表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/84

73 キャンプの常識非常識

とある日のアニメ鑑賞・家族版

「ゆるいですね。色々と」

「まあ、そんな感じのアニメだよね」

「そんな感じのタイトルだしね」


 とある日、山村家は親子みんなで、録画していたアニメ番組を鑑賞していた。アウトドア好きな女子高校生が、冬から春先にかけて、ゆるくキャンプ活動とかをするアニメだ。どうやら季節に合わせて何シーズン目かの放送をやっているみたいだった。聞いた話によると、世間一般でもアニメの影響でアウトドア人気が再燃、みたいな事になっているらしい。

 ちなみに我が家では父さんがアウトドア好きなところがあるのでアニメの影響とか関係無く、ときどき日帰りキャンプみたいな事をしたりしている。そのため完全な素人目線ではなく、ある程度の知識がある『経験者目線』という感じでのアニメ鑑賞という感じになっていた。


「実に、ゆるいですね」

「だよね。あるあるネタもあるけど」

「本当にね」


 ちなみに我が家でいちばんアウトドア活動に詳しいというか、コダワリを持っているのは、父さんと雪奈の二人だ。雪奈にとっては批評家目線でのアニメ鑑賞という感じになっているのだろう。


「しかしまあ、フィクションですよねぇ。基本設定がファンタジーっぽいというか。現地に行った事は無いので断言できませんけど」

「そうなの?? 」


 そろそろ雪奈の批評家目線な発言が来ると思った。


「ご当地のキャンペーンガール的な扱いを受けているという話も聞きましたし、クレームが来ていないなら結構な事です。『たかがマンガじゃないか』という寛容さが世間に浸透したという事でしょうか。昔だったらマンガの神様の本みたいにPTAに焚書されてたかも知れないのに。『子供に悪影響を与える悪書だ!! 』とか言われたりしないのは良い事ですよ。いい世の中になりましたよねぇ」

「そうなの?? そうだっけ?? ファンタジー設定だっけ?? 」

「どこか問題あったっけ」


 なんかキャンプのネタというより、基本設定がどうこうという話で入ってきた。キャンプ的には焚き火の作り方とかていねいに説明してた気がするし、いかにもありがちなネタで親近感を持たせてた気がするし。かなりリアル寄りな気がするんだけど。作者の日記みたいなマンガというかなんというか。実話に近いエッセイマンガ的なヤツな気がするんだけど。どこが気になる部分なんだろうか。あと『ふんしょ』って何だろう。


「いやまあ、『焚き火や現場ネタなんかの、キャンプあるあるネタ』とか『キャンプ料理』とか『ご当地観光スポット』とか。そういうのはいいんですよ。実現可能だとか経験談だとか実在するとか、リアルな話ですから。でもねぇ…… 」

「でも?? 」「どのあたり?? 」


 雪奈は父さん達に振り返って。


「お父さん。お母さん。もしもウチの娘がこのアニメと同じ事をしようとしたら、どうしますか?? 」

「 …… とりあえず話し合いかな」「お説教ね」


 えぇ――。

 それ完全にアウトって事じゃないの?? どこがダメなんだろうか。


「お姉ちゃん。お兄ちゃん。ちょっと想像してみてください」

「うん?? 」「うん」


 雪奈が僕らの方を向いて話し出した。


「ワタシが『ひとりでキャンプする』って言って、どこかへ出掛けようとしたら?? 」

「いいわけないじゃん!! 危ないよ!! 」


 即座に反応する春奈。そしてその瞬間、僕も問題点に気づいた。


「じゃあ、『ちょっとその辺を見てくる』って言って出掛けたワタシが、暗くなっても帰って来なかったら?? ケータイも電源が切れてて居場所不明です」

「ケーサツに連絡しないと!! 町内に連絡してから探さないと!! 」


 そうだよなぁ。もう大変な事になってるよ、その時点で。


「じゃあワタシが『美由紀ちゃんと洋子ちゃんとの三人でキャンプする』って出掛けようとしたら?? 」

「だから子供だけでキャンプとか危ないよ!! 大人を連れて行かないと…… あ」


 はい。そういう事です。と、雪奈。


「いま口に出した事ぜんぶ、アニメで『未成年のJK』がやった事です。ご家庭は相当の放任主義というか、一人娘や末っ子の娘を男の子扱いしているというかドライというか。地元どころか日本全土の治安に過分な信頼を置いているというか何と言うか。お姉ちゃんやワタシがウチで同じ事を言おうものなら、たぶんすぐに正座と説教ですよ?? あのアニメのご家庭では、娘が凍死したり犯罪に巻き込まれたりしても、『あっそう』ぐらいで済ませてしまうのかも知れません」

