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今私たちは、キャロルの部屋でお茶をいただいている。
非常に気まずい空気が漂っているのが、手に取るように分かって居心地が悪い。
フェルナンド様に睨みつけられているレオナルド様は何処吹く風だし、キャロルはごめんお兄様としきりに呟いている。
それと、妹よ、そんなに哀れみの目で姉を見詰めてはいけない。
「ね、ねぇ、ローザリア。今晩我が家で夕食を食べていかない?うん、それがいいわ」
キャロルがとても良い事を思いついたというように、口にした。
フェルナンド様も、それに乗っかるように言葉を述べる。
「そうだ、ゆっくりしていくといいよ、ローザリア」
私の袖をフローラが弱く引っ張った。
妹の顔には、どうするのと書かれている。
今夜、私たち2人には既に予定があるのだ。
「ごめんなさい、夜はアレクの家に行く約束をしているの」
私の言葉にキャロルが驚く。
「アレクって、室長のこと?」
「そうだけど?」
「室長って、一人暮らしじゃなかったかしら」
「そうだけど??」
なにか驚く要素があっただろうか。
フェルナンド様があわてて口を挟む。
「今日、俺、ちょうど夜勤で街の巡回役だから、そのお宅から帰るときに俺が送っていくよ」
「いえ、大丈夫です」
「私たち、アレク叔父様の家に泊まるんです。ね、お姉様」
「ちょうど明日も休みですし、一晩泊まって帰る予定なんです」
私とフローラが揃って首を傾げると、ダーランド兄弟はよく似た表情で驚いていた。
レオナルド様は、ニヤリと笑って手前の焼き菓子を取った。
「アレクシオっつったら、能面みたいに表情の少ないヤツだが、顔も良いし仕事も出来ると有って、王宮の侍女の中じゃ断トツで人気者なヤツだよな」
「そう、みたいですね」
口は悪いし、手も出るし(特に私に)、何を考えているか分からないようなアレクだが、女性受けは良いみたいだ。
話を聞く限りでは、あの表情で詰られたい! とか、お仕置きされたい! という偏った意見が半数を占めている。
フェルナンド様の顔が青ざめて行くが、大丈夫だろうか。
「ローザちゃんはアイツとどんな関係なの?」
レオナルド様が焼き菓子を齧りながら聞いてきた。
私が答えようとするより先に、フローラが身を乗り出して興奮気味に答えた。
「アレクシオ叔父様は、ローザリアお姉様の『婚約者』なんです!」
「あの正確には、婚約者『だった』んですが」
「そうなの、お姉様?」
そう、アレクシオは私の婚約者だ。いや、婚約者『だった』。
フローラにはまだ、婚約の話がなくなったことを伝えてなかったことを思い出す。
「なんですって!」
「なんだって!」
「ほう」
その後、詳しいことを聞かせろと詰め寄るフェルナンド様とキャロルを尻目に、レオナルド様が「俺、帰るから、一緒に帰ろうぜ」と強引に、私は馬車に連れ込まれた。
俺も乗っていく! と乗り込もうとしたフェルナンド様が、レオナルド様に蹴りだされ、私は逃げるようにダーランド家を去っていった。
2014/10/15 誤字修正
ローザリア劇場
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◆ダーランド式サッカー
フェル:(キャロル、パスを出すんだ、俺が決める!)
キャロ:「今日夕飯食べていってよ」
フェル:「そうしなよ、ローザリア」
ローザ:「アレクの家に行くんで、無理です」
兄妹 :(失敗した!)
レオナ:「ローザちゃん、アイツの何?」
兄妹 :(しまった!叔父にボールが!)
フロー:「婚約者だよ?」
兄妹 :(終わった……)
◎今日の反省点:叔父さんはレギュラーに入れちゃいけません




