第077話・新しい冒険の始まり
第5章開始です。
三日に一回ぐらいでの更新が続けられるようにがんばります。
初めましての皆さん初めまして。
僕の名前はナナシと言います。
好きなものは可愛い女の子の生足です。
見てるだけでワクワクしてきますし触らせてもらえたらドキドキしますし舐めさせてもらえたらサイコーにハッピーになれるからです。
このたび僕は、優しくて美しくて可憐でお足の美味しい女神様のはからいにより異世界転生というものを果たし、新しい世界に降り立ってほのぼのと暮らしてきました。
その中で、死ぬほど可愛くて素敵なお嬢様と出会って旅をしたり、行く先々で出会った方々と仲間になったりしたのですが、なんか急に出てきたダンジョンのボスを倒したところ、最後の執念で知らない土地にワープさせられてしまいました。
急に僕がいなくなってお嬢様が心配していてもいけませんので、僕はお嬢様たちの元に帰ろうと思います。
ここがどこだか分かりませんが、なぁに、別の星に来たわけではないでしょうから、頑張ればまたお嬢様たちにお会いできるでしょう。
ということで女神様。
この先の僕の旅路も、しっかりと見守っていてくださいませ。
女神様に見ていただけていれば、僕はどんな困難でも立ち向かえます。
それと、またお嬢様たちと合流できたら、等身大女神様像を作成いたしますので。
ぜひともよろしくお願いします。
◇◇◇
さてさて。
山を飛び、谷を越え、……ということもなく。
ずっと平原。たまに森や雑木林。川や丘がちらほら。
そんな景色を見ながら飛び続けること十日と少し。
途中でいくつかの村と町を経由し、時折人里付近で暴れてる獣たちを狩ったり、狼藉を働く山賊たちを捕まえたり。
町の人たちからお礼のお金をもらってしまったり、道案内をしてもらったりしながらふよふよと大移動を続けていたところ。
大きな大きな街が見えてきました。
あれがどうやら、手前の町を出るときに門番をしていた兵士さんから教えてもらった、辺境伯様とやらの住む街なのでしょう。
このあたり一帯は、辺境伯様の治める土地とのことですし、辺境伯様というのは、この大陸の三分の一ぐらいを支配している巨大帝国(ニューホライズン帝国というらしいですね。教科書みたいな名前の国です)の大貴族様なのだそうです。
そんな大貴族様の住む街に近づいた僕は、いつものように人目がないことを確認しながらすいーっと降下し、道端に降り立って歩き出します。
お嬢様に、以前言われたんですよ。
僕のカベコプターは知らない人が見たら驚くから人目の多いところでは降りて歩きなさい、って。
地面に降り立って駆け足しながら街を囲む大きな門に近づき、門の前で並んでいる人たちの列の最後尾に僕も並びます。
門前には、旅人さんらしき人や商人さんらしき人たち、なんか武装している粗野な見た目の人たちなどがたくさんいて、順番に門番さんにお金を払ったり許可証みたいなものを見せたりしながら門の中に入っていきます。
というかあの武装している人たちは、ひょっとして冒険者って呼ばれている人たちなんでしょうか。
この国では軍の兵士さんとか以外にも、獣退治したり護衛戦闘要員だったり未開拓地探索したりする何でも屋みたいな人たちがいて、まとめて冒険者と呼ばれているみたいです。
で、各地の冒険者たちは冒険者ギルドとかいう窓口組織に所属していて、強くて有名な冒険者さんなら、低位の貴族さんより強い権力も持っているのだとか。
いわゆる成り上がり系のビッグドリームも狙える、夢のある職業ということですね。マイチューバー(My tubeで動画配信している人たちのことです。ビカキンさんが有名ですね)とかそのあたりと同じ匂いがします。
たしかに、冒険者ってなんだかカッコ良い響きですよね。
アウトロー味があるというか、スペシャリスト感があるというか。
僕も世界中の美味しそうなお足を求めて常に冒険しながら生きているといえば、冒険者と名乗ってもあながち間違いではない……?
いや、冒険者ギルドに登録してないと冒険者にはなれないらしいんですけど、逆に言えば登録さえすれば誰でもなれる職業らしいので。
場合によっては、冒険者登録するのもやぶさかではないのですよね。
とかなんとか考えていると。
やがて僕の番になったので、門番さんの前に立ちます。
「おや、お嬢ちゃん一人か? 連れはいないのか?」
門番のおじさんが、怪訝そうな表情をしました。
「はい、ちょっと人探しをしていまして。ご心配なさらずとも、僕はそれなりに強いので一人旅でも全く問題はないのです」
僕はニッコリ笑って答えると、ポケットから結界布製のお財布を取り出します。
お財布の中にジャラジャラ入っている金貨が見えたのか、おじさんは驚いたような表情を浮かべました。
ふふふ、今の僕はお金持ちなんですよ。
通りすがりで人助けをしていたらお礼のお金をいただいたりしたので。
「この町に入るにはいくら支払えばよろしいですか?」
そうしておじさんに言われた額の銀貨を支払うと門を通してくれました。
門の中に入るとすぐに大きな通りが伸びていて、僕は町の中心に向かっててくてく歩いてみます。
そして、街のお役所的な建物を見つけたのでそこに入り、中にいた職員のお姉さんに訊ねてみます。
「すいません、この街で一番物知りな方のお家を知りたいのですが」
職員のお姉さんは、意味がよく分からなかったのか首を傾げました。
僕はさらに事情を説明します。
「実は僕、人を探していまして。その人の生まれ故郷の国名だけは知っているので、その国がどこにあるのか知っている方を探しているのです」
「なるほど。ちなみにその国の名前は?」
「グロリアス王国と言います。他にも、ペルセウス共和国とかワーフー諸島連合国とかの名前もあるのですが、どうでしょうか?」
職員さんは「うーん」と難しい顔をしました。
「いやぁ、私は聞いたことがないです」
「そうですかぁ」
どうやらこの人も知らないみたいです。
今まで立ち寄った村や町でもいろんな方々に聞いてみたのですが、皆さん知らないと仰るのですよね。
グロリアス王国とかがこの国から見てどちらの方角にあるのかだけでも分かれば、そちらに向かって真っ直ぐ飛んでいくのですが。
「それでは、グロリアス王国を知っていそうな物知りな方はどこかにいませんか?」
「うぅーん……。物知り、というなら、最上高等教育学校の教授とかですけど」
なるほど。
学校の先生ですか。
「その学校はどちらにありますか?」
「帝都にありますよ。ただ、いきなり行っても門前払いされると思いますが」
それなら、門前払いされないようにするためには、どうすればいいのですか?
「そうですねぇ……、立場のある方からの紹介状をもらうとか、そういうのが必要かと」
なるほど。分かりました。
「つまり、この街で一番立場のある辺境伯様の紹介状を持って帝都の最高学校に行けばよいと。分かりました。ありがとうございます」
「え」
僕は職員のお姉さんにペコリと頭を下げると、役所の受付を後にしました。
大通りを、この街で一番大きなお屋敷に向かって歩き出します。
「……はっ!? ちょっと待って君! まさかとは思うけど今から辺境伯様のお屋敷に行くつもり!!?」
なぜか、大きな声で叫んだ職員のお姉さんも僕についてきました。はて?