「うわぁ―― 」


 なるほどそういう事かぁ、と春奈が納得していた。


「お父さん、ワタシ達が行った事のある管理キャンプ場って、どんな感じでしたっけ?? 」

「泊まりの場合は『成人した責任者が居る事』っていう条項があったはずだな。たぶん多少ゆるくても『18歳以上の男子が責任者として…… 』という規約項目があったと思うんだが…… あっちの地方だと、未成年でも泊まれるのかなぁ?? 」

「地方的に『ゆるい』のかしらねぇ?? こっちの方じゃ考えられないけど」


 そういう部分が雪奈の言う『基本設定がファンタジーっぽい』っていう事なんだな。雪奈が感じたリアル基準の違和感を理解した、と考えていると。雪奈がまた話を続けた。


「そりゃJKでも、友達の家に泊まるとかいう話なら親御さん同士で連絡を取れば問題ないかと思いますよ?? でも子供だけで野宿とか…… 『キャンプ』っていう横文字で誤魔化されちゃいけませんよ。キャンプって『 野営 』って意味なんですよ。要は野宿なんですよ野宿。カギのかかるログハウスでもギリギリですけど、カギどころかドアも壁も無いテントで野宿するんですよ?? 野生動物だって襲ってくる可能性がありますし、悪意を持った人間が襲ってきたら、ひとたまりもありません。男だったら自己責任で『仕方ないな』で済むでしょうが、女の子なんですよ?? 娘や孫の身の安全を全く気にしない家庭なんですかね?? 部活動として責任教師が引率しなきゃ話になりませんよ」


 そりゃもっともだ、と思う僕だった。でも雪奈が『富士山の周辺の県はそういう地域性なんでしょうか』と言った時点で母さんに『そういう事を言っちゃいけません』と注意されていたりもしたので、あまり好き勝手に感想を言っても問題があるのかな、とも思ったりもした。


「まあログハウスでも安心できませんけどね。キャンプ場なんて頭のおかしな殺人鬼や得体の知れない巨大生物が襲ってくる場所の定番じゃないですか。命の危険と隣り合わせの場所だという事を忘れてはいけませんよ」


 雪奈、それは映画とかの話じゃないの?? 雪奈の好きな昔のB級ホラーとかそんな感じの映画の話。リアルとフィクションを一緒にしちゃいけないよ。


「せめて護身術とかを身に着けてないとねー」

「お姉ちゃん。過去には『空手二段のJD』が一人旅の旅先で、山中でテント暮らししていたホームレス男に襲われてサツガイされた事件だって起きているんです。多少の護身術なんて不意をつかれりゃ役に立ちません。基本的に女子の一人キャンプとか正気を疑うレベルの話だと覚えておいてくださいね」


 …… リアルは想像以上に厳しいもの、らしかった。アウトドアは基本的に複数人行動、そして未成年は保護者の引率が必要。そういう事なんだな。



※※※※※※※※※※※※


 その後も、ゆるくキャンプの話題を続ける僕たちだった。


「焼きマシュマロの『スモア』だっけ。ウチのアウトドア活動では、まだやってないよね」

「どんなチョコクッキーが最適なんでしょうかね…… 。クラッカーと板チョコの破片を使うのが伝統的な方法だと聞いた事もありますけど。マシュマロ焼いて食べるっていうとワタシは、あの映画を思い出します」


 マシュマロ焼いて食べる映画って、僕ら見た事あったっけ。あとサラっと昔とか何とか言ってないかな、雪奈。それとも雪奈の昔だから、幼稚園の時くらいかな。


「どんな映画?? 」

「『僕のそばにいて』っていう洋画です。アメリカ映画だった気が」

「どんな内容なの?? 」

「ある人の思い出話、という舞台設定の話です。『僕』を含めた4人の子供が、列車から落ちて行方不明の子供を探しに行く話です。少年たちの夏物語、という感じの話ですね。線路の上を延々と歩いたり、手荷物は1丁の拳銃と人数分の毛布と水筒ぐらいで、キャンプして、焚き火してマシュマロを焼いて食べたりします。スモアは…… どうでしたっけねぇ…… 細かいところは覚えてないです」


 へえー。子供が列車から落ちた、とかいうワードが少し気になるけど。アレかな。ロードムービーとかいうヤツだろうか。ひと夏の小さな冒険、少年の心の成長、みたいな感じの話かな。あと拳銃ってなに。そこら辺がアメリカすぎる。


「ほんわかしたイメージかな。聞いた感じだと」

「そんな感じですね。アメリカだと郊外じゃピューマとかガラガラヘビとか、子供を簡単に殺せる野生動物が出てくるイメージがあるんですけど、動物に襲われるシーンは無かった気がしますし。蒸気機関車に轢き殺されそうになったり、チンピラ高校生にカツアゲされそうになったりする、くらいですね」


