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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
二章 ライフショッピング
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36.コリスはユニと話したいようです

 鷹達が飛び去って、ようやく落ち着いた俺達。

 そんな時、コクリが俺に話しかけてきた。



「ねえ、エンラ。もし時間があるならまた二人で大地の丘まで出かけない?」

「ん、二人でか? 別に構わないが」

「ありがとう。それじゃ、今すぐ出発しましょう?」

「え、いきなりか!? ちょっと準備だけしてからでもいいか?」

「分かったわ。それなら私、先に大地の丘まで行って待ってるわね」

「ああ、すまないな。すぐに追いつくから、ちょっとだけ待っててくれ!」



 コクリはそう言うと、大地の丘の方へと向かって行った。

 俺はここに残すターガ、カトカ、ユニ用のご飯として、おにぎりを一つずつ渡しておいた。

 もしかしたら長い外出になるかもしれないからな。

 食料を渡しておくに越した事はないだろう。


 あと、俺が大地の丘に行くという事も伝えておいた。

 もし万が一のことがあったら俺を呼びに来るようにと。

 ターガが大地の丘の場所を知っているようだったので、場所を教える必要はなさそうだ。

 カトカも成長して、すぐに食べられるような事もなくなっただろうし、ターガもユニもそれなりに戦闘能力があるからあまり心配はしていないんだけどな。


 こうして俺はターガ達に見送られながら、コクリが待つ大地の丘へと向かう事にした。



 大地の丘が地理的にどの辺りにあるのかはあまり把握していないが、気配で何となくコクリがどの辺りにいるか分かる。

 コクリの所に行けば自然と大地の丘に到着するだろうし、問題ないだろう。


 という事で、コクリの気配がする方向に向かっていると、前にも来た見晴らしの良い丘までたどり着く。

 そして丘には景色を眺めているコクリが待っている様子が見えた。



「コクリ、待たせたな!」

「あっ、エンラ、早かったわね」



 俺はコクリの隣にそっと座り、一緒に景色を眺める。

 相変わらず様々な動物や魔物がいるし、天気も良いのでとても眺めが良い。

 また俺の事に気付かれると逃げ出されるんだろうけど。



「最近調子はどうだ?」

「好調よ。ターガともだいぶ会話できるようにもなったし、楽しく過ごさせてもらっているわ。彼、見た目に反して結構おっちょこちょいなのよね」



 そう言ってフフッと笑うコクリ。

 コクリとターガは日本語という共通言語を使って会話しているのはよく見るし、仲良くやれている事は間違いないようだ。

 頑張って教えた甲斐があるってもんだな。



「そういえばいつも留守番を頼んでしまってすまないな。カトカの世話も任せっきりだったし」

「全然気にしなくていいわよ。私が好きでやっている事なんだから。嫌な事だったらそもそもやらないもの」

「そ、そうか。それならいいんだが」

「それに今はターガという話し相手もいるし、退屈はしていないわ。カトカと話せたらもっといいんだけどね……」



 カトカと話す、か。

 カトカはベビートカゲからトカゲに進化した事でトカゲ語を話せるようになったようだ。

 だが、体の構造的に多分日本語を話すことはできないんだろうな。

 俺がコクリ達に日本語を教えている時、カトカは一緒に聞いているようだったが、まだ一言もカトカが日本語を話している所は見た事ないしさ。

 確か俺だってトカゲ時代はコクリに日本語で話しかけることはできなかったはず。

 となると、コクリとカトカが会話できるまでにはもう少し時間がかかりそうだな。



「まさかこういう平和な日々をまた送れるとは思わなかった。本当にありがとう、エンラ。感謝しているわ」

「別に感謝されるような事はしてないって。……その言い方だと、最近までは平和じゃなかったような感じだな?」

「まあ、そうね。本当戦々恐々としていたわ。誰一人として信頼できる人なんていなかったもの。どれだけ長い距離を駆け回ったか」

「長い距離? コクリはこの辺りに住んでいたんじゃなかったのか?」

「ええ。ここからはだいぶ離れた所に住んでいたわ。ここからずっと北西にある氷山地帯、氷狼のエリア出身なの」



 ずっと北西にある氷山地帯出身か。

 何だかとっても寒そうな場所だな。

 とにかく、コクリは他のエリア出身で、かなり遠くに住んでいたのは分かった。

 わざわざここまで一人で来るのだから、何かしらの事情があるのは間違いない。

 でもその事に関してはこちらからは聞かないでおこう。

 デリケートな問題かもしれないからな。

 コクリから話してくれるのならもちろん聞こうと思うけど。



「他のエリアに移動しても大丈夫なものなのか? 他のエリアから来たらその場所のエリアボスから攻撃されるような気がするんだが」

「ええ、問題ないわ。エリアボスが干渉してくるのは、そのエリアが侵略される恐れがある場合よ。こっそりとたった一人が他のエリアで過ごす位だったら全く問題にならないわ」

「なるほどな。それならいいんだけど」



 コクリがここで平和に過ごしているのに、九尾がコクリと出会ったら、コクリを殺そうとしてこないかちょっと心配になったんだよな。

 でもそういう事はなさそうで良かった。

 

