序
どうも、お久しぶりです。
ある程度ストックが出来ましたので、第二章を投稿していこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
様々な種族がいる中で、獣人は理性よりも本能が強く。どの種族よりも身体能力に長けていると言われている。
獣人は種族として自尊心も高く相手を認めるとき、闘争によって決めることがある。そのため獣人王国の首都にはコロッセオと呼ばれる長径188メートル、高さ48.56メートル、4階造りで、約5万人の観衆を収容できる巨大闘技場がある。
獣人領内の各村や町にも小さな闘技場があり、法律として決闘制度が存在するのだ。強者こそが正しい。それが獣人王国であり、王となるキングもコロッセオで勝ち上がった者が指名される。
「皆の者よ。今年もこの時がやってきた!」
コロッセオの中心に立つのは、現在獣人王国のキングであるライガー・バインシェルその人である。
獣人が族と呼ばれず王国と呼ばれるのは、ノーマルと魔族の戦いの際、獣人は魔族に協力することで他の族たちとは別に国を持つことを許されたからだ。
「我々は強者を欲する。皆もそうだろう」
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
コロッセオ中に広がる歓声に対して、キングライガーは手を上げて応じる。
「俺自身もそうだ。我が心は強者との戦いを欲している。我を倒せるほど強い者がいるならば。我を倒し、キングになる者に従おう」
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
毎年開かれている獣人王国の大武闘大会。それは獣人王国で開かれる一番大きな祭りであり、キングを決める大切な行事なのだ。
「皆も知っていると思うが、今年は特別ゲストが来てくれている。我らが盟友であり、世界樹の守護者。魔王様だ」
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
キングの紹介により、来賓席から新魔王として招待されたオオカネ・ミツナリ・ベルハザードがコロッセオを見下ろしている。
「魔王様が来てくれたことで、もう一つ面白い報告がある。今年はエキシビションマッチとして大武闘大会で優勝した者は、魔王様と対決する権利が得られるのだ。我々は強者を求める「「「そうだ!!!」」」魔王様の強さを知りたいだろ「「「知りたい!!!」」」なら、今年の強者を決めよう」
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
キングは挨拶を終えて、魔王がいる来賓室へと戻ってきた。
「これはこれは魔王様、態々我らが獣人王国まで足をお運び頂きありがとうございます」
コロッセオの中心で話していたライガーは遠くで見ていたときは小さく見えていた。しかし、部屋に入ってきたライガーは、二メートルを超える大男でありライオンのような鬣とトラのような縞模様の顔がミックスされている。
そんなライガーが挨拶しながら来賓室へと入ってきたのだ。
「いや。こちらこそ招待頂きありがとう。正直、獣人たちには好かれていないと思っていた」
「ガハハハ、そんなことを気になされておられたのか?獣人は本能に忠実であり、自分の眼で見た者しか信じぬ。魔王様が力を見せれば皆も貴方を歓迎するだろう」
キングライガーの言葉にミツナリは黙って頷くだけにしておいた。
ふと、ここに来るまでのことを思い出す。
それは数カ月前に遡る。ミツナリが魔王ベルハザードから命を託され、目覚めてからリリスの下で修業をしていることを知った。
獣人族は、悪魔族に従う魔王を気に入らないと反抗的な態度を取るようになっていったのだ。
「最近は獣人の区域で、商売をしない者や他の区域に迷惑をかける獣人まで出ているそうです」
執務室で事務仕事をしていると、エリカからそんな報告が上がってきた。
「リリス師匠の言う通りになったということか」
「はい。お婆様の予想通り獣人は反発したようです」
俺は目覚めてからリリス師匠の下で色々なことを学んできた。この世界の情勢や歴史、人間関係など。様々なことを教えられた。もちろん戦うことや、力の使い方など、それは多岐にわたる。
その中に、獣人と悪魔族の中の悪さが含まれていた。悪魔族は魔力、戦闘能力全てが桁外れだ。
対して獣人は魔力のほとんどを肉体強化に注いでおり、悪魔族の桁外れな強さに嫉妬するようにライバル心を抱くことがある。
これは一方的な嫉妬なのかもしれない。だが、あまりにも獣人の粗暴な態度に悪魔族も我慢の限界を感じ、二つの種族は対立するようになっていった。
「どうすればいいのかな?」
互いの種族の確執は簡単に解決できないところまで来ている。魔王である俺が二つの種族に仲良くしろと言っても仲良くできるはずがない。
「魔王様、問題はそれだけではないのです。実は獣人王国で、もう一つ事件が起きているようなのです」
「事件?」
「はい。最近獣人王国で新たな宗教を立ち上げた者がいるようなのですが。その宗教に問題があるようで、どうやらその宗教は反魔王派を訴えているようなのです」
次々と起きる問題に頭を抱えつつ、小さな火種が爆発する事件が起きた。
「火事?」
「はい。獣人の区域で大きな火災が起きたそうです」
「もう大丈夫なのか?」
「いえ、獣人の区域は木造の家が多いので、かなりの被害だそうです」
「そうか、ならすぐに支援を」
俺の指示に対して、エリカさんは表情を曇らせる。
「残念ながら、ここ最近の、獣人たちは粗暴な態度で他の区域に迷惑をかけていたことで、支援に向かう種族がいないのです」
自業自得という言葉が思い浮かぶ。だが、それで済ませていい話でもない。
「とりあえず、支援してくれる種族を探してくれ。俺の要望だと言ってくれてもいい」
「わかりました。当たってみます」
今できることをしていくしかない。
最後まで読んで頂きありがとうございます。




