57.しっかりした家を建ててみました
翌日、店の休業日にあたるので、俺はのんびりと起きる。
とは言っても、キュビカに朝食はまだかと言われて起こされるので、時間的にはそこまで長く寝られる訳ではないのだが。
あくまで精神的にのんびりと起きる事ができるというだけだな。
今日は一昨日と違って、頼まれている事も特にない。
つまり、一日中自由って訳だ。
昨日の依頼は仲間達が全て片付けてしまったからな。
本当、人数が多いって素晴らしい。
俺一人では到底こなしきれなかった量だったからな、あれは。
さて、今日は何をしようかな?
みんなとの朝食も終わった事だし、時間もまだたっぷりある。
―――ここは前々から考えていた、新しい住処づくりをするとしようか。
今の季節は秋。
これから冬に向かってだいぶ寒くなっていく事だろう。
この世界の冬がどれほど寒いのかは分からないが、備えておくに越した事はない。
それに、しっかりした家を建てればプライバシーも守られる事になるだろう。
テントの中に入っても中の様子は見えなくなるのだが、狭くて使い勝手が悪いから何だかんだで外に出ている事が多いのだ。
サイズチェンジをわざわざ使わなくても入れる大きな家があれば便利になる。
実は今も遠くから俺達を見てくる視線を感じるんだよな……
いくら好意的な目とはいっても、やっぱり休みの日位はそっとしておいてほしいものだ。
見てくる動物達に見ないでほしいと言うのもいいんだが、結局誰かに言っても別の誰かが覗きに来るような気もする。
やっぱり見えない空間という物を作った方が手っ取り早いんだよな。
家を建てるにはスペースが必要だ。
今使える空間は正直狭いし、建てられる家も限られている。
ここは敷地を広くする必要があるだろう。
「なあ、ターガ。この辺りで伐採しても支障のない木はあるか?」
「伐採しても大丈夫な木か? そうだな……あの辺りなら多分大丈夫だ。あの辺りを住処にしている仲間はほとんどいないからな」
「そうか。ありがとな、助かったわ」
俺はターガが指定した辺りに移動して立ち止まる。
……うん。
ここの近くには生き物の気配は比較的少なさそうだ。
早速伐採を始めようとするか。
どうしても微生物などはいるみたいだが、そんな事を気にしていたら何も出来なくなってしまうからな。
ごめんよ、微生物さん達。
俺は特定の場所に生えている木々をサイズチェンジで小さくしてから引っこ抜いた。
すると木が大地に根を張っていたからか、木の周囲にある土が崩れ落ち、へこんでしまう。
へこんだままではさすがにマズイので、女神ショッピングで土を購入して穴を埋めておいた。
この周辺の土質と合わせた物を買おうとしたので1000Bもかかってしまったが、それは仕方ないだろう。
もっと安い土もあったが、周りに合わない土を使うと環境に悪影響出そうだしな。
何となくだけど。
そんな感じで少し木を切って、平地を作る。
こうしてできたちょっと広い空間。
これだけの空間があればきっといい家が建てられるはず。
さて、どんな家を建てようか?
今の所持金は約700万B。
ギリギリまで使ってしまうとちょっと怖いので、予算は500万B位にしておこう。
ではその予算で女神のオススメな家は何だろうな?
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どの500万B以下の家をお買い求めですか?
残り所持金 7216126B
おすすめ順 89532件中5件表示
森の家 2080000B
石の家 3960000B
川の家 3120000B
平原の家 2530000B
海の家 2870000B
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なんだ、この抽象的な家の名前は?
明らかに怪しすぎるだろ。
……まあ、本当にちゃんとした家は何千万もするとは思っていたけどさ。
うーん、これは悩むな。
多分安いなりのそれなりの理由があるんだろう、きっと。
その安い理由が何とかなるものなのか、それともならないものなのか?
それが分かれば苦労しないんだけどな……
怪しい上にちょっと高いけど、でも買わなければ始まらないよな。
何かは買ってみることにしよう。
おすすめされているんだから、それなりにどれも値段の割には良い物なんだろう、きっと。
でなければ何のためのおすすめ順なんだか分からないしさ。
この五つの中ではやっぱり森の家が良さそうだ。
値段的にも安めだし、森の家というくらいだから森とマッチしそうだしな。
森の中に海の家を建てるなんて事をする意味もないし。
さて、後は森の家のサイズがどれ位かだよな。
俺の理想の大きさで作れればいいんだけど……
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ご希望のサイズの森の家は501万Bになりますが、購入致しますか?
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えっ?
サイズ指定できるの!?
それは朗報だが、でも501万もするのかよ!?
501万はちょっと痛いな……
でもほぼ予算と同じ額だし、1万位なら何とかなるだろう。
という訳で、購入だ!
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以下の物を購入しました。
残り所持金 2206126B
森の家 5010000B
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その表示が出た途端、俺が思い描いた場所に、俺が想像していた大きさに家が現れた!
いや、これは家なのか?
家というより、巨大な切り株にただ巨大な穴が空いているようにしか見えないのだが……
でもその穴がとてつもなく大きい。
何ていっても、通常サイズの俺がそのまま入れてしまうほどの大きさがあるんだからな。
おにぎりのサイズと比較すると、今の俺は多分4、5メートルはあるだろうから、穴がいかに大きいか分かるだろう。
穴が大きいのだから、その穴を作り出している木はさらに大きい。
多分直径20メートルはあるのではなかろうか?
そんな木が10メートルほどの大きさの所で切られていて、切り株状になっているのだ。
この木がもし切られていなかったら、どれだけ巨木になっていたんだろう……?
全然想像がつかないな。
「おっ、エンラ、この木はどうしたんじゃ?」
「ああ、キュビカさんか。これからこの木を俺の住処にしようと思ってな」
「そうなのか。確かにこの木にはお主が入れそうなほどの穴が空いておるの」
「そうなんだよ。凄いもんだよな。キュビカさんはこの木を見た事があるのか?」
「そうじゃのぉ……隣の大陸、イリノス大陸では見た事はあるのじゃが、この大陸では見た事がないの」
「隣の大陸か……そこではこのような木がたくさんあったのか?」
「そうじゃの。これよりも大きな木もたくさんあったぞ。巨木の森と言われるほどで、それはもう大迫力じゃったな」
へえ……
まあ存在するものじゃないとこうやって実在出来ないもんな。
俺が前に住んでいた世界にないものでもこの世界にはあるかもしれないし、また別の世界ではあるかもしれない。
存在するという事は、どこかの世界には存在するものって事だ。
「わらわも中に入ってみてもよいか? 巨木の家に入った事がないものでな」
「ああ、いいぞ。それじゃあ中に入ろうか」
テントとは違って巨木の家は十分に広いので、俺だけでなく、キュビカが入っても余裕がありそうである。
なのでキュビカを中に入れても特に問題はないのだ。
という事で、俺とキュビカは巨木の中に入ってみる事にした。
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三十一日目:残金2206126B
収入:キュビカ達の獲物65000B
支出:森の家5010000B、食事など10000B
収支;ー4955000B
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