81.キュビカと共闘してみました
「エンラ、待たせたな。もうわらわは大丈夫なのじゃ」
「そうか、分かった。それならすぐに出発するとするか」
正直この場に悪臭が漂い続けるのはあんまり気分が良くないからな。
一刻も早く、普通の快適な環境に戻したい所なのだ。
キュビカの出発の準備ができたようなので、俺はコクリに話しかけることにした。
「コクリ、準備できたんだが、今すぐに出発できそうか?」
「ええ、大丈夫よ。それなら早速清浄の泉に向かいましょう」
こうしてコクリを先頭に、俺とキュビカはその後に続く感じで清浄の泉へ向かうのだった。
不死鳥のエリアは俺の住処から西に行った所にあるそうだ。
東の方向にあるイタチのエリアとは逆方向だな。
ちなみにキュビカのエリアが他のエリアボスのエリアと隣接しているのはその二つのエリアだけだそうだ。
その二つのエリア以外にはエリアボス不在の地と隣接しているということらしい。
イタチのエリアとの境界線は明らかに環境の違いが表れていたので、今回もそのような境界線があるんだろうか?
ちょっと気になっていたりする。
コクリやキュビカと一緒にしばらく歩いていると、歩いている地面に乾燥した明るい茶色の土が混じってきている様子が見えた。
風にのって砂漠の砂がキュビカのエリアまで入り込んできているのかもしれないな。
「コクリ、もしかしてもうそろそろエリアの境界線に近付いてきたのか?」
「ええ、そうよ。不死鳥のエリアに入ると一気に暑くなるから気を付けてね」
そうなのか。
キュビカのエリアの季節は現在秋。
でも冬も近い時期なので、結構肌寒い時も多い。
それが不死鳥のエリアになれば暑くなるのか。
そういった季節に関してもエリアボスの影響を受けるもんなんだな。
「もしかして不死鳥のエリアって一年中夏だったりするのか?」
「何て言ったらいいのかしら? 確かに昼間はいつ行っても暑いわ。でも夜は逆に寒くなるの。そういう意味では夏とは一概には言えないような気がするのよね」
なるほどな。
そういえば前の世界でも砂漠はそんな気候になる事が多いんだっけ。
常にそのような環境になるのなら、それはもう砂漠気候と言った方がいいかもな。
季節という感覚で考えない方が良さそうだ。
しばらく歩いていると、段々と向かい風が強くなってくる。
その向かい風にのって細かい砂が飛んできているので、砂が目に入って痛い。
そしてついに――植物が全くなく、一面砂で覆われた景色が目の前に現れた。
「この一線を越えれば不死鳥のエリアに突入する事になるわ。みんな、覚悟はいい?」
こくりとうなづく俺とキュビカ。
あっ、ちなみにコクリはさっきから日本語で話してくれています。
そうしないとキュビカに言葉が伝わらないからな。
キュビカもだいぶ慣れてきたようで、聞いていても違和感を覚えないほど上手く日本語を使うことができている。
コクリもキュビカも本当にすごい奴らだ。
意を決した俺達は一歩前へと進み、不死鳥のエリアに足を踏み入れる。
すると―――
「あ、暑っ!? なんだこの温度は!?」
「これが砂漠なのよ。地獄のような暑さ。そして喉を容赦なく乾かしてくる極度な乾燥。これが延々と続いていくんだから過酷な環境よね」
そうなのか。
砂漠は過酷な場所だって分かってはいたが、まさかこれほどとはな――
ただ俺には暑さ耐性のスキルがある。
今まで寒さ耐性のスキルを発動させていた関係上、暑さ耐性のスキルを発動させていなかったが、それを使えばだいぶマシになるだろう、きっと。
ということで、早速暑さ耐性のスキルを発動させる俺。
すると体から熱気が一気に取れていき、暑さを途端に感じなくなった!