 それから俺はコクリと他愛もない話をしながらゆっくりと過ごした。

 丘から見える雷をまとった馬について話したり、近くに生えている植物について聞いたり、コクリのとっておきの場所を紹介してもらったり。

 そんなこんなでいつの間にか日が暮れてきたので、俺はコクリと一緒に住処に戻る事にした。



 住処に戻る頃、俺に近付いてくる気配を感じ取る。

 するといつの間にか俺の肩にはターガが乗っていた。

 相変わらず音をたてずに乗ってくるからちょっとビックリするんだよな。 



「え、エンラさん、大変です!」

「どうした、そんなに慌てて」

「エンラさんがいない間、リスさん達が遊びに来たのですが、リスさんのうちの一人がユニさんに近付いてしまって……」

「なにっ!? ちょっと行ってくる!」



 ユニに近付いた、それはユニの幻術魔法の餌食になってしまうということ。

 ユニの幻術魔法を浴びたからといってすぐに死に至る事はないだろうが、油断はできない。

 早く様子を見てあげなくては……


 俺は急いでユニの近くまでかけよった。

 するとそこには戸惑っている様子のユニ、そしてユニに話しかけるコリスの姿が。



「コリス、ダメじゃないか、そんなに近付いちゃ!?」

「あっ、エンラさん、おうまさんこんな所にいたんだよぉ……」

「そ、そうだけど。……とにかく、ちょっとおうまさんから離れような?」



 俺はコリスをひょいと持ち上げて、ユニから遠ざける。

 そして幻術魔法を上書きしてかけ、幻視状態を解除してあげた。

 一応ユニに近付いた俺自身にも同様に幻視状態の解除をしておいた。



「ありがとうなんだな、エンラさん。オイラじゃどうしようもなくって」

「いや、気にするな。急にコリスが近付いてきたのか?」

「そ、そうなんだな。幻術魔法がかかっても気にせずにオイラに話しかけてきたのだ。とっても優しい子なんだな。でもだからこそ近付いてほしくないんだな」



 辛そうな表情を浮かべるユニ。

 優しくて、仲良くしたいリスがいる。

 でも近付かれてしまうと、自らの特性によって、そのリスを苦しめてしまう。

 そんな葛藤がユニにはあるんだろうな。



「コリス、おうまさんとは話せたのか?」

「うん、おうまさん、元気になってくれたみたいで嬉しかったんだよぉ……」

「それは良かったな。おうまさんに会えて楽しかったか?」

「うん! わたし、もっとおうまさんと話したい!」



 コリスはユニと話せた事に喜びを感じているようだ。

 コリスもユニも互いにふれあうことが好きなのにも関わらず、ユニの幻術魔法がそれを邪魔しているんだな。



「コリス、おうまさんの名前はユニというんだ」

「ゆに……? ユニちゃんっていうんだぁ……」

「そう。そしてそのユニはちょっと危険でな。近付きすぎるとコリスは死んでしまうかもしれないんだ」

「えっ? そうなのぉ……?」

「ああ、だからあそこにいるカリスとクリスはとても心配そうにしているだろ?」



 俺は近くに立っているリス、カリスとクリスがいる所を指さした。

 二人ともコリスをとても心配そうにみつめているように見える。



「実はな……コリスはユニの幻術魔法によって一度死にかけているんだ。だからカリス達はコリスにまたそうなってほしくないと思っているんだろう」

「で、でもぉ、近づかないとユニちゃんとお話ができないんだよぉ……」



 そうだったな。

 ユニは幻術魔法にかかった動物となら話ができると言っていた。

 それは幻術魔法にかかる側、コリスにとっても、幻術魔法にかかっている時だけユニと話す事ができるということがいえる。

 でもだからといってユニと話したいから幻術魔法にかかり続けるというのもどうかと思うんだけどな。



「そんなにユニと話がしたいのか?」

「うん。ユニちゃん、とっても優しい。それにとっても寂しがり屋。だからわたしがユニちゃんのお友達になってあげたいんだよぉ……」



 お友達になりたい、か。

 まあ確かにユニに近付くなと俺が言ってまわっているから、コクリ達はユニと話すことはできない。

 そうなると、ユニは俺としか話ができない事になる。

 それだとやっぱりユニは寂しさを感じるだろうな……

 よし、それならこうしよう。



「コリスの気持ちは分かった。ただ、今回みたいにいきなりユニに近付くとみんなを心配させてしまうから、一つだけ約束を守ってくれないか?」

「うん、分かったんだよぉ……約束ってどういうものなのぉ……?」

「それはな。俺の許可を得てからユニに近付く事! ユニと話し終わったら俺の元まで戻ってきて、幻術魔法を治す治療を受ける。そうすればユニと出会っても問題はないはずだ」



 俺に何かやる事があってコリスを見る余裕がない時もあるかもしれない。

 そんなときにコリスをユニに近付けるのは危ないので、俺に余裕がある時だけ、コリスがユニと話す事を許可するのだ。

 そうすれば、コリスにかかってしまうであろう幻術魔法も軽微なうちに治すことができるし、何の問題もないだろう。



「分かったんだよぉ……。エンラさんの許可をもらえたらユニちゃんとお話ししてもいいんだよね……?」

「ああ、そうだ。だから、絶対に俺の許可なくユニと話さない事! でないとユニも悲しむことになってしまうんだからな!」

「ユニちゃんが悲しむ? そんなのはわたしも嫌なんだよぉ……」



 うん、コリスは話を分かってくれたようだし、これで大丈夫だろう。

 ユニにも一応コリスに言った事を伝えておいた。

 すると俺がいない時にコリスが近付いてこようとしたら逃げようと思うと言ってくれたユニ。

 俺はユニの心配りに感謝をし、無理だけはしないようにと言葉をかけておいた。



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九日目:残金334298B

収入:なし

支出:なし

収支;+0B

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