5-6. 殲滅
※7/30
【加法術】を【加法術Ⅲ】に修正
お姉さんのSkill欄のミスを修正
さて、お姉さんのINTは……
===Status========
クラーサ・マーク 27歳 女 Lv.43
職:火系統魔術師 状態:普通
HP 94/94
MP 146/156
ATK 20
DEF 39
INT 73
MND 52
===Skill========
【火系統魔法】【MP消費軽減Ⅴ】
===Equipment==========
紅火のローブ
魔術師の杖
============
オッケー。お姉さん改めクラーサさんのINTは73と。
しかし、流石ベテラン魔術師さんだ。ステータスが高い。
あぁ、ちなみに『INT欄』と『名前』以外の欄は見てないからな。
頭の中に『73+30』を浮かべ、呟く。
「【加法術Ⅲ】・INT30」
そして、ステータスプレートのINT欄に走るノイズ。
「え、何? INTが消えた!?」
「あぁ、いつもの事ですよー」
そして数秒後。
「え……嘘、INTが103に!?」
「はい、これが僕のバフ魔法です。20分間だけなんで、攻撃ははお早めに」
「す、凄い上がり幅ね。普通のステータス強化魔法はせいぜい10なのに……。あ、そうそう。普通のステータス強化魔法ならステータスプレートの表示は必要ないんだけど、わざわざ表示するのって何か関係あるのかしら?」
それこそがキモですぜ。
僕のはステータス強化ってのよりステータス加算だからな。
計算式が立てられないのだ。
「そうですね」
「そう……ごめんなさい、こんなに話を聞いちゃって野暮だったわね。じゃあ、ステータス強化のお返しに私からもトッテオキの魔法をお見せするわ!」
おぉ! それはとても気になる。
なんたってクラーサさんはLv.43のベテラン魔術師なのだ。どんな凄い魔法を使うのだろうか。
…………あ、今の発言ナシで。
飽くまで僕はお姉さんの『名前』と『INT欄』しか見ていないぞ!
「魔力を馬鹿みたいに喰うし、そもそもコレを使う程の魔物の群れが居ないから普段は使わないんだけど……丁度良い機会ね! 本気で行くわよぉ!」
「「おぉー!」」
コースと2人で歓声をあげる。
というか、この辺に居る魔術師達も手を止めて注目しているようだ。
「ふぅ…………」
目を閉じて深呼吸を一回するクラーサさん。
そして————
「【溶岩領域Ⅵ】!」
魔法名を唱えた。
それと同時、赤熱した溶岩が群勢の中央から勢い良く溢れ出す。
ウッドディアーが甲高い鳴き声を上げつつ距離を取ろうとするが、それを遥かに上回るスピードで流れる溶岩。
円形に広がっていく溶岩の池に次々と飲み込まれるウッドディアー。
やがて、甲高い悲鳴は断末魔の叫びに置き換えられ始めた。
外壁の上まで結構距離があるのにも関わらず、熱線がここまで届く。
溶岩の光に照らされ、顔が熱い。
そして、ほんの数秒の間に溶岩は半径100メートル程の円まで広がり、大きな溶岩湖が出来た。
その内部では、逃げる間も無く溶岩に呑まれた大量のウッドディアーが水蒸気を上げて身体を溶かされている。
「「「「「おぉぉ…………」」」」」
余りにも強い魔法。
魔術師達の口から溢れるのは、悲鳴でも歓声でもない。
次元を超えたレベルの魔法に対する驚嘆。
チラッと横目でクラーサさんを見るが、なんだかクラーサさん自身も何かに驚いているようだ。
「報告! 今、【探知魔法】により突然敵の6000程の死亡を確認! な、何ですか今のは!?」
「あぁ、あれは多分クラーサさんのガチ魔法だな。ウッドディアーは相性的に火系統魔法に対して弱いが、まさかあんなに一瞬で……」
その驚嘆の中、遠くから【探知魔法】使いとモードさんの会話が聞こえる。
一発の魔法で敵の半数以上を消し去ってしまった。
3体倒して喜んでいる僕らとは次元が違う。
そう思いつつ、ウッドディアーを消化している溶岩湖を眺めていると。
バタンッ
突然、僕の横で膝をつくクラーサさん。
肩で呼吸をし、俯いている。
「く、クラーサさん!? 大丈夫ですか!?」
「どうしたのー!?」
「ハァ、ハァ、ハァ…………だ、大丈夫よ」
クラーサさんが手を上げてそう言う。
「この感覚も久し振りね。この魔法を使うと、いつも魔力枯渇気味でこうなっちゃうのよぉー」
まぁ、確かにあのレベルの魔法をぶっ放せば相当の魔力を使うだろうな。
しかし、元からそれだけの魔力を身体に溜めているのだ。流石ベテラン魔術師。
「でも、それにしてもスゴイわね、貴方のステータス強化。お陰で魔法の効果範囲がいつもの比にならないくらい広がったわ」
「あ、ありがとうございます!」
やっぱり褒められると嬉しい。
でも30はちょっと加算し過ぎだったかな……?
