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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
四章 ウィンターショッピング
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90.嫌な予感は的中するものです

「エンラ、風渡の名前は決まったかの?」

「……風渡さんは風渡さんでいいんじゃないですか?」

「話を聞いておらんかったのか? 風渡はあくまで守り神だった時の呼ばれ方に過ぎぬから、個人として呼ばれる名前をつけて欲しいと言うとるのじゃ。エンラなら容易くつけられるじゃろう?」

「そ、そうは言っても……」



 正直今までつけた名前は結構適当につけてきたものなんだよな。

 果たして初対面のエリアボス様にそんな適当な名前をつけていいものか?

 でもこの様子だと黙っていてもラチが明かなそうだよな。

 こうなったらとりあえず適当に名前を考えてみよう。

 気に入らなかったら断ってくるだろうしさ。



「それなら……シロカという名前はどうでしょうか?」

「シロカ……うむ、いい名前ではないか? お主はどう思う?」

「わたくしも素晴らしいと思いますわ。シロカ……これからの私の名前はシロカになるのですね!」



 ふふっと微笑みを浮かべる風渡。

 うーん、何かこんなんで喜んでもらっていいのか複雑な気持ちになる。

 というのも、シロカというのは"白いカモメ"を略しただけの名前だからだ。

 まあ、気に入ってもらえているならそれでいいんだけどさ。


 名前が決まってからは一層話が弾み始めるキュビカとシロカ。

 一体いつになったら話が終わるんだろう?

 一つの話題が終わると同時にまた別の話題が湧き出てくるから終わりが見えないのだ。

 もうシロカが来てから三時間は経とうとしているな……



「最近の集落の様子はどうなんじゃ?」

「結構順調ですわよ。最近はイタチさんとも瓶配達のサービスを始めるように致しましたし、風の魔力もすこぶる調子が良いのですよ」

「なるほどのぉ。それじゃ不死鳥にも今なら勝てそうかの?」

「全然余裕ですわよ。あんなみすぼらしいクソ鳥なんてわたくしの相手になんてなりはしないですわ」

「相変わらず敵意むき出しじゃのう、お主は。和解できたりはしないものなのかの?」

「誰が和解なんてするものですか!? あんなクソ鳥と同じ感性を持つなんて想像するだけで寒気がしますわ。そもそもアイツのエリアなんですの? 一面何もない砂地。全くセンスのカケラもないですわ。エリアボスとしてやる気あるのかしら? 土地を発達させる気がないのなら、早く降伏してわたくしに土地を譲ればいいのに。キュビカさんに受け渡してもいいんですのよ? とにかくあんなクソ鳥が広いエリアを持っていることがこの世の害悪だっつーの。あー、考えただけでイライラしてきますわ!?」



 なんかシロカの性格が豹変しかけているんですけど。

 どうやら不死鳥とシロカはとても仲が悪いようだな。

 そんな二人が出会ったら一体どうなってしまうのか……

 想像もしたくないな。


 でも幸いここはキュビカのエリアの中。

 不死鳥がここに来ることは――



 !?

 な、なんだ、この嫌な予感は!?

 まさかとは思うが……



 強烈な嫌な予感がした俺は家の外へ出る。

 するとその先には――巨大な黒い鳥がこちらに突進してきていた。

 そしてその鳥が俺の住処めがけて砂のブレスのようなものを放ってくる!?


 冗談じゃない。

 ここは俺の住処なんだ。

 黙って壊されてたまるかっつーの。



 俺は砂のブレスに対して極寒吐息を発射して相殺を試みた。

 だが威力はあちらの方が強いらしく、若干俺は押され気味になっている。


 ここが俺の住処の近くじゃなければウェイトチェンジで軌道を変えてやり過ごすんだがな。

 でもここはあいにく住処の近くだ。

 周辺への被害はできるだけ抑えたい。

 故に攻撃を相殺して被害を最小限に抑えたいんだよな。


 だが、正直ブレスの威力は単純にあちらの方が強い。

 このままの状態では押し切られて、自分の家に甚大な被害が出てしまうだろう。

 ここはあれを使うしかないか。

 まだうまく制御が出来ないから、使うのはあまり気は進まないが……仕方あるまい。



 俺は破滅のオーラの技を発動させる。

 すると俺の周囲に殺意が満ちた圧迫感のある空間が作り出された。

 そして俺自身の心の中にも相手に対する殺意が芽生え、心の中から相手への憎しみ、そして攻撃したい衝動に襲われる。


 すると同時に放っていた極寒吐息の威力は急に跳ね上がり、あっという間に相手の砂の吐息を飲み込み、そして――



 グギャァァァ!?



