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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
三章 ビジネスショッピング
82/357

82.清浄の泉に到着しました

 巨大イモムシを退治して間もない頃。

 ほっと一息いれたかったのだが、砂漠の環境は甘くはなかった。

 次々と地中から現れる魔物、魔物、魔物。

 何だこの魔境!?

 さすがにもう先程のアレノスジャイアントバグほどの衝撃的な奴は現れなかったが、それにしても何でこんなに連戦しないといけないんだよ……


 ちなみに襲ってきた魔物は全員倒して、女神様の元へ送っておきました。

 売却額は合わせて538000B。

 なかなかの金額だよな。


 だがそれでも遠くからこちらの方へ向かってくる気配が。

 いくらなんでもこの状況はおかしすぎないか?

 まるで砂漠の魔物に俺達の場所が丸分かりになっている気がするんだよな。


 地中からやってくる魔物も多いから、俺の大きな体が問題になっている訳じゃないだろうし。

 コクリに至っては体も比較的小さい上に、無臭だし。

 となれば原因は――キュビカしか考えられないな。


 キュビカには砂漠の魔物を倒した後についた強烈な悪臭が残っている。

 その悪臭がもしかしたら砂漠の魔物にとって襲うべき対象というサインになっているのかもしれない。

 実際には全然そんな影響はないのかもしれないが、どちらにしろ、このままの状況ではラチがあかないのは確かだ。

 この状況を打開するにはユニから教わったあの技を使えば良さそうだな。



「コクリ、キュビカさん。今から俺が俺の周囲に敵から探知されないような膜みたいなものを張る。だから二人とも俺の近くに来てくれないか?」



 コクンとうなづく二人。

 そして二人が近付いてきた時に、俺は丸い球をイメージして幻術魔法を放った。


 すると俺の周りに薄い緑色の膜のようなものが広がっていく。

 しばらくするとその膜は俺とコクリとキュビカをまるまる覆い尽くす。

 膜に覆われてからは、俺達の方に向かってくる魔物の気配はピタリと止み、俺達は魔物に襲われることはなくなった。


 うん、これで一件落着だな。

 ただし別の問題が。



「うっ、やっぱり今のキュビカさんって結構におうわね……」

「失礼じゃな。わらわも好きでこんなニオイを発している訳ではないわ! わらわもこんなニオイなんて早くなくなってしまえと思うておるわ……げほっ」

「もしかしてこのニオイ、キュビカさん自身もダメージを受けていたりするのか?」

「そ、そうじゃ。じゃから早く泉を目指すぞ。コクリ、泉まではあとどれ位なんじゃ?」

「そうね……このペースだとあと5,6時間はかかるかしら……」

「5……5,6時間じゃと!? そ、そんなにかかってはわらわの身体がもたんわ!」



 そう、キュビカと同じ狭い空間に閉じ込められた状態になっているので、空間内のニオイが凄まじいのだ。

 それはもう、ニオイを発しているキュビカ自身が嘆くほどに。

 そんな空間に5,6時間もいるなんて考えられないわ、正直。



「コクリ、さすがに5、6時間も我慢できないわ。ここは俺が二人を背負って飛んで一気に距離を稼ぐ。大体の泉の方向は分かるか?」

「ええ。ここから大体北西方向に泉はあるわ。今私達は西の方向に進んでいるから、ちょっと右前に進む感じね」

「オッケー、分かった。なら二人とも背中に乗ってくれ」



 俺はかがんだ態勢をとる。

 ちなみにその段階でコクリとキュビカの重さにはウェイトチェンジをかけさせてもらった。

 コクリはともかく、そのままの重さのキュビカを背負う事はさすがにできないからな。

 いくら痩せたとはいえ、やはり限度というものがあるのだ。

 キュビカさんにはサイズチェンジもかけて小さくしておいた。


 それにしてもこの不死鳥のエリアではウェイトチェンジを使えるんだな。

 イタチのエリアではウェイトチェンジを使えなかったのにさ。

 使えなかったらどうしようかと思ったが、まあ使えるみたいだし、運が良かったわ。



「二人とも背中に乗れたようだな。それじゃ一気に飛んでいくから、しっかりと背中に掴まっていろよ? くれぐれも翼を掴まないように!」

「はーい」

「分かったのじゃ」



 二人の返事を聞いた俺は、そのまま上空へと飛び上がり、高速飛翔を使って一気に空を駆け抜けていった!