まぁ、そんな事はないだろう。
すると、僕らの隣に立つツルッパゲなオッサンが皆に向かって叫んだ。
「よし、この姉さんが倒れるまで頑張ったんだ! 残りはだいぶ減っちまったが、俺たちもやるぞー!」
「「「「「オォー!」」」」」
そして、外壁の上から残ったウッドディアーに向かって再び魔法が飛び始めた。
「よし、俺らももう少し行くぞ、コース!」
「はーい先生!」
「報告! 【探知魔法】によると、現在の敵は残り1000!」
「ありがとう。だいぶ敵もマバラになってきたし、魔法部隊の効率も落ちて来たな」
そしてモードさんは全体に指令を出し始めた。
「よし、戦士部隊出撃用意! 魔法部隊によって敵は残り1000程まで減った! ここからは戦士の皆の出番だ! 最後の一頭まで残さず倒してくれ!」
「「「「「オォー!!!」」」」」
「門番、開門用意! 魔法部隊、発動やめっ!」
そして僕とコースの仕事は終わった。
残りのウッドディアーは1000程だ。
「……ん?」
今、門の周辺を見回していたが、視界のどこかに何か怪しいモノを捉えた気がしたんだけど……
骸骨の仮面に黒のマントみたいなのを羽織り、ディアーに騎乗した……
あ、あれ? 見当たらないな。
どこ行ったん————
「ハァー、疲れたー……」
そう言ってへたり込むコース。
うん、さっきのヤツはきっと何かの見間違いだ。
そういう事にしておこう。
「お疲れ様、コース」
さて、ここまで来れば僕らの勝ちは揺るぎないだろう。
しかしまだ油断は禁物。
シンとダンが今から出撃するのだ。
2人にステータス加算をしておこう。
さて……
外壁の上から戦士300人の中に居る2人を探すのって結構ハードだよな……
「お、ダン発見!」
大きな盾はやっぱり目立つし、そもそも盾使いはあまり多くないからな。見つけやすい。
「シンも居た」
って思ったら、その隣にシン発見。
2人揃ってて良かった。割とすぐ見つかったな。
さて、じゃあ2人に魔法を掛けてやろう。
「【解析】、【加法術Ⅲ】・ATK10、DEF10!」
MPポーションをゴクゴク。
「【解析】、【加法術Ⅲ】・ATK10、DEF10!」
僕の手元にシンとダンのステータスプレートを出し、ステータスを加算する。
スキルを使ったと同時、何かを感じ取ったのかキョロキョロするシン。
その後、遅れて何かを感じ取ったダン。
そしてシンとダンが僕の姿を見つけると、僕に向かって手を振った。シンはめっちゃペコペコしてる。
『先生、ありがとうございます!』
『サンキュー、先生』
とかでも言ってるんだろうな。
まぁ良いから、君達は頑張って来い!
怪我すんなよ。
そう思いつつ、僕も手を振り返していると、モードさんの指令が飛んだ。
「門番、開門! 戦士部隊、出撃! 無理をせず、確実に各個撃破!」
「「「「「オオォォォーーー!!!」」」」」
シンとダンの戦闘が始まった。




