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VS 機械族イマリ

 全身を兵器へと変貌させたイマリは、最後に残っていた頭部すらもメタリックな外装に包み込まれる。


「おうおう。可愛い顔も、つぎはぎだらけの身体も見えなくなったな」

「魔王を倒すため最終形態に移行完了。これより魔王を殲滅するまで戦闘モードを解くことはない。任務失敗の際は自ら処理を行う」


 明らかに人として意思疎通が取れているようには見えないイマリに俺はため息を吐く。


「俺は強い奴と戦いたいとか、世界を救いたいとか。大層なことを言う人間じゃないわけよ。どちらかというと、主人公キャラであるマサキに正義の鉄槌を下してもらうなり。フルヤみたいな悪役に乗っ取られて終りっていう筋書きに流されるキャラなわけだ。そんなシナリオ今から用意してくれないもんかね。どうして、俺みたいな腰巾着がこんなことまでしなくちゃいかんのよ」


 異世界に来てロボットとか、ファンタジーのはずが、SFってか?話がメッチャクチャでしょうが。


「魔王を倒すため特別に作られし機械族成り。この時をずっと待ち続けていた」


 勝手に恋い焦がれんでほしいね。しかも、お前のいう魔王は隠居したっての。


「人違いとか思わない?」

「問答無用。貴様を殺し。悲願叶えてくれよう」


 イマリはその巨体で凄まじい動きを見せる。足に備え付けられたジェット噴射で瞬間速度を上げて、六本に増えた腕がそれぞれに違う武器を持ち、背中に抱えられている砲台からは魔法弾がうち放題。確実にオーバーキルもいいところだ。


「はぁ~。なんで俺がこんな化け物の相手をしなくちゃいかんのよ。本来なら、こんな奴の相手は主人公がするもんでしょうよ」


 六本の腕から放たれる攻撃を避けて、魔法弾を劣化版覇王滅殺波で撃ち落としていく。向こうさんの体力がどれくらいあるか知らんけど。とりあえずは持久戦になるだろうね。

 武器攻撃は漆黒の鎧さんが受け止めてくれるので、なんとか耐えられるが、変身したイマリは明らかにパワーもスピードも格段に上がっており。マサキ達の連携よりも遥かに厄介な相手になっている。


「おいおい。魔王様以外にもこんな化け物がいるのかよ。てか、こいつの場合。魔王様を殺すためだけにここまで強くなったのかよ」


 俺はこの世界の味方をするとは言ったけど。こんな化け物相手にするとは言ってないぞ。


「動きをとらえきれないだと。ならば、全砲弾射出準備。近接攻撃から遠距離攻撃に移行」


 いきなり距離を取ったイマリが六本の手を全て砲台に変えて、十砲の砲台から先ほどの主砲と同じ威力の魔弾が打ち出される。


「おいおい。あんなの避けることも防ぐこともできなないぞ。何かないか何か」


 俺はステータスを開いてマサキ達との戦闘で何か得られていないか確認する。


 スキル、絶対防御、剣術、刀剣術


 新しい三つのスキルが目に飛び込んできた。だが、剣術や刀剣術を使おうにも剣がない。だったら。


「お前にかけるぞ。絶対防御」


 シズカが作っていた透明なバリアが俺を包み込み。イマリが放った砲弾を防いだ。


「スゲーな異世界人のスキル」


【絶対防御】あらゆる攻撃を防ぐことができる。ただし、魔法無効化で破壊される。劣化版のため使用回数は一日三回まで。防げるものは魔法と物理攻撃に限る。精神攻撃や毒は防ぐことができない。


「やっぱ俺の器用貧乏もチートだわ」


 改めて自分のスキルのありがたみを感じつつ、第二波が来るかと身構える。だが、第二波は襲って来なかった。


「エネルギー半分まで減少。通常近接戦闘に移行」


 どうやらさっきの威力は充電しなくちゃできないらしい。


「今度はこっちから行かせてもらうぞ」


 肉体強化やら、とにかく強化系を全部使用して自分のパワーアップを図り襲い掛かるイマリを迎え撃つ。


「漆黒の鎧さん舐めんなよっと」


 近接戦闘に移行して六本の腕が襲い掛かって来るが、漆黒の鎧さんで全て弾き返す。さらに追撃を駆けるために連続でイマリの弱点になりえそうな関節を責め立てる。

 漆黒の鎧さんに包まれた腕で殴っても傷一つつかないのは流石だが、確実にイマリの動きが鈍くなってきている。


「どうしたどうした。もう終わりか?」

「魔王は予測以上。かくなるうえは最終手段に移行する」


 完全にサンドバッグとなったイマリは動きを止めて充電を図っているようだ。


「させるかよ」


 俺は最大出力で劣化版覇王滅殺波を近距離でイマリへ放出する。


「はぁはぁ、どうだ」


 さすがに全力で覇王滅殺波を放てば、魔力も体力も持っていかれる。息が荒くなり、爆発で生じた煙が収まる先を見つめる。


 ジジ、ジジ、ジジ。電気が弾けるような音がなり、煙が晴れた先には身体左半分を失ったイマリから火花が飛んでいた。


「損傷レベル六十パーセント。通常戦闘不能」

「これで、もう動けないだろう」

「緊急処理に移行」


 イマリが何かを呟いた瞬間眩い光が俺を包み込んだ。


「マテリアルバースト」


 遠くの方でイマリの声が聞こえてきて、俺は意識を失った。

 

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