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いつか夢見た自分Ⅲ



 そんなこんなで画面に現れていた砂時計は完全に砂が落ち切り、五分が経っていたことを知らせた。

 それと同時に音も鳴り、現状のメーターの位置で増加が止む。

 結果的には一つもコメントが寄せられていないどころか、突出した二つ以外もかなりのコメント数があったことがメーターを見ればわかった。

 一番少ないものでも千コメントくらい寄せられていて、かなりびっくりしている。

 この五分間は計測したコメントは無差別だったためよりこういう結果を生み出しやすかったのかもしれない。


 しかし今度の五分間で、他のことに紛らわされず、しっかり特技を並べられるかが問題になる。

 もし一つでもみんなが思い違いをしていたなら、全問正解にはなり得ないのだから。


 そして男は機嫌を元に戻ったような状態へと直し、回答パートの五分間が始まる。

 当の本人たる男はなんとカメラのある方向に背を向けて寝そべってしまうほどにふてくされてたようにしていた。

 実際にはただの水を飲んでいるだけであっても、その終わりに大きなため息を意味ありげにして見せればそれはもう飲酒しているおっさんに見えなくもないだろう。


「かつて初配信でここまで怠惰な人がいただろうか」


「いや俺らも悪いけどさ?」

 

「ごめんって」


「元気出そうぜ?」


『そうかい?そうかそうか、君らがそこまでいうんだったら仕方あるまい。仕方なく、俺が出ようじゃないか。そうだよな?だってこれ、俺の特技当てるゲームしてるんだもんな?』


「あ、やっぱいいです」


「御眠りくださいませ」


「どうかご健勝で」


『あれ?なんか、反応が……。あれ?もしかして俺はぶられてる?』


 するとごく僅かからコメントが流れてくるというおよそ五分前と同じような現象となり、男自身そのコメントをくれた人の名前を覚えてしまうほどになっていた。

 どうやら男を励ましている人は同じ人だったらしい。


 そんなこんなで回答を終えた視聴者たちは、そんな男との掛け合いに興じることで男もそれなりの配信者としての矜持が保たれていた

 その少ない時間でありながらも、男が視聴者との距離を近く保っているのを視聴者自身も気づいていたため、すでに七々扇紫音としてのキャラができつつあった。


 そしてついに回答パートの五分間が終了となり、答え合わせへと移行する。


『じゃあ五分経ったところで、結果発表といこうか!』


「よし来い!」

 

「あんま見てなかったから無難に歌にしたけど大丈夫だったかな?」


「絵、歌、ピアノ、水泳、サッカー、演技、弓道、空手で決まり」


「あれ、もしかして茶道なかった?」


「やべ、なんかテキトーにコメントした気がする……」


「罰ゲーム楽しみ!」


『ではご開帳!』


 男は今度は腕を振り下ろすようにして見せると、その背後にスコアボードのようなものが出現し、コメント数の多い単語から順番に並べられているのがわかった。

 一番上には絵が、その次点に歌が来ているのは周知の事実であったが、果たして八つ全てが当たっているのかどうか。


「どうだ!?」


「来ただろこれ!」


「弓道八番目か……人気ないな」


「てか、今更ながら八つも特技あるって多趣味で草」


『そして、俺の特技はこの八つ!』


 今度は何度目かわからない横に振る動作をして、半透明の板を同時に出現させ、さっきまで空白だった欄が埋められた状態になって出てくる。


「おぉ合ってる!」


「よし!」


「キタァーー」


「罰ゲーム!!!」


『いやぁ、ほんとに当てられるとは思ってなかったなぁ。特に後半の団結力凄くね?なんかみんなで徒党を組んで、何々をコメントしろって言ってなかった?』


「これがナイトリスナーの団結力」


「やればできるナイトリスの底力よ!」


「リスナー間の団結力が高まるって……w」


「なんか草」


「一種のリスナー参加型じゃん笑」


『特に弓道とか、演技あたりは似たような単語もいっぱい合ったから迷ったかと思ったんだけどなぁ』


「それは有識者ニキがずっと言ってたからな」


「絵、歌、ピアノ、水泳、サッカー、演技、弓道、空手で合ってたな」


「あっ、あの八つコメントしてたニキだ」


「なんか序盤からすでに考察できてたからすげぇな」


「初見です!さっきまで何か変だと思ってたらゲームしてたんですね!あと声かっこいい!」


『なんかみんな褒めすぎじゃない?俺は?俺も褒めていいんだよ?』


「お話できて偉い!」


「何か可愛く思えてきた」


「生きててすごい!」


『ざ、雑だなぁ……。ま、いっか……。というわけで次のコーナーへ行こうか!!』


「罰ゲームは?」


「罰ゲームを忘れたとは言わせないぜ」


「あれ、なんか逃げてね?」


『ちっ、ばれたか』


「小声で言ってるからってバレねぇわけじゃねぇからな!」


「音拾ってるぞー」


「聞こえてますが?」


「ん?やるか?」


『あーわかったわかった、やりますよー!やればいいんでしょ!ま、どこかでこうなるのは目に見えてたけど、お待ちかねの罰ゲームといこうじゃないかぁ……!』


「よし来た」


「この特技でやれることと言ったら、絵、歌、演技とかか?」


「早速歌か?」


「いや恥ずかしいセリフ言ってもらおーぜ!」


「何か声が草」


『ま、みんなもだいたい予想がついてると思うけど、サッカーとか弓道とかできないから、後々やりたいとは思ってるけど、どうせだから演技をしようかな?なんか歌だと罰ゲームにならなそうだしね。ちなみに絵は時間的にNG』


「やっぱり恥ずかしいセリフかっ?」


「ル○ズコピペ朗読!」


「いやここはあえて女の子のセリフを……」


「無難にアニメキャラとかでも面白そう」


「お手並み拝見といこうか」


「てかどんなことできるん?」


『多分みんなも俺がどのくらいのレベルの特技かわかんないと思うから、どうせだし最初に物真似でもしようか?その上でみんなが俺に罰ゲームとしてやってほしいことを出してみるってどう?』


「いいじゃん!」


「つまり二度美味しい、と?」


「物真似は罰ゲームにはならんのか……!」


「こいつ、肝っ玉がデケェ」


「やっぱり新人じゃねぇな?」


『んー、みんなが知ってるキャラクターってどんなのなんだ?』


「ヒロクラのオールマイクとか?」


「八雲ライトとかは?」


「やっぱマズオさんっしょ」


「リヴァル兵長!」


「おそ竹さんでいこーぜ」


『見事にバラバラやん。……じゃあ俺の独断で決めさせていただこう!うーん、やっぱリヴァル兵長ってかっこいいもんなぁ。リヴァルで行こう!ちょっと調べてきていい?』


「おぉリヴァル!!」


「てか、今決めたってことはレパートリーもしかしてめっちゃ多い?」


「了解!」


「リヴァル兵長かっこいいもんなぁ〜〜」



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