さすがはスキルさまさまといった所か。
本当に頼りになるもんだ。
コクリはそんな暑さにもひるまないで悠々と砂漠の地を歩き出す。
一方キュビカは砂漠地帯に入ってから何かの呪文を唱えて、キュビカの周辺に緑色の膜を作り出した。
膜を作り出してからのキュビカは随分と余裕そうな表情を浮かべていたので、恐らく膜には冷却機能でもあるんだろう。
キュビカのニオイは消えていないから、ニオイを遮断する効果はないようだが。
そのまま砂漠を進んでいると、地中からこちらに向かってくる気配が!
「気を付けろ、何か来るぞ!」
俺はそう言ってコクリとキュビカに注意を喚起する。
そしてその次の瞬間――
グギャァアアア!!!
地面から現れた巨大イモムシ。
多分全長10mは軽く超えるのではないだろうか。
濃い緑色をしていて脚の数が多分二十本位はある。
はっきりいって気色悪い。
「なんじゃこの気色悪い虫は? 見ていて気分が悪くなるわい」
「そうだな。というか、この大きさハンパないだろ。こんなイモムシ初めて見たんだが……」
「ほらっ、二人とも、よそ見はしないで! 敵が攻撃を仕掛けてくるわよ!?」
コクリの言う通り、イモムシは臨戦態勢に入っているようだ。
そして俺達に向かって濃い紫色の液体を発射してきた!
「巫術・浄化の祈り!」
「グランドウォール!」
キュビカの技によって紫色の液体の威力は大きく減退し、そしてそれが俺の作り出した壁へとぶつかり、難なく防ぎきった。
ちなみにグランドウォールで作り出される壁は地形の影響を受けずに固い茶色い土と決まっている。
なので地面が砂地である砂漠でも問題なく効力を発揮するのだ。
「もたもたしていてはまた攻撃を受けることになるぞ! エンラ、ここはこちらから攻めるのじゃ!」
「ああ、そうした方が良さそうだな!」
そう言葉を交わすと同時に、俺は左に、キュビカは右へと駆けていく。
そして――
「アイアンクロー!」
「巫術・雷撃の祈り!」
俺がイモムシの体を引き裂き、そしてその直後にイモムシに電撃が襲い掛かる!
俺はそんなイモムシにさらにサンダーの魔法で追い打ちをかけ、そして極寒吐息でイモムシを凍えさせた!
だがここは暑い砂漠だ。
一瞬にして凍ったイモムシの体は元通りになる。
でもそれからは巨大イモムシに動きは見られなくなった。
「これで勝ったのかの……?」
「ちょっと待ってくれ。調べてみる」
死んだふり作戦をして、油断させた所を襲ってくるパターンかもしれないからな。
油断はしてはならない。
こういう時に有効なのは――
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”アレノスジャイアントバグ”を売却しますか?
売却額 1600000B
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女神ショッピングの売却アナウンスだ。
今回は売却できるみたいだから、確かに倒す事ができたようだな。
……って売却額、高っ!?
キュビカが狩ってきた臭い大物よりも高いじゃねえか、これ!
もちろん売る一択ですけど!
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”アレノスジャイアントバグ”を売却しました。
残り所持金 3871550B
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これでだいぶ懐は潤ったな。
今日だけで手持ちが一気に三倍に増えたしさ。
やっぱり大物を売ることができると大きいなー。
まあ狩り過ぎ注意な事には変わりないんだけど。
個体数は少なそうだしな。
「相変わらずエンラのその技はいつ見ても不思議じゃのう」
「本当ね。あんな巨大なイモムシが一瞬にして消えてしまうんだもの」
本当にそうだよな。
10mもある巨大イモムシが一瞬にして消えるなんて、普通あり得ない現象だろ。
女神様の所に行っているんだとしたら、女神様はさっきのイモムシをどうやって管理しているんだろうな?
女神ショッピングの謎はますます深まるばかりだ……
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四十八日目:残金3871550B
収入:アレノスジャイアントバグ1600000B
支出:なし
収支;+1600000B
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