 極寒吐息が相手を飲み込んで、そのまま相手を地に落とす事になった。



 ハッ!?

 俺は一体何をしていたんだ……

 あっ、さっきの黒い鳥が倒れている!?

 やっぱり制御がうまくいかなかったか……

 くそっ、生きていてくれよっ!?



 俺は急いで倒れている黒い鳥の所まで向かう。

 そして黒い鳥の様子を覗き込んでみた。


 黒い鳥は頭の部分と首の部分だけ羽根が生えていないので、ハゲタカのような容姿をしている。

 全身に傷を負っていてかなり重症みたいだが、まだ命はあるみたいだ。

 なら、まだ助かる見込みはある!


 ただこの場ではとても寒いし、体にもよくないだろう。

 俺は黒い鳥を背負って一旦自分の家まで運んでから治療をする事にした。



「あらっ、このクソ鳥を倒したのって貴方ですのっ!? スゴイですわ、お手柄ですわよ!?」



 黒い鳥を家の中に運び入れた瞬間にシロカが発した第一声がそれだった。

 ということは、やはりこの黒い鳥が不死鳥だったのか。

 早速俺が恐れていた事態が起きてしまったということだよな……

 はぁ。


 とにかく、今は治療が先決だ。

 急がないと。



「全くこのクソ鳥、本当汚いですわ。きっとわたくしの悪口を聞いてここまでやって来た感じですわね、これ。全く、地獄耳でどこでもウワサを聞きつけてくるなんて、本当なんて嫌な奴なのかしら? 早くくだばってしまえばよろしいですのに。なのでエンラさん、治療はしないで下さいね? よろしいですこと?」



 ニコニコ笑顔で俺の手を握ってきたシロカの力は物凄いものだった。

 俺の腕がちぎれそうになるのではないかと思う程に。

 一体どんだけ不死鳥を治療をさせたくないんだ、このカモメは……


 そんなシロカによる妨害があったので、俺は不死鳥に一切治療できずにいた。



「ふふふ、どんどん衰弱していくわ! さあ、あとどれぐらい持つかしらね? これであの何もない土地がわたくしの手によって有効活用されるようになるわね。ふふっ、楽しみだわぁ」

「誰がアンタなんかに渡すものかぁ!?」



 突然起き上がった不死鳥はシロカに対して羽根で殴りかかろうとしたが、シロカはそれをギリギリ避ける。

 こうしてシロカと不死鳥による喧嘩が勃発したのだった……

 そんな喧嘩をする二人を見てキュビカがブルブル震えだす。



「おい、やめんか、二人とも」

「大体クソ鳥がエリアをなんとか――」

「アンタみたいなぶりっ子ドス黒な奴に支配されている奴のほうが――」

「二人とも……やめんかぁぁぁ!!!???」



 ドコーンと雷が落ちたかのように響き渡るキュビカの怒鳴り声。

 思わずお昼寝をしていた仲間達も飛び上がり、こちらの方をのぞいてきている。

 さすがに言い合いをしていたシロカと不死鳥もシュンとして大人しくなったようだ。



「ここはエンラの家の中じゃ。ケンカをするなら外でやらんか。はっきり言って迷惑じゃ」

「ご、ごめんなさい、キュビカさん。ついわたくしカッとなってしまいまして……」

「聖焔さん、すまない。アタイ、ちっと熱くなり過ぎていたみたいだ」



 二人とも反省して一気にトーンダウンしているようだ。

 ようやく落ち着いて話ができそうだな。



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六十八日目:残金5324850B

収入:なし

支出:なし

収支;+0B

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