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短めの小話・4


 いや、ちゃんちゃんとか言ってる場合じゃないですね。


 ほんとにここ、どこだろう……?


 僕はぐるりと見回してみますが、まったく見たことのない景色が広がっています。


 少なくとも、極魔の大森林からペルセウス共和国までの道のりで通った草原とは生えている植物の種類が全然違いますし、遠くのほうに見える大きな山脈とかも、今まで見たことがありません。


 ううーん……?

 ここはどこの草原なんでしょう?


『ぴろりろりん! スキル習得が完了しました。異界電脳接続術が使用可能になりました。魔力操作を再開することができます』


 あ、スキルをゲットできました。

 よし、試しに使ってみましょう。


 ええっと、使い方は脳ミソに刻まれてるはずだから……。


 頭の中で思い浮かべると、僕の脳裏にグルグルヤッホーの検索フォームが浮かんできました。


 試しにそこに「Cookin' good」という自家製レシピ投稿サイト(略してクッグです)の名前を入力し、検索ボタンを押してみます。


 するとどうでしょう。

 検索ページにずらりとクッグのレシピページが表示され、そのうちの一つをタップするとちゃんとレシピが表示されました。


 なるほどなるほど。

 僕の頭がパソコンのようなものとして扱われて、僕の脳内でネットが見れるということなんですね。


 他にもお買い物サイト「Jungle」や動画投稿サイト「My Tube」、イラスト投稿サイトの「pixel」や小説投稿サイト「Bun Go」等々、どのネットページでも遅延なしでサクサク閲覧することができます。


 さらに色々試してみると、僕が見ているネットページを結界壁面に表示して他の人でも閲覧可能な状態にすることもできました。


 結界製タブレットを数台用意して別々の動画を再生してみても問題なく観ることができますし、それぞれで検索フォームを使用しても大丈夫です。


 ううーん、これはすごい。

 この世界でネットサーフィンができる日が来るなんて。


 僕はしばらくの間、電脳の海を彷徨って情報収集に勤しみました。


 そしてふと、自分が見知らぬ土地に吹っ飛ばされてきていることを思い出しました。


「おっと、いけないいけない。こんなところで無駄な時間を使っていたらお嬢様に怒られてしまいますね」


 僕は、左手に巻いた結界電話の画面をタッチし、お嬢様の結界電話を呼び出してみます。


「うーん。やっぱり圏外ですね」


 遠すぎるのか、繋がりません。

 足の下のほうに意識を向けてみますが、この近くには龍脈は通っていないようです。


「仕方ありません。まずはお嬢様と連絡が取れるように、龍脈を探しましょうか」


 僕はカベコプターを作り出して中空に浮かぶと、どちらに行こうか考えます。


「少なくとも見える範囲に人影や人里はなし。道もなさそうですが……。お、あれは?」


 僕の視線の遥か先で、何か生き物のようなものがもぞもぞと動いています。


 ふむ、あれがなんだかよく分かりませんが。


「とりあえず、行ってみましょうか」


 僕はカベコプターをすいーっと動かし、もぞもぞ動くものがなんなのかを確認しに行くことにしました。


 こうして僕は、お嬢様の元に帰るための大移動を始めたのでした。


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