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第038話・さらば、薄暗い海!


 この海域に来てナルさんと出会って、そろそろ一か月がたちます。


 その間に、色々なことがありました。


 貝殻を開けまくって丼に山盛りになるぐらいの真珠(末端価格で金貨百万枚分ぐらいの価値になるらしいですが、全部売ると絶対値崩れするのでとりあえずはジェニカさんの格納空間で保管することにしました)を集めたり、


 貝殻自体も美しい発色をしているので貝殻を削って粉にしたもの(髪の毛とかに振りかけるとキラキラして綺麗になります)を作ってみたり、


 燕晴貝だけでなく、近場にあったサンゴもいくつか獲って(これも首飾りの装飾の一部に使います)みたり、


 バカデカいサメだとかウツボだとかカニだとかを狩って(それぞれ皆で美味しくいただきました)みたり、


 その皮とか骨とかを使って武器(暴魚双牙剣とか、海侠主三節棍とか、そんなやつです)を作ってみたり、


 みんなでイカ焼きを食べて(初めて食べるナルさんはめちゃくちゃ驚いていました。というかナルさん、この海域で一度戦ったことがあるみたいですね)みたり、


 女神様の像を祀る神殿(今回は結界で閉じず、かわりに島の岩肌を深くまで切り取って洞窟を作り、その奥に新しく作った女神様像を安置しました)を作ってみたり、


 お嬢様とジェニカさんとナルさんが、一緒に礼拝をしてくれたり、


 獲りまくった魚を捌きまくって、いつでも美味しい魚を食べられるようにしたり、


 美味しそうな貝とか海藻とかも手当たり次第集めてみたり、


 他にもまぁ、いろいろです。


 ジェニカさんはすっかり島での生活に慣れ、今日も僕の目の届くところで結界製ライフジャケットを着て釣りをしていますし、


 お嬢様とナルさんはお互いに色々な武器を使いながら手合わせをして、毎日鍛錬をしています。


 これがまぁ、激しいのなんの。

 お嬢様もかなりお強いと思うのですが、ナルさんはさらにその上をいく強さですね。


 それに、ナルさんの先天スキルも見た目がド派手ですし。


 「超電磁誘導術」というらしいですが、自身の魔力を電気や磁気に変換して使えるというスキルで、拳から雷電を迸らせて殴ったりできます。


 そしてお嬢様はお嬢様で、その電撃を結界泡で無効化したり(結界内を絶縁空間にしているみたいです)、足の下に結界泡を敷き詰めて滑るように移動したりしていました。


 というか結界泡って、そんな使い方もできたんですね。

 僕はお嬢様たちの布の服を洗うぐらいにしか使っていませんでした。


 まだまだ僕も結界術について学ぶことがありますね。


 そんな武闘派の二人がお互い切磋琢磨してさらに技量を高め合っていますので、それはもう激しいです。


 そんな二人の鍛錬でひとつ問題があるとすれば。


 ナルさん、ちゃんとズボンを履いて欲しいです。


 いつもサラシとふんどし姿でいようとするので、僕が土下座してお願いして、ナルさんの意向に沿った結界服を作り(上は丈の短い学生服みたいな形、下は土木作業員の方たちが履くボンタンみたいな形、靴の代わりに足袋。全部合わせると、ふた昔前のヤンキーみたいな姿です)、それを着てもらうようにしました。


 そうしないと、ナルさんを見るたびに生足の衝撃で鼻血が出て失血死しちゃいそうでしたので。


 けど、ふと見るといつのまにか足袋を脱いでお足を出している時があるので油断なりません。

 素手素足のほうが戦いやすい(先天スキルの電撃も使いやすい)のは分かりますけど……。



 あ、そうそう。

 僕は、と言いますと。


 ようやく、納得のいく出来の首飾りを作ることができました。


 粒揃いの燕晴貝の真珠を磨き上げて穴を開け、巨大ウツボの心筋からなめして作った紐に通し、真珠の間にサンゴや貝殻の美しい部分を切り分けたものを挟み込みました。


 その甲斐あってか、お嬢様からは「実家の至宝よりすごい物になっている」とお褒めの言葉をいただきました。いぇい。


 そしてそのご褒美として、また一晩中お足を舐めさせていただきました。


 はぁ……、お嬢様、好き。


 それと、ジェニカさんにも残りの真珠の中の一部を使ってイヤリングを作りましたし、ナルさんには、ナルさんが集めた真珠を中心に、僕が獲った真珠を散りばめて作った髪留め紐を渡しました。


 二人とも喜んでくれたようで、普段から身につけてくれています。


 お嬢様は、流石に至宝クラスの品を普段遣いはできないとのことで、笏杖とともに大切に保管している(なので、後で別に作った髪飾りも渡しています。こちらはいつも前髪を留めるのに使っていただいています)とのことです。


 とにもかくにも、これでグロリアス王国の五つの至宝のうち、二つが出来上がったことになります。


 残る至宝はあと三つ。

 次は、どこでどんな物を手に入れて、どの至宝を作ることになるのでしょうか。


 今からワクワクしてきます。


「次は、少し至宝作りから離れましょう」


 と、お嬢様は言いました。

 ほほう、なるほど?


「ナルさんが、ご実家のほうに顔を出して、ケジメをつけてくると言っているの。だからここからさらに東に向かって、ワーフー諸島連合国にあるナルさんの生家に、皆で向かうことにします」


 そうなんですね。


 分かりました、それではまた進路を東に取って、カベコプターで進みましょう。




「おい……! おい……!! これはちょっと高すぎないか……!? 落ちたらひとたまりもないぞ……!! おいってば……!! 聞いてるのか、ナナシ……!!」


 と、初めてカベコプターに乗ったナルさんが未だかつてないぐらいビビり散らして(たぶんなんですけど、高いところが苦手なんじゃないでしょうか)涙目で喚いているのをBGMにして、僕たちは暗妖の大礁海から脱出したのでした。


 次はいざ、ワーフー諸島連合国へ!!

 れっつらごー!!


 第二章はこれにて終了です。

 ここまでお読みいただき、まことにありがとうございました。


 ご意見ご感想、評価やブクマ、大変嬉しく思います。

 

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