり、コイキングしかり。ゲームあるあるですね。


「じゃ、ここは公平にじゃんけんで決めるか」

「はい」


 そしてみんなで、じゃんけんぽん。一瞬にして負ける私。

 結果として決まったのは、


 赤(私)……トイレのスッポン。

 黄(トラ子)……鉄の剣。

 青(美言)……鉄の短剣。

 白(タマ)……鉄の槍。


 という具合。


「ん? ……剣を装備したら……なんだこれ。『あなたは子豚たちの責任者だ。君には他の四人に命令する権利がある。四人の財産は、あなたが管理するべきだろう』だってさ」

「へえ……」


 選んだ装備か何かが条件で、キャラの役割(ロール)が決まる感じなのかな?

 そして私が”賭博師”さんに続いてラバーカップを装備する、……と。

 現れたメッセージは、以下のようなものでした。


『君は他の三人にいじめられている。

 君がこの状況を脱するためには、どうにかして仲間を出し抜かなければならないだろう。

 そしてできることなら、仲間たちに凄惨な復讐を果たし、攫われた姫を独り占めにしなくてはならない。

 (注意)なおこの情報は、仲間には伝えない方が賢明である。』


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