 

 数分飛び続けた辺りで飛ぶ速度を緩める。

 行き過ぎても意味がないからな。

 するとコクリが声をかけてきた。



「エンラ、泉はこの辺りにあるはずよ!」

「おっ、そうなのか。分かった。この辺りで一旦降りるぞ」



 俺はそっと着陸し、コクリとキュビカを陸に下ろした。

 コクリによればここからあと数分歩いた所に泉はあるという。

 だいぶ距離を短縮できたもんだな。


 それからコクリについていくこと数分。

 何もない砂漠にポッカリと空いた穴を見つける。

 その穴の中は下り坂のようになっているようだ。

 下り坂を進んだ先は暗くなっていてよく分からない。



「エンラ、この坂を下れば、その先に清浄の泉があるわよ」

「おっ、ついに来たのか。でもこの穴不思議だな。今までは見つかっていなかったんだろ?」

「そうね。このあたりは若干坂になっているでしょう? どうやらこの穴の上に積もっていた砂があの辺りに崩れて落ちていったみたいなのよ」



 ふーん。

 確かに見れば坂の下の方に不自然に盛り上がっている小さな山のような所がある。

 その山の砂は他の砂と質が違うものが混じっていたりもするし。

 それを考えると、この入口となる穴を塞いでいた砂などが崩れていったと考えた方が良いのかもしれないな。



「話はいいから、さっさと中に入るのじゃ。わらわ、早くこのニオイからおさらばしたいのじゃ!」

「分かった分かった。今から行くからそう慌てるなって」



 キュビカさんは目的地が間近に迫り、少し声色が明るくなったような気がする。

 まあ自分に染みついた嫌なニオイがもう少しでとれるんだもんな。

 そりゃ嬉しくもなるか。



「多分大丈夫だとは思うけど、念のため誰かが泉にいないか調べるために私が先に中に入るわ。エンラ達は私の後ろに続いてね」

「ああ、分かった」

「了解じゃ」



 念には念を入れないとな。

 特に俺とキュビカにとっては初めて訪れる場所なんだ。

 来たことのあるコクリに安全管理は一任した方が良いだろう。


 こうして、いつも通りコクリの後に続いて、俺とキュビカは下り坂を下っていくのだった。



 中は日の光が入らないからか、とても暗くて、少しひんやりとしている。

 明かりをつけたい所ではあったが、中にオオカミがいないとも限らないし、余計な事はしない方がいいだろう。

 それに頑張っていたら次第に暗くても中の様子がうっすらと分かるようになってきたしな。

 そんな感じで頑張ってコクリについていく俺とキュビカ。

 するとついに――



「二人とも、待たせたわね。あそこが清浄の泉よ!」



 俺達が進む先に見えてきたのは、うっすらと薄い青色の光がいくつか宙に浮かんでいる幻想的な空間だった。

 宙に浮かぶ謎の光によって、その下にある泉の水が照らされている。

 前の世界でのイメージで言えば、青の洞窟という所と近い見た目をしていそうだ。



「あの水に浸かればわらわのニオイが取れるのじゃな!? エンラ、いくぞい!」

「えっ、ちょっと、キュビカさん!?」



 俺はキュビカに手を強引に引っ張られる形で泉へと駆けていく形になる。

 そして――



 ざっぱーん!



 泉に飛び込むキュビカと俺。

 それはもう結構な水しぶきが上がったこと。

 体重を軽くしていたからまだだいぶマシだったんだろうが。


 コクリはその後にそっと泉の中に入ってきた。



「ふむふむ。結構冷たい水なんじゃな。これにどれ位入っていればよいのじゃ、コクリ?」

「そうね……五秒も入っていれば十分よ」

「五秒……ってもう経っているではないか。せっかく体がキレイになるのならわらわはもうちょっと入ることにするのじゃ」

「キュビカさん、物好きだな。俺は先に上がらせてもらうぞ」



 俺も一応キュビカさんの近くに長いこといたから少しはニオイがついていただろうからな。

 でもキュビカ本人でさえ五秒入れば大丈夫なのだ。

 俺がそれ以上入る必要はないだろう。


 という事で俺は泉から出る事にした。

 コクリも俺と同じタイミングで泉から出ていた。



********

四十八日目:残金4409550B

収入:砂漠の魔物538000B

支出:なし

収支;+538000B

********

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