 それどんな映画なの。いい話なの?? それとも怖い話なの?? 内容の説明が省略されすぎて、どんな話なのか想像もつかないんだけど。あと子供が屋外でキャンプしてると、チンピラ高校生に遭遇したりするの?? やっぱり子供だけでキャンプとか危ないんじゃないかな!! アメリカだったら護身用の拳銃とか持ち歩けるみたいだけど。そう思うと場所が日本だとしても、女の子だけでキャンプするのは危ないと思うな。


「面白いの?? その映画」

「あくまで個人の感想ですけど、子供が観ても退屈ですね。良くも悪くも、大人のための映画ですよ。心に少しばかりの傷を負った大人が、鑑賞しながら涙を流すための映画です」


 僕らはまだ小学生だしね。想い出って言ったって、幼稚園の頃の想い出とか、去年の想い出とかの話になっちゃうし。夏にキャンプしたり、おじいちゃん家に行った時に海釣りしてみた想い出だったり。大人になったら、今年の夏休みの想い出も懐かしく感じたりするのかなぁ。


「まあ子供向けには、青タヌキの未来ロボの映画に、同じタイトルの映画が1本ありますから、そっちを観た方がいいんじゃないですかね。タイトル丸パクリな気がしますが」

「あ、前にテレビでやってたヤツかな。マンガの最終回?? の話のリメイクだっけ」


 僕も観た覚えがある。タヌキロボが未来へ帰っちゃいそうになる話だったはず。


「お姉ちゃん。あの青タヌキロボの話の『いちばん出来の良い最終回』は、【 同人マンガ版 】のヤツです。あれこそが真の最終回です。ですが、アレを読んで感動するためには、旧テレビ版の青タヌキ未来ロボのテレビ放送の話とかを少し観ておく必要がありますので、ちょっと復習しておきましょうか。『ダミ声の青タヌキ』の方を。あとコミックスも少しだけ。人物背景とかを理解しなくては」

「旧テレビ版の方のネタなんだね。そっちも大人向けって事かな」


 それ雪奈が時々モノマネしてるヤツかな。わざわざ声をつぶしてセリフを言って、ゲフンゲフンと咳き込むとこまでセットのヤツ。

 その後、父さんに『ねえパパ―、レンタルDVD観たいのー』とか言って甘える妹たちの姿を見る事になるのは予想するまでも無かった。


 後日になって、しばらくの間。例の青タヌキロボのアニメの『旧版テレビ主題歌』を機嫌よく歌う雪奈の姿を見かける事になり、家族みんなが旧版アニメの主題歌を、何となく歌えてしまうくらいに覚えてしまう事になる。


「ところで雪ちゃん、あの歌詞に出てくる『アンアン…… 』て何かな?? 」

感嘆詞かんたんし…… ですかね?? 良く分かりません」


 そして謎が残された。日本語はちょっとずつ変化していると言うし、昔の歌の歌詞は良く分からない所があるなあ、と。そう思ってしまう僕なのだった。

ダメなとこは駄目なんですよね。未成年者だけの宿泊利用。

でも山梨とか静岡だと大丈夫なんですかねぇ…… 日中利用だけならOKな気もしますが。

まあ出入りの管理がザルな所はどこでも多いと思うので、日中利用客が帰り損ねてどうにかなっちゃう(凍死未遂事件)みたいなのはアリだと思うんですけど。最初っから宿泊予定なのは……


まあフィクションだからOKですよね。PTAじゃあるまいし、あんまり細かい事を言っちゃいけませんよね。しょせんマンガですもの。原作はナンセンスギャグマンガ風味の旅情モノな気がするし。アニメ版とマンガ版だとノリがかなり違う気がするわー。特に嘘つき一家のノリが。ジンギスカンのネタの所までアニメやってくれんかな。


青タヌキロボマンガの『真・最終回』は同人版でいいと思います。個人的にはカンペキだと思いますのよ。でも新世代版に慣れた世代だと違うんだろぉなぁ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新待ってました。 [気になる点] キャンプをやらない人間なので「何がユルいのかな?」だったけど親目線ならそうなりますよね。 親目線で語る小学三年生がここにw [一言] 同人はホントに同…
[気になる点] この手の漫画は、作者の好みや商業的理由でキャラをJKにしてるだけですので あまり意味のないツッコミだなあと おっさんがキャンプしたりバイク乗ったりしてて、誰が読むのかっていう
[良い点] 某ゆるいキャンプのアニメですが、自分も結構危ないなぁと思ってましたもう20年くらい前に、キャンプに来ていた女子大生グループが〜という事件があったので。 そういえば上流からお婆さんがどんぶら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